ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2015年11月18日水曜日

知的財産管理技能検定2級 受験体験記 ~受験のポイントとは、法律の理解

知的財産管理技能検定3級を昨年受験し合格し2級の受験資格を得たので、今年11月、2級の試験にチャレンジしました。しかし、結論から言うと、3級が80段の階段としたら、2級は200段の階段だったということです。

80段の3級は、法律の専門家でない私には、かなりきつい階段ですが、2級は想像をこえた200段の階段でした。

今回は、知的財産管理技能検定2級にチャレンジした経験をもとに、2級受験のポイント、必要な参考書・問題集などを紹介します。


実は、この2級の勉強の前に、「ビジネス著作権検定(上級)」合格していたので、少しは安心していました。

そこで、まずは参考書を買って一通り読んだ後、過去問題を解いてみました。

まあ、合格ラインの8割は無理として、7割は解けるだろうと考えていましたが・・・なんと! 結果は6割程度しか解けませんでした。

著作権の問題は、ほぼ解けたのに、それでも6割の正解率・・・本当に情けない気持ちで一杯になると共に、厚い壁を感じました。
 

それから、毎日、参考書と過去問をにらめっこしながら、約3週間が過ぎました。毎日10時間以上はやったと思います。合計 200時間以上ですね。

その結果、なんとか、過去問で9割以上が解けるようになり、11月15日に受験。 

*2016.1.5 無事に合格しました! (学科=92%、実技=97%)

なお、知的財産管理技能検定2級を受験したときのポイントをまとめると以下のようになります。なお、今回、役に立った本は、最後にまとめて紹介します。


[知的財産管理技能検定2級受験のポイント]

1. 合格ラインが8割であり、中途半端な理解は命取りになります。少しでも疑問に思ったことは、インターネット、参考書や法律で確認下さい


2. インターネットの記事の中には、最新の法律に対応していない場合も多く、中には間違った記述もあります。最終的には最新の法律の条文を見て判断下さい。

 
3. 勉強の際は、知的財産関連の法律を見て、法律に慣れることが大事です。そのためにも、知的財産に関する法律の本は必須です。

 
4. 過去問などを解きながら、重要なポイントを自分なりにポイント集としてまとめる。

特許、実用新案、意匠、商標、種苗法、著作権で大事なポイント(目的、保護対象、登録要件、保護期間)などを横並びでまとめる。私は”知的財産のポイント集”として、Excelで作成しましたが、これが効果的でした。これが無ければ8割の合格ラインは確保できなかったと思います。


5. とにかく過去問をたくさん実施して、問題に慣れることことが大事です。私は、過去の学科・実技の過去4回分を3回、その他模擬試験問題も多数実施しました。

まずは参考書をよんで一通り知識を身につけ、過去問を解いてみて、参考書で確認する。これを何度も繰り返して下さい。なお、問題を解いた後、間違った所は、参考書、法律で必ず確認下さい。


6. 問題で難しいのは特許、商標、著作権です。なお、著作権の問題のレベルは難問なので、できれば「ビジネス著作権検定(上級)」の資格を事前に取っておくと楽になります。


7. 国際法、不正競争防止法の問題は必ず出題され、基本的な問題が多いように感じます。ここを確実に覚えておくと得点アップになります。

国際法は、たいていの場合、実技で最後の方に3問分出題されます。ここを確実にとることが大事ですね。また、不正競争防止法は、学科・実技で特許・意匠・商標などの問題に関連して出題されますので大事です。


8. 法律用語の一つ一つの言葉を正確に把握すること。

私が悩んだ言葉の一部を以下に紹介します。日常生活であまり使わない言葉もたくさんあるので、これらもしっかり理解することが必要です。今だに悩む言葉もありますが・・・

①「無効」と「取消」は意味が異なる。

②「みなす」と「推定」は意味が異なる。「みなす」は「推定」とは異なり、反証を挙げても覆らない。   

③「故意」、「過失」の意味を正確に理解すること(刑事罰は故意が前提)。民事上の措置で、故意・過失が前提になるもの、ならないものがある。

  故意:事故の行為から一定の結果が発生するのを知りながら、
     あえてその行為をすること
  過失:事故の行為から一定の結果が発生するのを認識できたのに、
     不注意により認識しない心理状態のこと



■ 作って役立つ「知的財産権に関するポイント集」


最初、問題を解きながら、存続期間は「出願日から20年」、「設定登録から20年」など、覚えることが多いこともあり、これは、何かにまとめないと、なかなか覚えきらないぞ!と気づきました。

最初は、気をつけたい内容、問題で間違えた内容を、単純にExcelに整理していました。

ところが、あるときに、これは、特許、実用新案、意匠、商標、種苗法、著作権で大事なポイント(目的、保護対象、登録要件、保護期間など)を横並びでまとめると覚えやすいことに気づきました。

そこで、横に知的財産権、縦に項目を記入し、横並びでまとめていくと、これがなかなかGoodでした。各知的財産権には、同じ内容もあれば、微妙に違うところがあります。

例えば、異議申立でも以下のように微妙に違います。一つずつ覚えるより、特許、商標などを横並びにして覚えると、記憶しやすくなりました。

 (特許)異議申立・・・特許掲載公報発行日から6月以内。
 (商標)異議申立・・・商標掲載公報発行日から2月以内。

もし、「知的財産権に関するポイント集」をまとめていなかったら、多くのことが頭の中で混乱し、多分、受験は失敗したと思います。

なお、参考に「知的財産権に関するポイント集」の一部を画像で紹介しますので、あくまでもポイント集を作成するときの参考用として見て下さい(中身については責任を持ちません、自己責任で見てください)。





■ 試験問題の解き方のポイント



(1) 問題を解くとき、選択肢で迷った時の判断

    ①    もう一度、問題文を読み直す   
    ②    自分で明確に正しい解答というものがあればそれを選択する   
    ③    選択肢を正しい内容(◯)、間違った内容(✕)に分類して判断する   
    ④    法律を細部に渡り理解していないと理解できない選択肢を選択しない   
     *正解は意外に基本的な所にあり!

(2) 問題文に騙されない

    ①問題では「出願前・・・」、「出願後・・・・」という”前”、”後”の言葉に気をつける
   
    ②著作権の問題では「公表されていない著作物」という微妙な表現があるので注意。公表されている場合OKでも、公表されていない場合は著作権違反になる場合が多い。
   
    ③「・・・と推定する」が正解なのに「・・・とみなす」としている選択肢があるので、正解と勘違いしないように要注意。   

  ④無効と取消は意味が異なるので注意する。
  
  ⑤「・・・における不公平な取引方法に不適切なもの」と二重否定している問題があり、頭が混乱する。「・・・における公平な取引方法」と肯定して考える。
  


■ 役立つ参考書


試験は、最新の法律に基づいて出題されますので、最新の法律に対応したものを購入することが大事です。

なお、知的財産権の法律は、頻繁に改正されていますので、インターネットの記事を見る場合でも、最新の法律に対応しているのか注意して見る必要があります。


■判例付き 知的財産権六法2015 平成27年版  *最新版があれば最新版を購入下さい!!

横書きで見やすい法律集です。法律集、さんざん悩みましたが、これは、絶対にお勧めします。知的財産管理技能検定2級の受験者必須の本です。

なお、法律関係の本は、改正されるので、最新版を購入することが大事です。




■知的財産管理技能検定2級・3級完全合格テキスト&問題集 改訂3版

この本は、普通の本のように、特許、実用新案、意匠、商標、著作権・・・のように説明するのではなく、ブランド保護(商標、不正競争防止法)、技術保護(特許、実用新案、国際条約、品種登録)などに分けて解説しています。

3級分も同時に復習でき、過去問の理解度チェックリスト、練習問題も豊富で、なかなか良いですね。

知的財産管理技能検定2級を受験する際は、最初、この本で基本をしっかり確認することが良いと思います。



■知的財産管理技能検定2級 速習テキスト&予想模試

この本は、知的財産権がよく分かる良書です。図・表が多く、複雑な内容がよく整理されています。

ただし、最新の法律に対応していないのが、とても残念です。

試験の参考書にも良いですが、知的財産に悩んだ時にも役立ちそうです。

この本は、過去問を解いた後、知的財産権を整理するのに役立ちました。他の本に比べ、頭の中が整理できます。

また、自分の実力を確認する予想問題(学科・実技の2回分)も付属しており、なかなかの難問で役立ちました。





■ 役立つ問題集


とにかく、過去問をしっかり何度も解くことが大事です。

過去問を解いて正解であっても、疑問が残った内容、選択肢の中で理解できない内容などを、必ず参考書や法律で確認下さい。

また、問題を解きながら、大事なポイントや間違ったところを、自分で作成した「知的財産権に関するポイント集」に追加していくと良いですね。


■知的財産管理技能検定 2級厳選過去問題集(2016年度版)

第10回(2011年11月)から第19回(2014年11月)までに実施された過去問題の中から、合格に必要な200問が厳選され掲載されています。また確認問題も、なかなかの良問です。この問題集は、とても役立ちました。

なお、問題の解説も丁寧なので、各選択肢が、何故、正解なのか、何故、間違っているのか、よく分かりました。




■過去に実施した3回分の検定試験の問題と正解

知的財産教育協会のホームページに公開されています。私は、ここに掲載されている3回分の問題を3回解いて、試験問題に慣れることができました。


 国家試験 知的財産管理技能検定 過去問題
 http://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kakomon



■ ビジネス著作権検定と知的財産管理技能検定を終えて


一昨年の2013年に、得意なはずの?「ビジネス著作権検定(上級)」に1問不足で不合格になってから、約2年が過ぎました。

最初は、悔しかったですが、基本から勉強し直そうと開き直り、以下の流れで資格取得を目指しました。

 【ビジネス著作権検定・知的財産管理技能検定の受験の流れ】
 
   ① ビジネス著作権検定(上級) ・・・✕2013年12月不合格
   ② ビジネス著作権検定(初級) ・・・◯2014年2月合格
   ③ 知的財産管理技能士(3級)  ・・・◯2014年3月合格
   ④ ビジネス著作権検定(上級) ・・・◯2015年6月合格
   ⑤ 知的財産管理技能士(2級)  ・・・?2015年11月受験、結果待ち
   

最初の試験、「ビジネス著作権検定(上級)」は1問の違いで不合格になりましたが、最初は、本当に悔しかったですね。しかし、このお陰で、知的財産管理技能士にもチャレンジでき、結果的には良かったと思います。

「雨降って地固まる」、私の好きな言葉です。

なお、知的財産管理技能士の著作権の問題は、かなりの難問なので、せっかく知的財産管理技能士の試験で著作権を勉強するので、私のように、以下の流れで資格取得するのも1つの手かもしれません。

   ① ビジネス著作権検定(初級)
   ② 知的財産管理技能士(3級)
   ③ ビジネス著作権検定(上級)
   ④ 知的財産管理技能士(2級)