ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2015年12月2日水曜日

TPPの著作権に与える影響(まとめ)~今後の著作権法の改正に影響あり

TPPは著作権含めた知的財産権に関しても影響を与えることが少しづつ分かってきました。TTP妥結の内容は、今後の著作権法改正に大きな影響を与えますので、インターネットの記事から、まとめてみたいと思います。

参考にした記事は、より正確な情報を得るために、専門家、新聞社、弁理士などの記事を選びました。

なお、TPPの具体的な内容は、以下で公開されており、著作権含めた知的財産に関しては、第18章(30ページ)に述べられており、一番正確な情報として参考にしたいですね。

 参考:
  環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要
  内閣官房TPP政府対策本部 平成27年10月5日
  http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou.pdf


なお、全体的な内容として、以下の記事も参考になります。

 参考:
  TPPが著作権に与える影響とは?(非親告罪化と法定賠償制度) | STORIA法律事務所ブログ
  http://storialaw.jp/blog/488

  TPPが著作権に与える影響とは?(保護期間の延長) | STORIA法律事務所ブログ
  http://storialaw.jp/blog/436


■法定賠償制度の導入、巨額な賠償責任を負わせることが可能に

参考:livedoor  ニュース
 TPP交渉で知財分野は日本の完敗だった
 http://blogos.com/article/140951/


この記事によると、著作権分野の重要3点セットと呼ばれ、ここまでの交渉で日本が反対してきた「著作権保護期間の70年への延長」、「非親告罪化」、「法定賠償制度の導入」の3点はいずれも今回の大筋合意に含まれてしまったそうです。

この中で、日本に最も大きな影響を及ぼす可能性があるのは法定賠償制度の導入で、著作権侵害に対する損害賠償に巨額な賠償責任を負わせることを可能にする制度だそうです。


■保護期間が50年→70年、「親告罪」から「非親告罪」

参考:
 東京新聞:セーフガード措置は同一産品1回限り 著作権は作者の死から最低70年:経済(TOKYO Web)
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201510/CK2015102302000147.html


この情報から、以下の2点に注目。

(1) 著作権の保護期間は、著作者の死から少なくとも70年(現行の著作権法は50年)。

(2) 著作物を違法に複製した場合は、被害を受けた著作者が告訴しなくても警察などが取り締まれる「非親告罪」にする。

なお、現行では、著作権侵害は、基本的に親告罪、つまり、告訴がなければ公訴提起(刑事裁判をすること)ができない犯罪となっています。

例外:非親告罪とされるもの
第120条・・・・・・・・・・・・著作者・実演家死後の人格的利益の保護侵害
第120条の2第1号及び第2号・・・技術的保護手段を回避する装置・プログラムの公衆譲渡等
第121条・・・・・・・・・・・著作者名詐称複製物の頒布
第122条・・・・・・・・・・・出所明示の義務違反


■保護期間の「戦時加算の廃止」

参考:livedoor  ニュース
 「ミッキーマウスとハローキティ」
 http://blogos.com/article/147492/


「死後50年保護」から「死後70年保護」をTPP各国共通のルールとすることにして、その際、戦時加算を廃止することになったとのことです。

なお、著作権の保護期間に関する戦時加算とは、戦時に相当する期間を、通常の著作権の保護期間に加算することで、戦争により失われた著作権者の利益を回復しようとする制度のこと。

第二次世界大戦後の日本の戦後処理の基本を定めたサンフランシスコ平和条約が、日本と連合国との間で署名され、日本の戦時加算は、連合国および連合国民の著作権に対し、日本だけが負う義務として、この条約に規定されています。

上記の参考記事によると、この戦時加算で、例えば米国、英国、フランスの著作権は本来の年数に加えて3,794日、つまり約10年加算されています。


■非親告罪の内容

参考:
 「コミケ」開催の危機!?TPPが与える著作権の影響 | OVO [オーヴォ]
 http://ovo.kyodo.co.jp/column/a-649291

この記事によると、非親告罪の内容は以下の内容になるのではないかと予想されています。他の記事を読んでも、このような内容にまとまる可能性が高いのではないかと思います。

それにしても、親告罪から非親告罪への転換は、大きな変化になりますね。

『「非親告罪化」については各産業からの要望、TPP交渉結果の反映、政府の成長戦略等の達成という視点でさまざまな調整がなされた結果、「非親告罪化」を進めると共に、「2次創作物」を「非親告罪」の対象外とする方向で進むことになります。著作権を保護する姿勢を打ち出すと共に、創作者の団体やアニメーション・漫画産業に対する配慮と期待とを示した形です。』

2015年11月18日水曜日

知的財産管理技能検定2級 受験体験記 ~受験のポイントとは、法律の理解

知的財産管理技能検定3級を昨年受験し合格し2級の受験資格を得たので、今年11月、2級の試験にチャレンジしました。しかし、結論から言うと、3級が80段の階段としたら、2級は200段の階段だったということです。

80段の3級は、法律の専門家でない私には、かなりきつい階段ですが、2級は想像をこえた200段の階段でした。

今回は、知的財産管理技能検定2級にチャレンジした経験をもとに、2級受験のポイント、必要な参考書・問題集などを紹介します。


実は、この2級の勉強の前に、「ビジネス著作権検定(上級)」合格していたので、少しは安心していました。

そこで、まずは参考書を買って一通り読んだ後、過去問題を解いてみました。

まあ、合格ラインの8割は無理として、7割は解けるだろうと考えていましたが・・・なんと! 結果は6割程度しか解けませんでした。

著作権の問題は、ほぼ解けたのに、それでも6割の正解率・・・本当に情けない気持ちで一杯になると共に、厚い壁を感じました。
 

それから、毎日、参考書と過去問をにらめっこしながら、約3週間が過ぎました。毎日10時間以上はやったと思います。合計 200時間以上ですね。

その結果、なんとか、過去問で9割以上が解けるようになり、11月15日に受験。 

*2016.1.5 無事に合格しました! (学科=92%、実技=97%)

なお、知的財産管理技能検定2級を受験したときのポイントをまとめると以下のようになります。なお、今回、役に立った本は、最後にまとめて紹介します。


[知的財産管理技能検定2級受験のポイント]

1. 合格ラインが8割であり、中途半端な理解は命取りになります。少しでも疑問に思ったことは、インターネット、参考書や法律で確認下さい


2. インターネットの記事の中には、最新の法律に対応していない場合も多く、中には間違った記述もあります。最終的には最新の法律の条文を見て判断下さい。

 
3. 勉強の際は、知的財産関連の法律を見て、法律に慣れることが大事です。そのためにも、知的財産に関する法律の本は必須です。

 
4. 過去問などを解きながら、重要なポイントを自分なりにポイント集としてまとめる。

特許、実用新案、意匠、商標、種苗法、著作権で大事なポイント(目的、保護対象、登録要件、保護期間)などを横並びでまとめる。私は”知的財産のポイント集”として、Excelで作成しましたが、これが効果的でした。これが無ければ8割の合格ラインは確保できなかったと思います。


5. とにかく過去問をたくさん実施して、問題に慣れることことが大事です。私は、過去の学科・実技の過去4回分を3回、その他模擬試験問題も多数実施しました。

まずは参考書をよんで一通り知識を身につけ、過去問を解いてみて、参考書で確認する。これを何度も繰り返して下さい。なお、問題を解いた後、間違った所は、参考書、法律で必ず確認下さい。


6. 問題で難しいのは特許、商標、著作権です。なお、著作権の問題のレベルは難問なので、できれば「ビジネス著作権検定(上級)」の資格を事前に取っておくと楽になります。


7. 国際法、不正競争防止法の問題は必ず出題され、基本的な問題が多いように感じます。ここを確実に覚えておくと得点アップになります。

国際法は、たいていの場合、実技で最後の方に3問分出題されます。ここを確実にとることが大事ですね。また、不正競争防止法は、学科・実技で特許・意匠・商標などの問題に関連して出題されますので大事です。


8. 法律用語の一つ一つの言葉を正確に把握すること。

私が悩んだ言葉の一部を以下に紹介します。日常生活であまり使わない言葉もたくさんあるので、これらもしっかり理解することが必要です。今だに悩む言葉もありますが・・・

①「無効」と「取消」は意味が異なる。

②「みなす」と「推定」は意味が異なる。「みなす」は「推定」とは異なり、反証を挙げても覆らない。   

③「故意」、「過失」の意味を正確に理解すること(刑事罰は故意が前提)。民事上の措置で、故意・過失が前提になるもの、ならないものがある。

  故意:事故の行為から一定の結果が発生するのを知りながら、
     あえてその行為をすること
  過失:事故の行為から一定の結果が発生するのを認識できたのに、
     不注意により認識しない心理状態のこと



■ 作って役立つ「知的財産権に関するポイント集」


最初、問題を解きながら、存続期間は「出願日から20年」、「設定登録から20年」など、覚えることが多いこともあり、これは、何かにまとめないと、なかなか覚えきらないぞ!と気づきました。

最初は、気をつけたい内容、問題で間違えた内容を、単純にExcelに整理していました。

ところが、あるときに、これは、特許、実用新案、意匠、商標、種苗法、著作権で大事なポイント(目的、保護対象、登録要件、保護期間など)を横並びでまとめると覚えやすいことに気づきました。

そこで、横に知的財産権、縦に項目を記入し、横並びでまとめていくと、これがなかなかGoodでした。各知的財産権には、同じ内容もあれば、微妙に違うところがあります。

例えば、異議申立でも以下のように微妙に違います。一つずつ覚えるより、特許、商標などを横並びにして覚えると、記憶しやすくなりました。

 (特許)異議申立・・・特許掲載公報発行日から6月以内。
 (商標)異議申立・・・商標掲載公報発行日から2月以内。

もし、「知的財産権に関するポイント集」をまとめていなかったら、多くのことが頭の中で混乱し、多分、受験は失敗したと思います。

なお、参考に「知的財産権に関するポイント集」の一部を画像で紹介しますので、あくまでもポイント集を作成するときの参考用として見て下さい(中身については責任を持ちません、自己責任で見てください)。





■ 試験問題の解き方のポイント



(1) 問題を解くとき、選択肢で迷った時の判断

    ①    もう一度、問題文を読み直す   
    ②    自分で明確に正しい解答というものがあればそれを選択する   
    ③    選択肢を正しい内容(◯)、間違った内容(✕)に分類して判断する   
    ④    法律を細部に渡り理解していないと理解できない選択肢を選択しない   
     *正解は意外に基本的な所にあり!

(2) 問題文に騙されない

    ①問題では「出願前・・・」、「出願後・・・・」という”前”、”後”の言葉に気をつける
   
    ②著作権の問題では「公表されていない著作物」という微妙な表現があるので注意。公表されている場合OKでも、公表されていない場合は著作権違反になる場合が多い。
   
    ③「・・・と推定する」が正解なのに「・・・とみなす」としている選択肢があるので、正解と勘違いしないように要注意。   

  ④無効と取消は意味が異なるので注意する。
  
  ⑤「・・・における不公平な取引方法に不適切なもの」と二重否定している問題があり、頭が混乱する。「・・・における公平な取引方法」と肯定して考える。
  


■ 役立つ参考書


試験は、最新の法律に基づいて出題されますので、最新の法律に対応したものを購入することが大事です。

なお、知的財産権の法律は、頻繁に改正されていますので、インターネットの記事を見る場合でも、最新の法律に対応しているのか注意して見る必要があります。


■判例付き 知的財産権六法2015 平成27年版  *最新版があれば最新版を購入下さい!!

横書きで見やすい法律集です。法律集、さんざん悩みましたが、これは、絶対にお勧めします。知的財産管理技能検定2級の受験者必須の本です。

なお、法律関係の本は、改正されるので、最新版を購入することが大事です。




■知的財産管理技能検定2級・3級完全合格テキスト&問題集 改訂3版

この本は、普通の本のように、特許、実用新案、意匠、商標、著作権・・・のように説明するのではなく、ブランド保護(商標、不正競争防止法)、技術保護(特許、実用新案、国際条約、品種登録)などに分けて解説しています。

3級分も同時に復習でき、過去問の理解度チェックリスト、練習問題も豊富で、なかなか良いですね。

知的財産管理技能検定2級を受験する際は、最初、この本で基本をしっかり確認することが良いと思います。



■知的財産管理技能検定2級 速習テキスト&予想模試

この本は、知的財産権がよく分かる良書です。図・表が多く、複雑な内容がよく整理されています。

ただし、最新の法律に対応していないのが、とても残念です。

試験の参考書にも良いですが、知的財産に悩んだ時にも役立ちそうです。

この本は、過去問を解いた後、知的財産権を整理するのに役立ちました。他の本に比べ、頭の中が整理できます。

また、自分の実力を確認する予想問題(学科・実技の2回分)も付属しており、なかなかの難問で役立ちました。





■ 役立つ問題集


とにかく、過去問をしっかり何度も解くことが大事です。

過去問を解いて正解であっても、疑問が残った内容、選択肢の中で理解できない内容などを、必ず参考書や法律で確認下さい。

また、問題を解きながら、大事なポイントや間違ったところを、自分で作成した「知的財産権に関するポイント集」に追加していくと良いですね。


■知的財産管理技能検定 2級厳選過去問題集(2016年度版)

第10回(2011年11月)から第19回(2014年11月)までに実施された過去問題の中から、合格に必要な200問が厳選され掲載されています。また確認問題も、なかなかの良問です。この問題集は、とても役立ちました。

なお、問題の解説も丁寧なので、各選択肢が、何故、正解なのか、何故、間違っているのか、よく分かりました。




■過去に実施した3回分の検定試験の問題と正解

知的財産教育協会のホームページに公開されています。私は、ここに掲載されている3回分の問題を3回解いて、試験問題に慣れることができました。


 国家試験 知的財産管理技能検定 過去問題
 http://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kakomon



■ ビジネス著作権検定と知的財産管理技能検定を終えて


一昨年の2013年に、得意なはずの?「ビジネス著作権検定(上級)」に1問不足で不合格になってから、約2年が過ぎました。

最初は、悔しかったですが、基本から勉強し直そうと開き直り、以下の流れで資格取得を目指しました。

 【ビジネス著作権検定・知的財産管理技能検定の受験の流れ】
 
   ① ビジネス著作権検定(上級) ・・・✕2013年12月不合格
   ② ビジネス著作権検定(初級) ・・・◯2014年2月合格
   ③ 知的財産管理技能士(3級)  ・・・◯2014年3月合格
   ④ ビジネス著作権検定(上級) ・・・◯2015年6月合格
   ⑤ 知的財産管理技能士(2級)  ・・・?2015年11月受験、結果待ち
   

最初の試験、「ビジネス著作権検定(上級)」は1問の違いで不合格になりましたが、最初は、本当に悔しかったですね。しかし、このお陰で、知的財産管理技能士にもチャレンジでき、結果的には良かったと思います。

「雨降って地固まる」、私の好きな言葉です。

なお、知的財産管理技能士の著作権の問題は、かなりの難問なので、せっかく知的財産管理技能士の試験で著作権を勉強するので、私のように、以下の流れで資格取得するのも1つの手かもしれません。

   ① ビジネス著作権検定(初級)
   ② 知的財産管理技能士(3級)
   ③ ビジネス著作権検定(上級)
   ④ 知的財産管理技能士(2級)

2015年10月13日火曜日

著作権事例を40件集めたテキストを無料公開 事例で著作権を理解しよう!

著作権って難しくて、苦手、でも、著作権には関心があり、なんとか手っ取り早く知りたいと思いませんか?

苦手なものを克服するには、まずは、具体的な事例を知るのが一番です。そこで、著作権を理解するのに良い事例、著作権侵害しやすい事例を集めて、それをテキストとして公開しましたので、今回紹介します。

事例は、私が著作権と10年間格闘した経験と、著作権資格(ビジネス著作権検定 知的財産管理技能士)で学んだ内容から、身近な事例を40件集めました。

事例を読むだけでも、日頃、どんなことに注意しないといけないか、著作権がどんなものかも分かると思います。また、事例で著作権に対する苦手意識が少しでも消えたら幸いです。


著作権法違反の場合、「最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるにはその両方」で、意外に重い罰則です。ぜひ、事例を参考に、著作権は、どんなものか理解下さい。

著作権は、私達の生活全般に関係しており、知らずに他人の文章や画像を勝手に利用して著作権侵害にならないとも限りません。著作権は「知って安心、知らないと危険」なものです。


事例は、「家庭の中の著作権事例」、「インターネットの中の著作権事例」、「業務(仕事)の中の著作権事例です。なお、学校の中での著作権事例については、以下のサイトを参照して下さい。

 著作権Q&A|日本著作権教育研究会  http://www.jcea.info/Q&A.html

なお、著作権について、もう少し理解したい人は、以下のテキストを参照下さい。これで、事例の意味がよく分かると思います。


 著作権の疑問をスッキリ解決 ~「著作権の基礎」テキスト公開
 http://yumepatent.blogspot.jp/2015/10/blog-post_13.html



■ テキスト 「生活の中の著作権~事例で分かる著作権」


この資料は、10年以上の著作権との格闘経験と、著作権資格(ビジネス著作権検定 知的財産管理技能士)で学んだことから、生活の中で知っておきたい著作権の事例をまとめたものです。


《目 次》

1.初めに

2.家庭の中の著作権とは

 概要
 家庭の中での著作権事例

3.インターネットの中の著作権とは

 概要
 インターネットの中の著作権事例

4.業務(仕事)の中の著作権とは
 
 概要
 仕事の中の著作権事例



■「生活の中の著作権~事例で分かる著作権」(PDF資料) *Docs.com利用

*画面の中にマウスを置いて、マウスホイールを動かすことでページが変化。
*下記のリンクをクリックすると、別ウィンドウ(タブ)で表示。





https://doc.co/6BezZ5



[上記の資料が見にくい場合は、以下のGoogleドライブの資料を参照]


■「生活の中の著作権~事例で分かる著作権」(PDF資料) *Googleドライブ(共有)表示

 *新しいウィンドウ(タブ)で見ることができます
 *表示の大きさを変えて見ることができます (注)スマホでの表示もOK!

https://drive.google.com/file/d/0B3Awph90hFcAUzhmV0t5ekxPeUU/view?usp=sharing


著作権が苦手な方・知りたい方に「著作権の基礎」テキストを公開

著作権と聞くと、「エッー難しそう!」と思いがちですね。私の周りにも、著作権と聞いただけで嫌な顔をする人が、たくさんいます。私も、以前は、著作権と聞くと、めんどうだなあと考える一人でした。

ところが、何故か、10年前から著作権に興味を持つようになりました。その時から、著作権と格闘、最初はチンプンカンプンで、勉強すればするほど、疑問点は深まるばかり。その後、著作権の資格に挑戦する中で、ようやく少しづつ分かるようになりました。


この経験から、著作権に疑問を持っている人、知りたい人に、著作権の基礎がスッキリ分かるテキストができないか考え、テキストを作成してみたので、紹介します。



なお、やっぱり著作権って、めんどうくさいと思う場合は、下記の著作権事例を参照下さい。

  著作権が苦手な方に ~「事例で分かる著作権」テキスト公開
    http://yumepatent.blogspot.jp/2015/10/blog-post_15.html


■まずは小テストです



次の例は、いずれも著作権侵害をしているか、侵害の可能性が高いものです。何故か、分かりますか?

(1) 自分が持っているCDの音楽を動画につけて公開していませんか?

(2) インターネットで画像検索した画像を使って資料を作成していませんか?

(3) インターネットの記事を会社の会議の資料として印刷していませんか?

(4) 他人が写った写真を勝手に公開していませんか?


(1)は✕で、著作権を侵害します。

CDの中の音楽をインターネットで公開するは、実演家、レコード製作者、作詞家・作曲家の著作権を侵害します。

(2)は✕の可能性が大です。これって以外に知らない人が多いですね。

Google画像検索などで画像を検索した場合、それらの画像には有償のものがたくさんあります。利用する場合は、画像のライセンスを確認することが必要です。

(3)は✕で、著作権を侵害します。

会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。

(4)は要注意です。

他人が写った写真を安易に公開すると、「肖像権(しょうぞうけん)」というのを侵害します。


このように意外と、知らないうちに著作権を侵害している場合があります。「知って安心、知らないと危険」なのが著作権です。

著作権法違反の場合、「最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるにはその両方」で、窃盗罪と同じ重さの刑罰になっており、意外に重い罰則です。

また、著作権には「両罰規定」があり、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられます。厳しいですね。



■ 無料公開 「著作権の基礎」テキスト




今回のテキストは、法律の専門家でない私が、10年以上の著作権との格闘経験、及び著作権資格(ビジネス著作権検定 知的財産管理技能士)で学んだことをもとに作成しています。

市販の著作権関係の本は、なかなかレベルが高く、理解する前に挫折してしまうこともあります。そこで、挫折せずなんとか著作権を理解できるようにしたつもりです。
 



《目 次》

1.初めに
・インターネット時代のモラル、著作権法
・生活の中の著作権
・場所により著作権の厳しさが違います!
・もし著作権法に違反すると厳しい罰則が

2.著作権法の概要
・著作権のポイント~まずは基本を押さえよう
・著作権で守られる著作物と著作物でないもの
・著作物を作った人(著作者)の権利
・著作物を伝達する人(演奏・CD・放送)の権利(著作隣接権)
・著作権が存続する期間(保護期間)
・著作権法の罰則
・肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティ権
・著作物を自由に使える場合とは?
・他人が作成した文章・画像・音楽を使うには?

3.家庭の中の著作権とは
・概要

4.インターネットの中の著作権とは
・概要
・他人が作成した文章・画像・音楽を使うには?

5.業務(仕事)の中の著作権とは
・概要
・他人が作成した文章・画像を使うには?


■「生活の中の著作権~知って安心 著作権の基礎とは」(PDF資料) *Docs.com利用

*画面の中にマウスを置いて、マウスホイールを動かすことでページが変化。
*下記のリンクをクリックすると、別ウィンドウ(タブ)で表示。







https://doc.co/6BezZ5


[上記の資料が見にくい場合は、以下のGoogleドライブの資料を参照]


■「生活の中の著作権~知って安心 著作権の基礎とは」(PDF資料) *Googleドライブ(共有)表示

 *新しいウィンドウ(タブ)で見ることができます
 *表示の大きさを変えて見ることができます (注)スマホでの表示もOK!

https://drive.google.com/file/d/0B3Awph90hFcAODRQQkl4WDRLUDQ/view?usp=sharing



■ 《補足》インターネット時代のモラル、著作権


著作権は著作権法で定められていますが、「作成した文章や画像などの著作物を勝手に利用するのを防ぐ」ものです。また、撮影された写真を勝手に公表されたりするのを保護する、「肖像権」、「パブリシティ権」というのもあります。

しかし、著作権法には、「こんな時は他人が作成したものを使ってもいいよ」ということも、はっきり書かれています。

大事なのは、「こんなふうに利用したら(著作権を侵害せず)自由に使える」ということです。

他の人が作成した著作物(文章、画像など)を活用せず、全て、自分で文章などを作成するのは大変です。他人の著作権を侵害せず、尊重し、うまく活用することが大事です。

誰もがインターネットに情報発信し、インターネットから情報を利用する、現代こそ、著作権法の理解は大事です。著作権法は、まさに、インターネット時代のモラルです。

2015年10月1日木曜日

家庭の中で注意したい著作権とは  違法ダウンロードの刑事罰化と著作権事例紹介

著作権法は、「他人が作成した文章、画像などは、無断で利用できない」という面が強調されがちですが、「他人の著作物を自由に利用できる場合」も、著作権法で細かく定められています。

特に有名なのが、「私的使用の範囲ならば他人が作成したものは利用可能」という大原則。

この「私的使用の範囲」というのは、「家庭とか個人の範囲」であれば利用可能ということです。そのため、家庭の中で、新聞・雑誌・本やインターネットの記事をコピーしても、著作権上、問題になりません。また、好きなCDをコピーしてもOKです。


ただし、2012年の著作権法改正(違法ダウンロードの刑事罰化)で、家庭での利用にも制限がでてきました。今回は、家庭の中で注意したい著作権について、注意すべき事例もまじえ紹介します。

(注)私的範囲でも映画の盗撮はダメ!!
映画館等で映画の録音・録画を行うことは,私的使用のためであっても違法になります。



なお、家庭で実施するインターネットへの情報発信は、家庭の中で実施するとはいえ、注意が必要です。この場合は、著作権のことを充分考えることが必要です。

インターネットへの情報発信を家庭でしていると、著作権のことを何も考えずに、勝手に人の文書や画像を使いがちです。

しかし・・・・

インターネットのホームページ・ブログ・SNSの情報は世界中に発信されるため、「私的使用の範囲」の範囲を超え、他人が作成したもの(文章・画像など)を、インターネットで勝手に発信すると著作権違反になるので、充分注意ください。

なお、インターネットでの情報発信時に注意すべき点は、下記にまとめましたので、参考にして下さい。

 インターネット時代のモラル、著作権法~知って安心、知らないと危険、著作権法
 http://yumepatent.blogspot.com/2015/10/blog-post.html




■ 違法ダウンロードの刑事罰化
■  2012年の著作権法改正で家庭での利用にも制限が


著作権法を改正する法律が、2012年6月成立。違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)、DVDなどに用いられる暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること、などが盛り込まれました。

この改正内容は、家庭での利用にも制限がついた内容なので、より正確な内容を理解するため、著作権を担当(所掌)している文化庁の公開資料をもとに紹介します。


違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/download_qa/

平成24年通常国会 著作権法改正について 文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/

【情報モラル】著作権教育の取り組み方 著作権法改正|教育マルチメディア
http://www.kknews.co.jp/maruti/news/2012n/0806_4a.html


(1) 自分自身で楽しむことが目的であったとしても、インターネット上に無断で掲載された音楽や映画(海賊版)を、海賊版であると知りながらパソコンなどに取り込むこと(ダウンロード)は、違法な行為になります。

(2) 違法にインターネット上に公開されている音楽や映像が、一般に販売されているもので、そうと知りながらダウンロードする行為には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が課せられることになります。

(3) 録音・録画は違法ですが、写真のダウンロードは録音・録画でないので、違法になりません。

(4) 公開されているもので違法でない音楽や映像は、これまで通り私的使用目的の複製として著作権者の許諾なくダウンロードすることができます。

(5) 公開されている音楽や映像を聴いたり見たりするだけでは、たとえ違法な音楽や映像であっても、ダウンロードしていないので、著作権侵害には当たりません。

(6) 私的使用目的であっても、暗号型技術を回避して行う複製は違法になります(DVDリッピング違法化)。具体的には,現在DVDに用いられているCSSやBlu-rayに用いられているAACS等が該当します。




■ 家庭の中の著作権事例



■事例1:音楽CDに収録されている曲を、個人で楽しむために自分のデジタルオーディオプレーヤーにコピーして聴く行為は、違法でしょうか?

OKです、違法ではありません。

個人で楽しむために、自分のデジタルオーディオプレーヤーに録音する行為は、複製行為に該当しますが、私的使用が目的であり、違法ではありません。


■事例2:購入したCDの中に気に入った曲があったので、その曲を動画に使いインターネットに公開したり、ホームページで音楽を流す行為は、違法でしょうか?

NGで、違法です。

これはCDの中の音楽をインターネットで公開するは、私的使用では無くなり、実演家、レコード製作者、作詞家・作曲家の著作権を侵害します。


■事例3:レンタル店から借りたCDを自分のパソコンにコピーするのは行為は、違法でしょうか?

OKです、違法ではありません。

レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます(著作権法 30条)。


■事例4:個人で買ったDVDについて、家族の為に、技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は、違法でしょうか?

NGで、違法です。

技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は違法になります。「技術的保護手段を回避してのコピーは違法」(著作権法 30条1項2号)


■事例5インターネットの料理レシピーの中に母親の好きなものがあったので、Webページを印刷して母親に渡す行為は、違法でしょうか?

OKです、違法ではありません。

自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を印刷(複製)することができます(著作権法 30条)。


■事例6:本の中に好きな料理を紹介していたページがあったので、コンビニのコピー機でコピーする行為は、違法でしょうか?

OKで、違法ではありません。

コンビニのコピー機でのコピー、誰でもやっているので当然だよ! と思いがちですが、著作権上は、例外処理でOKになっています。

著作権法の第30条では、「公衆用自動複製機器によるコピーはできない」ことになっており、店舗に設置されたダビング機器でCDなどをコピーするのは違法です。ところが、著作権法の附則の第5条の2において、「文書又は図画をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める」ということになっています。

インターネット時代のモラル、著作権法~知って安心、知らないと危険、著作権法

ホームページにある文章をそのまま利用したり、他人の画像を勝手に使ったり、持っているCDの音楽を動画につけて公開したり、していませんか?これは、全て著作権法違反になります。

苦労して作成した文章や、自慢の写真や動画を、勝手に利用され、インターネットに公開されたら、どう感じますか? これは嫌ですよね。これを防いでくれるのも著作権法です。

著作権法は、「作成したものを勝手に利用するのを防ぐ」法律です。さらに、著作権法には、「こんな時は他人が作成したものを使ってもいいよ」ということも、はっきり明記しています。

今回は、インターネットで情報発信する場合の著作権上の注意点、他人が作成した文章・画像・音楽を使う場合の方法について紹介します。更に、著作権で悩む事例を紹介しますので、参考にして下さい。



なお、著作権は、「私的使用の範囲ならば他人が作成したものは利用可能」という大原則がありますが、これは「家庭とか個人の範囲」であれば利用可能ということ。

インターネットでの情報発信は、この「家庭とか個人の範囲」を超えて、世界中に発信されるため、他人が作成したもの(文章・画像など)を勝手に発信すると著作権違反になります。

そのため、新聞や雑誌、インターネットに公開されている記事や画像を、ブログ、Facebook、Twitterに勝手に利用するのは、”著作権違反”になるので注意下さい。


また、画像も勝手に利用できず、フリー画像で「利用は自由に!」とあっても、中には、画像の大きさを変更しないでという”利用時の注意事項”があるので注意が必要です。

また、著作権以外に気をつけるものに「肖像権(しょうぞうけん)」、「パブリシティ権」というのがあり、他人が写った写真を勝手に公開したり、タレント等の有名人が写った写真を公開することは禁じられています。



■ 文書・画像などを勝手に利用すると、「複製権」と「自動公衆送信権」を侵害!


著作権の中で、インターネットで特に重要な権利は、「複製権(コピーする権利)」と「自動公衆送信権(情報発信・公開する権利)」です。

「複製権」は、「著作物のコピーを作成する権利」です。この権利が作成者に与えられています。その為、他人の文書・画像などを勝手に利用すると、権利を侵害することになります。

次に、重要な権利は、「自動公衆送信権」で、「作成したものを情報発信・公開する権利」、つまり、作成したものをSNS・ブログ・ホームページで公衆に情報発信する権利です。

以上のことから、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネット上に公開すると、「複製権」及び、「自動公衆送信権」を侵害するということになります。



■ 著作権法の罰則

他人が作成した画像、文章、音楽データ等(著作物)を勝手に利用することは、著作権で規定された権利を侵害し、著作権法に違反したことになります。

著作権法に違反した場合、「最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるにはその両方」です。窃盗罪が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、窃盗罪よりも重い刑罰です。
なお、細かく言うと以下になります。

(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害
   ・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金
(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害
   ・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

なお、著作権には「両罰規定」があり、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられます(著作権法 124条)。



■ 肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティ権


友人含め他人が写った写真を、勝手にFacebook、twitterなどで公開していませんか? 実は、これは、「肖像権(しょうぞうけん)」または「パブリシティ権」という権利を侵害することになり、最悪は訴えられるので、注意が必要です。

「肖像権」というのは、むやみに自分の写真を公表されて、嫌な思いをしないための権利です。従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。

さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に、パブリシティ権というものがあります。

そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。



■ 他人が作成した文章・画像・音楽を使うには?



① 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」

自分の文書を補足し、”自分の文書が主で利用する文書が従”の場合は、”引用(いんよう)”となり、他人が作成したものを利用してもOKです。


②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索語に

パブリックドメインとは「自由に使ってもよい著作物」。検索後、利用する画像が決まったら、画像をクリックしていき、画像のライセンスが表示が“パブリックドメイン”、または“CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)”になっていることを確認下さい。

②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指

Google画像検索の「検索ツール」をクリック、次に「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定する。


③ 自由に使える音楽を探す方法~“パブリックドメイン”の音楽を公開しているサイトを見つける


■① 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」


他人が作成した文章は、以下の条件を守れば、引用し利用することが可能です。

(1) 主従関係
自分の著作が主で、引用される著作が従であること。量的にも質的にも自分の著作が主であること。

(2) 必然性があり最小限度
引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。

(3) 明瞭区分性
かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。

(4) 出所、著作者名の明記
引用する著作物の書名、著作者名などを明記し、出所が明確に分かること。ホームページからの引用の場合は、“ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。

(5) 引用部分の同一性保持権
引用する場合に、原文そのままで引用すること。なお、途中を省略する場合は“(中略)”などと明記する。


■②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索語に入れる


・Google画像検索で、“パブリックドメイン”を検索語の中に入れて検索。

例えば、「パブリックドメイン クリップアート コンピュータ」として検索。

・なお、画像をクリックしていき、ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。

*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物

(注)CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)は、著作者が能動的に権利を放棄したよという著作物です。ちなみに、パブリックドメイン作品とは、著作権の保護期間を過ぎ権利が消滅した著作物(写真や映画など)です。

記事やホームページなどで素材として使用する際は、制限がまったく無い、「パブリックドメイン」か、「CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)」の画像を使うとよいですね。





■ ②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指定

(1) Google画像検索の画面を表示

(2) 検索語を入力して検索実行

ただし、この段階で利用してはダメです。この段階の検索では、ライセンが不明です。
この段階の画像を利用すると、最悪は著作権侵害になります。

*検索語は「パソコン」のような日本語より、英語の「PC」のほうが多く検索できます。

(3) 検索ツールでライセンスを指定

①「検索ツール」をクリック
②「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定

《ライセンスの条件》

*「検索ツール」を使わない通常の検索は”L1”になっており、ライセンスが不明なため、利用できません。

 L1:ライセンスでフィルタリングしない

 L2:改変後の再使用が許可された画像       (非営利目的・商用目的でもOK)

 L3:再使用が許可された画像           (非営利目的・商用目的でもOK)

 L4:改変後の非営利目的での再使用が許可された画像(非営利目的はOK、商用目的はNG)

 L5:非営利目的での再使用が許可された画像    (非営利目的はOK、商用目的はNG)


仕事の業務などで 利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L2」
個人のブログなどで利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L4」

が良いですね。


(4) 使いたい画像のライセンスを確認

①ライセンスを指定して画像検索、使いたい画像をクリック
②大きく表示された画像をクリック
③ライセンスを確認

ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。
*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物






■③ 自由に使える音楽を探す方法~“パブリックドメイン”の音楽を公開しているサイトを見つける


インターネット公開用のフリーの音楽データとして以下があります。なかなか美しい音楽です。

 素晴らしい!クラシックのフリー音楽素材 :クラシック名曲サウンドライブラリー
 http://classical-sound.seesaa.net/

ここで提供されているクラシック音楽は、個人の動画編集から企業のコンテンツBGMまで、公開、非公開、商用、非商用を含め、利用が可能なサイトです。

また、インターネットの検索エンジンで、「パブリックドメイン 音楽」として検索すると、著作権が切れている音楽を見つけることもできますね。



■ インターネットの中の著作権事例



■事例1. 画像を利用する場合は”利用時の注意事項”を確認下さい!

他人が作成した画像データを勝手に利用するのは著作権侵害になるので、注意が必要です。

なお、”画像利用はフリー”と明言している場合でも、”利用時の注意事項”を充分確認することが必要です。

例えば、”利用時の注意事項”に、「画像はフリーですが、そのまま使うことを条件にフリーにしています。画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」という注意書きがある場合があります。この場合、画像を利用するときは、元の画像のままで利用しないといけません。


■事例2. 友人が写った写真でも公開する場合、本人の許可が必要です!

「肖像権(しょうぞうけん)」というのは、むやみに自分の写真を公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許可が必要です。街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。

親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。


■事例3. 有名人が写った写真を公開すると「パブリシティ権違反」になるので注意!

タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でSNSなどで使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。


■事例4. キャラクターの画像を利用するのは著作権違反です!

キャラクターの画像は著作権上の問題があるので、ホームページ・ブログ・SNS等には基本的には掲載できません。

ミッキーマウスやポパイのようなキャラクターの場合には、その原画が「美術の著作物」として著作物性を有するものであり、キャラクターを無断で利用した場合、キャラクターの原画の著作権侵害で訴えられます。


■事例5. 歌の歌詞を公開しても著作権侵害になるので注意!

歌の歌詞も著作権で保護されているので、SNS・ブログ投稿時に、歌詞をそのままのせないように注意下さい。
歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要です。(有名な一句くらいを引用することは大丈夫でしょうが)。

楽曲の歌詞の著作権はJASRAC(日本音楽著作権協会)によって管理されています。歌詞を利用する場合は、JASRACの許可が必要です。


■事例6. CD等の音楽をインターネットに公開するのは違法

自分が持っているCDの音楽をパソコンに取り込み利用するのは、私的範囲(個人的、家庭内などの限られた範囲)であれば、OKです。

ところが、CDに収録された曲をデジタル化してインターネットに公開するのは、私的な範囲を超え、違法(著作権侵害)になります。動画にCDの音楽を使うのも違法です。

この場合は、CD関係者の複製権、公衆送信権(送信可能化権)を侵害します。違法なので、訴えられる可能性があります。注意下さい。もし、利用する場合は、作詞家や作曲家等の著作権者、さらに、レコード製作者、実演家に許可を取る必要があります。


■事例7. 自分で撮った動画や写真は、自由にインターネットなどに公開してよいか?

自分で撮った動画や写真は自分の著作物だから、好きに使っても良いと考えがちです。直接的に著作権では問題ありませんが、それ以外のことも考えないといけません。

・他人が写っていないか? 個人の肖像権(プライバシー)を侵害しないか
・有名人が写っていないか? 肖像権に加えパブリシティ権を侵害しないか
・ストーカーや犯罪行為に巻き込まれる危険性はないか
・いじめや名誉毀損に使われる可能性はないか
・キャラクターがメインに写った動画や写真になっていないか

写真やビデオ撮影の際、背景に著作物であるキャラクターが写り込んでしまったり、キャラクターが写り込んだ写真をブログに掲載する場合、このような「写り込み」の利用は従来、厳密には著作権侵害に問われる恐れがありましたが、2013年1月以降は侵害行為に当たらなくなることが明確化されました。

ただし、「写り込み」として認められるのは、「分離することが困難」、「軽微な構成部分」で「著作権者の利益を不当に害することがない」場合とされていますので、注意下さい。

2015年9月27日日曜日

仕事の中で他人の文書・画像を勝手にコピーすると著作権違反です! 仕事の中の著作権とは

著作権法では、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で、私的使用のために複製使用することは認められています。

ただし、仕事の場合は、これに当たらず、インターネットの中の文章・画像の複製、新聞・雑誌・本などからの複製は、著作権法で禁じられていますので注意が必要です。フリーソフトの中にも「個人的利用はOKだが、商用(仕事)で使う場合はNG」というのも多数あります。

もし、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられますので(両罰規定)、注意が必要です(著作権法 124条)。

なお、著作物が自由に使える場合が、下記のサイトで、分かりやすく、自由に使える場合が細かく説明されています。

 はじめての著作権講座
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html

 著作物が自由に使える場合|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html

 社内プレゼン用資料と著作権 ~著作物を載せてもOKな場合とは? – GVA法律事務所
 http://gvalaw.jp/venturelaw/archives/714.html


特に、仕事で他人の著作物を利用する場合、”引用”であればOKなので、これをよく理解しておくと良いですね。詳しくは、以下で説明します。



なお、もし、どうしても仕事上、必要な場合は、権利者から許可をもらい利用することが必要です。以前、私が実施した例を以下に紹介します。




■ 他人が作成した文章・画像を使うには?



①他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」

自分の文書を補足し、”自分の文書が主で利用する文書が従”の場合は、”引用(いんよう)”となり、他人が作成したものを利用してもOKです。


②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索語に
パブリックドメインとは「自由に使ってもよい著作物」。検索後、利用する画像が決まったら、画像をクリックしていき、画像のライセンスが表示が“パブリックドメイン”、または“CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)”になっていることを確認下さい。

②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指定

Google画像検索の「検索ツール」をクリック、次に「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定する。




■ ① 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」



他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には、以下の事項に注意しなければなりません。この条件を守っていれば、仕事の中でも、他人の著作物を利用することができます。

(1) 主従関係

自分の著作が主であって、引用される著作が従であること。主と従は、量的にも自分の著作が大半を占める以外に、質的にも自分の著作が主であることが必要です。

(2) 必然性があり最小限度

引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。

(3) 明瞭区分性

かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。

(4) 出所、著作者名の明記

引用する著作物の書名、著作者名等を明記し、出所が明確に分かること。文章だけでなく、各種データ、図表、画像等についても出典・出所を明示すること。

記述例) ”著者名『書名』、発行所名、発行年、引用ページ”を記述する。
     インターネットからの引用の場合は、”ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。

(5) 引用部分の同一性保持権

引用する場合に、原文、原画そのままで引用すること。なお、文章を引用する場合に、途中を省略する場合は”(中略)”などと明記すること。


(引用)第三十二条
 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。






■ ②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索後に入れる



・Google画像検索で、“パブリックドメイン”を検索語の中に入れて検索。

例えば、「パブリックドメイン クリップアート コンピュータ」として検索。

・なお、画像をクリックしていき、ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。

*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物







 
■著作物を自由に使える場合 「パブリックドメイン(Public Domain )」とは

「Public:公共の、Domain:所有物」ということで、著作権などの知的財産権のない状態のものを言います。簡単にいえば「自由に使ってもよい著作物」のことです。
Public Domainになるものとしては大きく以下があります。
・著作者が、権利を放棄したもの
・著作者の死後、一定の時間(日本の場合は50年)が経過して著作権が消滅したもの


■著作物を自由に使える場合 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」とは

クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。

CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で利用することができます。

なお、CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)は、著作者が能動的に権利を放棄したよという著作物です。ちなみに、パブリックドメイン作品とは、著作権の保護期間を過ぎ権利が消滅した著作物(写真や映画など)です。

記事やホームページなどで素材として使用する際は、制限がまったく無い、「パブリックドメイン」か、「CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)」の画像を使うとよいですね。



■ ②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指定





(1) Google画像検索の画面を表示

(2) 検索語を入力して検索実行

ただし、この段階で利用してはダメです。この段階の検索では、ライセンが不明です。
この段階の画像を利用すると、最悪は著作権侵害になります。

*検索語は「パソコン」のような日本語より、英語の「PC」のほうが多く検索できます。

(3) 検索ツールでライセンスを指定

①「検索ツール」をクリック
②「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定

《ライセンスの条件》

*「検索ツール」を使わない通常の検索は”L1”になっており、ライセンスが不明なため、利用できません。

 L1:ライセンスでフィルタリングしない

 L2:改変後の再使用が許可された画像       (非営利目的・商用目的でもOK)

 L3:再使用が許可された画像           (非営利目的・商用目的でもOK)

 L4:改変後の非営利目的での再使用が許可された画像(非営利目的はOK、商用目的はNG)

 L5:非営利目的での再使用が許可された画像    (非営利目的はOK、商用目的はNG)

仕事の業務などで 利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L2」
個人のブログなどで利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L4」

が良いですね。


(4) 使いたい画像のライセンスを確認

①ライセンスを指定して画像検索、使いたい画像をクリック
②大きく表示された画像をクリック
③ライセンスを確認

ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。
*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物



■ 仕事の中の著作権事例



■事例1:新聞に自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為は、OKでしょうか?


NGで、違法です。

私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。


■事例2:業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為は、OKでしょうか?


NGで、違法です。

会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。


■事例3:高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為は、OKでしょうか?


OKです、違法ではありません。

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。


■事例4:予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。


■事例5:パソコンで使っている市販のソフトが、なかなか便利なので、職場の他のパソコンにコピーして使う行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

この行為は“ソフトの違法コピー”で、もし発覚したら、多額の罰金が課せられ、社会的な信用も失います。
コンピュータ・プログラムは目には見えませんが、それを作る人が苦労して考え、その考え方を表現して作成するもので、著作権法で保護される著作物のひとつです。

プログラムには、ウインドウズのようなOS(オペレーティングシステム)やワープロやゲームソフトのようなアプリケーション・ソフトといったものなどいろいろな種類のものがありますが、これらはすべて著作権法で保護されます。


■事例6:Webサイトに公開してあるフリーソフトに社内でも役立つソフトがあり、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあったので、社内の構内LANのサーバーに保管してダウンロードして利用する行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

フリーソフトの利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあっても、LANのサーバーにプログラムを置く行為は、公衆送信権(自動公衆送信権、送信可能化権)の侵害となり、違法です。


■事例7:講演会のプレゼン内容に関係のある新聞記事があったので、それを写真に撮り、講演会の時にスクリーンで見せる行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です

1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。

例えば、講演会におけるOHPによる著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。


■事例8:社内のプレゼン資料で必要なデータがあり、画像検索したら、ピッタリの画像があったので、この画像をプレゼン資料に貼り付けて、会議の席上で説明した。

NGで、違法です。
画像検索の画像を、社内プレゼン資料に使用すると、これは著作権法違反になる可能性が高く、注意が必要です。複製権(コピー)の侵害に加え、上映権の侵害にもなります。

*上映権とは、一般的には映写幕に著作物を映写することですが、プレゼン資料の上映なども含まれます。

自由に使える画像を探す場合は、画像検索で“パブリックドメイン”を検索後に入れると良いですね。例えば、「パブリックドメイン クリップアート コンピュータ」として検索(パブリックドメインとは、著作権などの知的財産権のない状態のもの)。


なお、画像をクリックしていき、画像のライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認下さい。 *CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物




■ 著作権を考慮しない、単純な画像検索には要注意!!


社内プレゼン術という、人気のある書籍の解説記事が以下のホームページにありました。なかなかよい記事で参考になるなあと思っていました。ところが、よく見ると、この記事の中に著作権をあまり考慮していない内容があり、驚きました。

 ソフトバンクでも活用の「社内プレゼン術」(2)
 「10秒でわかる」グラフ作成テクニック10連発!|社内プレゼンの資料作成術|ダイヤモンド・オンライン
 http://diamond.jp/articles/-/77496



この記事では、社内プレゼンで使うデータに、Google画像検索を利用するとよいという、以下の記述がありました。

『重宝するのが「画像検索」。グラフや表は「画像」としてインターネット上に存在していますので、テキスト検索をしてからデータを探すよりも、画像検索のほうが求めているデータにたどり着くスピードが圧倒的に速いのです。』(上記のダイヤモンド・オンラインの記事より)

しかし、記事の中で紹介している画像は、単純な「富士山 登山者数」で画像検索している画面でした。

著作権を考慮しない、単純な検索結果の画像には、著作権がある場合が多く、社内プレゼン資料に使用すると、これは著作権法違反になる可能性が高く、注意が必要です。

ちなみに、「富士山 登山者数」で画像検索した場合と、著作権を考慮した「パブリックドメイン 富士山 登山者数」で画像検索した場合とでは、検索結果が大きく異なります。

2015年7月25日土曜日

著作権侵害はどう罰せられるか? 著作権法における親告罪について

著作権侵害は、基本的に親告罪、つまり、告訴がなければ公訴提起(刑事裁判をすること)ができない犯罪となっています。

ただし、親告罪であっても、人の著作物を不正に利用するのは著作権を侵害しており、もし、自分が公開した内容が著作権侵害であることに気づいたら、一刻も早く、その内容を削除(または変更)することが必要です。そうすることで、著作権者からの告訴も未然に防ぐことができます。


(注)私の経験ですが、以前、インターネットで公開されている内容で、会社の教育資料にどうしても利用したい場合がありました。このときは、公開されている方に、利用したい旨を連絡し、了解を頂いた上で利用しました。


なお、著作権侵害がどう罰せられるかが、文部科学省の以下の記事に詳しく書かれています。主観を排除するため、この内容をもとに、著作権侵害がどのように罰せられるかを説明します。

 文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第2回)議事録・配付資料 [資料5]-文部科学省
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07042304/004.htm



著作権法において、基本的な権利である、著作権・著作者人格権・出版権、実演家人格権及び著作隣接権は「親告罪」になっています。

これらは、私権であって、刑事責任を追及するかどうかは被害者である権利者の判断に委ねることが適当で、被害者が不問に付することを希望しているときまで国家が主体的に処罰を行うことが不適切であるためです。

ただし、以下の内容は非親告罪となっています。

 ・死後の人格的利益の保護侵害(第120条)
 ・技術的保護手段を回避する装置・プログラムの公衆譲渡等の罪(第120条の2第1号及び第2号)
 ・出所明示の義務違反(第122条)、著作者名を偽る罪(第121条)である。

なお、知的財産戦略本部会合(第16回)「知的創造サイクルの推進方策」(平成19年3月29日)によると、海賊版対策の更なる強化を図る為、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているものについては、非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、必要に応じ法制度を整備するとなっています。

今後、著作権侵害における親告罪・非親告罪の適用範囲が変更になる可能性もあります。

また、2015.7.25現在、TPP交渉でも「非親告罪」に統一する方向で最終調整に入っており、今後、大きく変化することも予想されます。


■著作権者の告訴なくても起訴可能に TPP交渉で調整 (2015年7月25日付 朝日新聞)

2015年7月25日付の朝日新聞によると、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、参加12カ国が著作権侵害に対する刑事手続きについて、著作権者の告訴がなくても捜査当局が起訴できる「非親告罪」に統一する方向で最終調整しているそうです。

交渉では、米国が他国に出回っている海賊版や模倣品が摘発されやすくなるように、自国と同じ「非親告罪」への統一を主張。参加国のなかで親告罪を採用するのは日本とベトナムだけで、日本は米国の主張を受け入れる方向で検討に入ったとのこと。



■ 親告罪と非親告罪の著作権上の規定

著作権侵害等については親告罪とされていますが、著作権法には非親告罪の規定も存在します。

■親告罪とされるもの

第119条第1項・・・・・・著作権、出版権又は著作隣接権に対する侵害
第119条第2項第1号・・・著作者人格権又は実演家人格権に対する侵害
第119条第2項第2号・・・営利目的による自動複製機器の供与
第119条第2項第3号・・・侵害物品を頒布目的により輸出・輸入・所持する行為
第119条第2項第4号・・・プログラムの違法複製物を電子計算機において使用する行為
第120条の2第3号・・・・権利管理情報営利改変等
第120条の2第4号・・・・国外頒布目的商業用レコードの営利輸入等
第121条の2・・・・・・外国原盤商業用レコードの無断複製
第122条の2第1項・・・・秘密保持命令違反


■非親告罪とされるもの

第120条・・・・・・・・・・・・著作者・実演家死後の人格的利益の保護侵害
第120条の2第1号及び第2号・・・技術的保護手段を回避する装置・プログラムの公衆譲渡等
第121条・・・・・・・・・・・著作者名詐称複製物の頒布
第122条・・・・・・・・・・・出所明示の義務違反


《補足》何故 親告罪か?

 【TPP】著作権非親告罪化 現状の解説まとめと、諸外国と他法域の比較から検討
 http://ipfbiz.com/archives/tpp_copyright.html


このサイトの説明によると、一般的に、親告罪とする理由は、大きく3つに分類されています。

 ①犯罪の軽微性
 ②被害者の名誉等の保全
 ③家族関係の尊重

著作権侵害が親告罪とされている理由は①の類型に近く、さらに、著作権法の保護法益は私権的側面が強く、刑事責任を追及するかどうかは権利者の判断に委ねることが適当という考え方と、行政的な理由があると言われています。

なお、特許権侵害は、以前は親告罪でしたが、平成10年法改正で非親告罪とされました。特許権者のほとんどが法人となり人格権の保護という色彩がなくなり、特許権の保護に公的性格の高まりがあったため非親告罪となったようです。

2015年7月7日火曜日

著作権の資格 「ビジネス著作権検定(上級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介

インターネットを活用するときに、最も知っておきたい法律、それは「著作権法」です。ブログ、Twitter、Facebook、Youtubeなどを活用する上で、著作権法は欠かせません。個人的にも必要ですが、仕事の関係でインターネットを活用する場合、著作権法を知らないと危険です。
今回は、著作権法の理解に役立つ、「ビジネス著作権検定(上級)」を受験し、無事に合格しましたので、効果的な試験対策と役立つ本の紹介をします。 

*実は、この試験、無事に2回目の今年2015年6月の受験で合格することができました。

最近は問題が難しくなっており、著作権法の条文を細かく理解していないと合格できません。最初の上級試験、著作権法をあまり理解しないまま上級を受験し、結局、不合格でした。今から思えば、無謀な挑戦でした。

著作権法に詳しい方は別として、「ビジネス著作権検定」を受験する場合は、まずは初級から受験することをお勧めします。

なお、1回目の受験の失敗の経験から、2回目の上級の受験時は、著作権法を知ることが大事だと考え、インターネットで公開している著作権法の条文を、まずはWordにコピーし、過去問を解くときは必ず著作権法を確認するようにしました。また、問題を解く中で気づいた点を、Wordの著作権法に書き込んでいきました。

 「ビジネス著作権検定(上級)」の受験時は、著作権法を条文の細かい点まで理解することが必要

著作権法に慣れないうちは、過去問を解きながら、そのつど著作権法を見るようのは、なかなかしんどいですが、徐々に慣れてきますので、上級試験を受験される方は、ぜひ、手元に著作権法をおいて、勉強して下さい。




(注)「ビジネス著作権検定(初級)」の受験体験記は以下のブログを参照下さい。

 著作権の資格 「ビジネス著作権検定(初級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介
 http://yumepatent.blogspot.com/2014/03/blog-post.html




■ 「ビジネス著作権検定(上級)」の効果的な勉強方法



1. まずは著作権法を整理し、「自分用の著作権法メモ」を作成

最新の著作権法をWordにコピーし「自分用の著作権法メモ」を作成、条文毎に見出しをつけて、ナビゲーションウィンドウを表示させ、関係する条文を見つけやすくします。

なお、作成した著作権法のデータを「自分用の著作権法メモ」として、過去問を解く時に参照したり、過去問の解説の中から覚えておきたい内容を追加していきます。


(注)Wordでなくても他のワープロソフトやテキスト・エディターでもOK。

 著作権法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html






(注)著作権法の条・項・号とは

一般的に、法律は、「条」と「項」からできています。項は、条文の段落のことです。算用数字が付されている部分です(第1項だけは数字が付されません)。

号は、いくつかの事柄を列記するときに使われ、漢数字です。「号」は、「条」にも「項」にも使われ、「第○条第×号」のように「項」がないときにも使われます。

号の内容をさらに細かく列記したいときには「イ、ロ、ハ」を使い、なお細かくしたいときには「⑴、⑵、⑶」を使います。但し、これらには、名前はなく、そのまま、「イ、ロ、ハ」などと呼ばれます。



2. 著作権法に関する問題集で著作権の条文を細かく理解


著作権法の条文を理解したく、適切な問題集がないか探した結果、見つけたのが 「著作権法一問一答集 GSN (著)」 という本。

Amazonで購入しようとしたら中古本しかなく、やむなく中古本を購入。なお、著作権法は頻繁に改訂されるので、中古本を購入した場合は、記述内容が古い場合がありますので、注意下さい。

この本には、著作権法に関して約500問の小問題があり、著作権法を細かく勉強できます。但し、500問あるので、粘り強く、根気よく実施することが要求されます。

なお、次に紹介する過去問中心の問題集でも著作権法を理解できますが、漏れがでてきますので、できれば、「著作権法一問一答集 GSN (著)」のような本で、条文ごとに著作権法を勉強することをお勧めします。


3. 過去問等の問題集を解く

初級も同じでしたが、とにかく過去問を解くことが大事です。過去問を解くことで、著作権法が具体的に理解できるようになり、試験問題にも慣れることができます。

様々な問題集がありますが、お勧めは下記の本です。上級の問題集に加え、初級の問題集をやることも効果があります。

 

 (1) 「ビジネス著作権検定 初級 問題集」(編 著:サーティファイ著作権検定委員会)
     初級の練習問題が85問、過去問題が2回分収録されており、合計145問

 (2) 「ビジネス著作権検定 上級 問題集」(編 著:サーティファイ著作権検定委員会)
     上級の練習問題が93問、過去問題が2回分収録されており、合計173問



《過去問を解くときのポイント》

問題は選択肢の中なら該当するものを選択する問題ですが以下がポイントです。

・問題が正しく解けたかどうかにこだわらず、問題の選択肢の正解/不正解の理由を明確にすることが大事

  とかく”正解だったらいいや”となりがちですが、これでは上級は合格しません。
  問題を解いた後、必ず問題の解説を見て、各選択肢の正解/不正解の理由を明確にしてください

・問題を解きながら著作権法の各条文を参照する

  上級は著作権法の細かい内容(例えば、著作権法の( )書きの部分)も問われます。
  著作権法の条文の内容に慣れることが必要です。

・何度も繰り返し解く(少なくとも3回は繰り返す)

  最初から完璧には解けません。とにかく9割以上正解するまで、根気強く何度も解くことが必要です。


4. 問題を解きながら「自分用の著作権法メモ」に補足の内容を追加

過去問を解きながら、作成した「自分用の著作権法メモ」を参照したり、過去問の解説の中から覚えておきたい内容を「自分用の著作権法メモ」に追加していきます。

このようにすることで、「自分用の著作権法メモ」を充実させていきます。また、覚えておきたい箇所は、フォントの文字を大きくしたり、色を赤字にしたりすると、復習時に役立ちます。


5. 著作権全体を復習

過去問題を解いた後、今一度、著作権全体を本で復習すると効果的です。このことで、関連する事柄が結びつき、頭の中が整理できます。このときに読む本として、以下をお勧めします。詳しくは、以下の”役立つ本”を参照下さい。

(1) 「ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 改正著作権法(H26改正)対応版 (瞬解テキストシリーズ) 」(塩島 武徳 (著))

(2) 「著作権法入門〈2014-2015〉」(文化庁編集)

(3) 「クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。」(鷹野 凌 (著), 福井 健策 (監修))



6.最後に、もう一度、過去問を復習

著作権全体を復習してから、再度、過去問を解くと効果的です。なお、以下のサイトにも、問題が公開されていますので、利用下さい。

 サーティファイ検定試験シミュレーションSite【模擬検】
 http://www.kenteisiken.com/?_ga=1.217746897.610173792.1432681223#challenge

 著検過去問題集(上級) | ビジネス著作権検定の情報なら塩島武徳先生の「みんなの著検」
 https://www.biz-shikaku.com/mincho/past-exam-advanced




■ 役立つ本


■著作権法一問一答集 GSN (著)

Amazonで購入しようとしたら中古本しかなく、やむなく中古本を購入。なお、著作権法は頻繁に改訂されるので、中古本を購入した場合は、記述内容が古い場合がありますので、注意下さい。

著作権法に関して約500問の問題と解答例が収録されており、著作法の理解に役立ちました。

問題数が多いので、多少、不明な点があっても、どんどん先に進んで下さい。この本を利用する目的は、著作権法の各条文を1つずつ確認することが目的です。疑問点は、他の参考書で確認下さい。


著作権法一問一答集
著作権法一問一答集
著:GSN
出版社:東洋法規出版
発売日:2008/03

参考価格:¥ 3,780
価格:¥ 3,780
OFF : ()

ポイント : - (-)

中古価格:¥242より

ジャンル:Book
単行本
-

発送可能時期:出品者から通常2営業日以内に発送します。
(2015/07/07 12:34現在)



■「ビジネス著作権検定 初級 問題集」(編 著:サーティファイ著作権検定委員会)

初級の問題集ですが、復習という意味で、この初級問題集を解くのも有効です。この本には、初級の練習問題が85問、過去問題が2回分収録されており、合計145問もあります。

解説も丁寧で、”何故、正解なのか” ”何故、不正確のか” がよく分かり、関連する著作権法の条文も紹介されています。この本は、ビジネス著作権検定を実施しているサーティファイの提供の本なので、その意味でも安心できます。

なお、Amazon含め市販で販売されておらず、下記の「株式会社ウイネット ONLINE SHOP」の「ビジネス著作権検定」の所から購入を申し込みます。 *上級を受験する方は、初級・上級合せて購入すると送料が節約できます。

 株式会社ウイネット ONLINE SHOP ~個人向けショッピングサイト~
 https://bookshop.wenet.co.jp/

 ビジネス著作権検定|株式会社ウイネット ONLINE SHOP ~個人向けショッピングサイト~
 https://bookshop.wenet.co.jp/products/list.php?category_id=117


■「ビジネス著作権検定 上級 問題集」(編 著:サーティファイ著作権検定委員会)

上級の受験には必須の問題集です。この本には、上級の練習問題が93問、過去問題(各40問)が2回分収録されており、合計173問もあります。私は、この問題集を3回繰り返し実施しましたが、何度も繰り返し実施することが必要です。

初級の問題集同様、解説も丁寧で、関連する著作権法の条文も紹介されています。この本は、ビジネス著作権検定を実施しているサーティファイの提供の本なので、その意味でも安心できます。

なお、初級同様、上記の「株式会社ウイネット ONLINE SHOP」の「ビジネス著作権検定」の所から購入を申し込みます。

*上級を受験する方は、送料が節約できるので、初級・上級問題集、合せて購入下さい。


■「ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 改正著作権法(H26改正)対応版 (瞬解テキストシリーズ) 」(塩島 武徳 (著))

この本は、解説も分かりやすく、章ごとの確認テスト、「初級」「上級」それぞれの分野別過去問題(解答も丁寧)もあり、コンパクトな本なので、使いやすいですね。著作権法の全体を短時間に復習するには良い本です。


ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 改正著作権法(H26改正)対応版 (瞬解テキストシリーズ)
ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 改正著作権法(H26改正)対応版 (瞬解テキストシリーズ)
著:塩島武徳
出版社:青月社
発売日:2015/02/20

参考価格:¥2,160
価格:¥85
OFF : ¥2,075 (96%)

ポイント : 21pt (25%)

中古価格:¥2,160より

ジャンル:Book
単行本
-

発送可能時期:在庫あり。
(2015/07/07 17:42現在)



■「著作権法入門〈2014-2015〉」(文化庁編集)

この本は、著作権の本家である文化庁が編集し、著作権情報センターが出版しており、著作権法を正確に分かりやすく紹介しています。著作権の勉強には欠かせない本だと思います。

この本は、著作権法が改正されたときに、必ず、最新版に更新されますので、購入する際は、最新のものを購入ください。


著作権法入門〈2014-2015〉
著作権法入門〈2014-2015〉
編集:文化庁
出版社:著作権情報センター
発売日:2014/10/29

参考価格:¥2,376
価格:¥710
OFF : ¥1,666 (70%)

ポイント : 23pt (3%)

中古価格:¥2,376より

ジャンル:Book
単行本(ソフトカバー)
-

発送可能時期:在庫あり。
(2015/07/07 17:49現在)


■「クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。」(鷹野 凌 (著), 福井 健策 (監修))

インターネットに関わる人には一度は読んで欲しい本です。この本、内容は簡単な感じがしますが、実は著作権法の内容も、細かく紹介しています。また、著作権法以外にも、関係する民法や刑法にも触れており、なかなか役に立ちます。

なお、私は、「ビジネス著作権検定 上級」の受験勉強の合間に、この本を読んで、頭の整理ができました。一般の人で、ブログ・Twitterなどを活用している人にも有効だと思います。


クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。
クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。
監修:福井 健策
出版社:インプレス
発売日:2015/04/24

参考価格:¥1,296
価格:¥1,296
OFF : ()

ポイント : 39pt (3%)

中古価格:¥1,091より

ジャンル:Book
単行本(ソフトカバー)
-

発送可能時期:在庫あり。
(2015/07/03 15:26現在)



■ 何故、「ビジネス著作権検定」に挑戦したのか?


例えば、インターネットでの以下のような行為は、著作権法違反、つまり法律違反となります。

・インターネットにある情報や、新聞・雑誌などの記事の内容を、そのまま勝手に利用
・他人が作成した画像をブログやホームページに勝手に利用
・他人が写った写真を勝手に公開 *この場合は著作権ではなく”肖像権(しょうぞうけん)”を侵害

もし、著作権法に違反した場合、最悪「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金」という重い罰則(窃盗罪(せっとうざい)と同じレベル)が科せられる可能性があるので、注意しなければなりません。

なお、仕事の関係で著作権法に違反した場合、行為者本人だけでなく、その使用者である法人も共に罰せられ、法人に対する罰金は、3億円以下の罰金と巨額です。

インターネットを活用するからには、著作権法が難しいからと言って、避けることはできません、少しでも理解することが必要だと考えています。

もし、仕事の関係でインターネットを利用している方には、著作権法は必須だと言っても過言ではないと思います。

しかし、著作権法といっても、なかなか勉強する気にはなれないものです。そこで、私が実践したのが、「ビジネス著作権検定」を受験することでした。


この「ビジネス著作権検定」には「初級」と「上級」があります。最初、私は、著作権法を多少は勉強し少し自信があったのか、何故か「上級」から受験。

ところが、最初の「ビジネス著作権検定(上級)」の結果は「1問の差で不合格」!

これには、本当にショックを受けました。多少は自信がありましたが、そう簡単に合格できないと思い、数ヶ月間、真剣に勉強し、それなりに合格の手応えがあったのでショックでした。

その後、最初から勉強し直そうと、まずは「ビジネス著作権検定(初級)」から受験することにしました。 *無事に2014年2月に合格

そして、そのあと、再度、上級を受験し、無事に2015年6月に合格。

上級試験は2回受験しましたが、お陰で、著作権法について詳しく知ることができ、良かったと思っています。もし、ギリギリで合格していたら、多分、いい加減な知識のままでしたね。


著作権法に詳しい方は別として、「ビジネス著作権検定」を受験する場合は、まずは初級から受験することをお勧めします。

2015年3月13日金曜日

Facebook、Twitter、ブログで気をつけたい著作権とは? 勝手に他人の記事・写真を使うと法律違反に

Facebook、Twitterに、気に入った文書・画像などを投稿する人は多いと思いますが、実は、注意をしないと”著作権違反”になり、最悪の場合、訴えられるので注意が必要です。

ここでは、Facebook、Twitterに投稿する際に注意すべきことをまとめてましたので、参考にしてください。

画像、文章、音楽データ等は、作成者(著作権者)のもので、法律「著作権法」で守られていますので、勝手に利用できません。

そのため、新聞や雑誌、インターネットに公開されている記事をそのまま利用し、自分の文書のように投稿するのは、当然”著作権違反”になるので注意下さい。

ただし、全く利用できないと言うわけではなく、文書の場合だと、自分の文書を補足し、”自分の文書が主で利用する文書が従”の場合は、”引用(いんよう)”となり、他人の文書を利用しても良いということになっています。

なお、引用する場合、守るべき事項が何点かあるので、注意が必要です。これについては後で説明します。

また、画像も勝手に利用できず、フリー画像で「利用は自由に!」とあっても、中には、画像の大きさを変更しないでという”利用時の注意事項”がある場合があるので注意が必要です。

また、著作権以外に気をつけるものに「肖像権(しょうぞうけん)」、「パブリシティ権」というのがあります。

他人が写った写真を勝手に公開したり、タレント等の有名人が写った写真を公開することは禁じられています。


なお、他人が作成した文書や画像を、SNS・ブログ・ホームページに勝手に利用し、著作権を侵害した場合(著作権法に違反した場合)、最悪「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金」のように重い罰則が科せられます。



■ まず著作権とは


他人が作成した画像、文章、音楽データ等は作成者のもので、法律"著作権法"で守られています。子供が描いた絵でも立派な著作物です。

その為、他人が作成したものを勝手に利用することは、"複製権(コピーして利用する権利)"などの権利を侵害し、著作権に違反したことになります。



■ 新聞記事などの他人の文書を勝手に利用すると、「複製権」と「自動公衆送信権」を侵害!


著作権の中で、インターネットで特に重要な権利は、「複製権(コピーする権利)」と「自動公衆送信権(情報発信・公開する権利)」です。

「複製権」は、「著作物のコピーを作成する権利」です。この権利が作成者に与えられています。

その為、他人の文書・画像などを勝手に利用すると、権利を侵害することになります。

次に、重要な権利は、「自動公衆送信権」で、「作成したものを情報発信・公開する権利」、つまり、作成したものをSNS・ブログ・ホームページで公衆に情報発信する権利です。

以上のことから、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネット上に公開すると、「複製権」及び、「自動公衆送信権」を侵害するということになります。



■ 他人が作成した文章は、ある条件を守れば利用することが可能(引用)


他人が作成した文章は、ある条件を守れば、引用し利用することが可能です。

自分のオリジナルの文章が多くを占め、自分の文章の説明や補強として、他人の文章を利用する(引いてくる)というのが”引用”です。以下に引用時の注意事項を示します。


(1) 主従関係

自分の著作が主で、引用される著作が従であること。量的にも質的にも自分の著作が主であることが必要。

(2) 必然性があり最小限度

引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。

(3) 明瞭区分性

かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。

(4) 出所、著作者名の明記

引用する著作物の書名、著作者名などを明記し、出所が明確に分かること。

例)本からの引用の場合・・・“『書名』著者名、発行所名、発行年、引用ページ”のように記述

ホームページからの引用の場合・・・“ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。

(5) 引用部分の同一性保持権

引用する場合に、原文そのままで引用すること。なお、途中を省略する場合は“(中略)”などと明記する。



■ 画像を利用する場合は”利用時の注意事項”を確認下さい!


他人が作成した画像データを勝手に利用するのは著作権侵害になるので、注意が必要です。

なお、”画像利用はフリー”と明言している場合は利用してよいですが、この場合、”利用時の注意事項”を充分確認することが必要です。

例えば、”利用時の注意事項”に、「画像はフリーですが、そのまま使うことを条件にフリーにしています。画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」という注意書きがある場合があります。

この場合、画像を利用するときは、元の画像のままで利用しないといけません。



■ 友人が写った写真でも公開する場合、本人の許可が必要です!


「肖像権(しょうぞうけん)」というのは、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

各個人は、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)を、勝手に使われないようにする権利を持っています。

従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許可が必要です。街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。

親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。



■ 有名人が写った写真を公開すると「パブリシティ権違反」になるので注意!


タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でSNSなどで使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。



■ キャラクターの画像を利用するのは著作権違反です!


キャラクターの画像は著作権上の問題があるので、ホームページ・ブログ・SNS等には基本的には掲載できません。マンガなどからコピーしたものをそのまま使った場合は、明らかな複製ですから、無断で利用できません。



■ 歌の歌詞(かし)を公開しても著作権侵害になるので注意!


歌の歌詞も著作権で保護されているので、SNS・ブログ投稿時に、歌詞をそのままのせないように注意下さい。

歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要です。(有名な一句くらいを引用することは大丈夫でしょうが)。

楽曲の歌詞の著作権はJASRAC(日本音楽著作権協会)によって管理されています。歌詞を利用する場合は、JASRACの許可が必要です。



■ CD等の音楽をインターネットに公開するのは違法


CDなどに収録された曲をデジタル化(MP3等)して公開しているホームページがありますが、これは著作権を侵害した、違法な行為です。

自分の私的な範囲であれば、CDなどの音楽をデジタル化(MP3等)して利用するのはOKですが、これをインターネット上に公開するのは、私的な範囲を超え、違法になります。



■ 著作権違反時の罰則


著作権法に違反した場合、以下のように重い罰則が科せられますので、十分注意しなければなりません。

(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金

(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

なお、著作権には「両罰規定(124条1項1号)」があり、従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には、行為者本人だけでなく、その使用者である法人も共に罰せられます。法人に対する罰金は引き上げられ、3億円以下の罰金と巨額です。



■ 著作権で守られている権利とは


著作権で守られている権利たくさんありますが、以下の2つが代表的です。つまり、他人が作った文書・画像などを 「勝手にコピーし公開してはいけない」 ということです。

 (1) 複製権(コピーする権利)・・・著作物を複製する権利

 (2) 公衆送信権(情報発信・公開する権利)・・著作物を公衆に対して送信する権利

なお、著作物を作った人を守る「著作者人格権」として以下があります

(1) 公表権・・著作物を公表するかしないかを決定できる権利

(2) 氏名表示権・・著作者名を表示するかしないか、表示する場合にどのように表示するかを決定できる権利

(3) 同一性保持権・・著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で改変されない権利


≪参考情報≫

著作権早分かり講座  ~著作権の概要と他人の文章・画像の使い方
http://yumepatent.blogspot.com/2014/01/blog-post_27.html

著作権のポイント~まずは基本を押さえよう
http://yumepatent.blogspot.com/2014/01/blog-post_28.html

著作権には様々な権利があります!

http://yumepatent.blogspot.com/2014/01/blog-post_5196.html

文章・画像・音楽・映像などを(著作権法上)自由に使える場合とは?
http://yumepatent.blogspot.com/2014/01/blog-post_29.html

SNS(ソーシャルメディア)を利用する上での法律的な注意点~facebook編~vol.1
http://blogs.itmedia.co.jp/itbengoshi/2015/03/snsfacebookvol1.html?ref=rss

Facebookに歌の歌詞を載せるのは違法?SNSを利用する上での法律的な注意点vol.2
http://blogs.itmedia.co.jp/itbengoshi/2015/03/facebooksnsvol2.html?ref=rss