ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2014年12月7日日曜日

オンラインストレージにあるデータは私的複製の範囲内か? なかなか難しい問題です!

Dropboxなどの汎用的なオンラインストレージサービスにおける、音楽や動画などの著作物の利用を、著作権法上の「私的複製」の範囲に含めるべきかといった点が検討されているそうです。

オンラインストレージサービス、ログインして使用するので、そこのデータの利用は、”私的複製の範囲”では? と考えがちです。

しかし、このサービスには、他人との共有機能があり、個人で自由に共有設定が可能なので、”私的複製の範囲”を越えて利用することも容易です。この為、この問題は、なかなか複雑で、著作権分科会で検討されています。



 オンラインストレージは私的複製の範囲内? 著作権分科会小委での議論はまとまらず
 -INTERNET Watch
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/20141128_678086.html



議論の結論としては、共有機能のないオンラインストレージサービスについては私的複製の範囲内として処理し、その他のサービスは「発展的なクラウドサービス」として別途議論するそうです。

なお、「著作権法 第三十条 (私的使用のための複製)」では、

「著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、その使用する者が複製することができる。」

ただし、以下の制限があります。

①デジタル方式の録音・録画機器等を用いて著作物を複製する場合には、著作権者に対し補償金の支払いが必要。

②コピープロテクション等技術的保護手段の回避装置などを使って行う複製については、私的複製でも著作権者の許諾が必要。

③私的使用目的の複製であっても、違法著作物であることを知りながら音楽又は映像をインターネット上からダウンロードする行為は、権利制限の対象から除外される。


なお、オンラインストレージの共有機能を悪用した事件が発生し、逮捕されています。

 著作権侵害の最新監視システムで初の逮捕者、香港在住の「bitshare」ユーザー
 -INTERNET Watch
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20141009_670647.html

オンラインストレージ「bitshare」を悪用して、大量の著作物を権利者に無断で公開していた香港在住の40歳の男性が、香港税関に逮捕されたそうです。

このように、オンラインストレージの共有機能を悪用し、他人の著作物を無断で公開することは、当然の事として、著作権者の権利を侵害し、法律違反になります。


しかしながら、自分が購入したCDなどの音楽をMP3のようなデータに変換しパソコンに保存、そのバックアップとして、音楽データをオンラインストレージに保存する(当然ながら共有はしない)ことは、「私的使用のための複製」に該当し、また、私的使用の制限にも該当しておらず、私的使用が妥当だと考えますが・・・問題は単純ではないですね。

この場合、「オンラインストレージに保存した音楽データを絶対に他人と共有しない」ことが前提になり、これをいかに厳密に守れるかが、非常に大事ですね。

代表的なオンラインストレージ、Dropbox、Googleドライブ、OneDriveなどは、保存したデータを”他人と共有する”設定が個人で簡単に設定できます。逆にいうと、この”共有する”ことが、オンラインストレージの一つのメリットにもなっています。

なお、オンラインストレージを私的複製の範囲内として利用する一つの方法として、今後、以下のようにしたら良いかもしれません。

①オンラインストレージで、”私的使用エリア”、”共有エリア”を事前に決め、
②”共有エリア”に入れたデータのみ他人とデータを共有できようにすると共に、
③個人で勝手に”共有設定”できない

いずれにしても、この問題、今後、さらに検討されるべき問題ですね。

なお、「オンラインストレージの中に、音楽CDなどの他人のデータを複製して保存し、それを共有設定すること」は、絶対に実施してはいけません。

もし、実施した場合、著作権の複製権を侵害すると共に、公衆送信権(送信可能化権)を侵害することになります。

2014年3月14日金曜日

知的財産管理技能検定3級 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介

知的財産(特許、実用新案、意匠、商標、著作権などの知的財産)に関する国家資格として、「知的財産管理技能検定」があります。

国家資格になり知名度が上がってきましたが、知的財産全体を学ぶことができ、これから、ますます伸びる資格だと思います。

今回、知的財産管理技能検定3級を受験したので、その体験記と効果的な方法と本の紹介をします。 *無事に2014年5月に合格



なお、「ビジネス著作権検定」の初級及び上級の受験体験記を以下のブログで公開しています。参考にして下さい。

 「ビジネス著作権検定(初級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介
  http://yumepatent.blogspot.com/2014/03/blog-post.html

 「ビジネス著作権検定(上級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介
  http://yumepatent.blogspot.com/2015/07/blog-post.html



私の場合は、著作権を学ぶ延長線上として、知的財産管理技能検定3級を受験しました。

ビジネス著作権検定(初級)を取得後に受験しましたが、著作権に関係する意匠法、商標法、特許法について学ぶことができ、法律に関しても多少慣れ、ビジネス著作権検定(上級)の予習になりました。

なお、知的財産管理技能検定に出題される範囲として著作権の割合は多く、また、その問題も、なかなか難問なので、この検定を受ける前段として、ビジネス著作権検定(初級)の取得はかなり効果的だと思います。

*知的財産管理技能検定3級の著作権に関する問題のレベルは、ビジネス著作権検定(初級)と同じくらいか、それよりも高いです。

この資格は、法律に関する資格なので、理科系の私には、固い内容でしたが、ビジネス著作権検定(初級)を受けたこともあり、なんとか乗り越えることができました。

  ビジネス著作権検定・・・著作権のみの資格

  知的財産管理技能検定・・著作権に加え、特許、実用新案、意匠、商標などの資格

なお、ビジネス著作権検定には初級・上級、知的財産管理技能検定には3級・2級・1級あります。

知的財産管理技能検定に出る範囲として、著作権の割合も多く、著作権の問題の質も高いため(3級でもビジネス著作権検定の初級よりはレベルが高い)、以下の順番で受験すると効率が良いと感じました。

私は①、②、③を終わり、④に向けて勉強中です

 【ビジネス著作権検定・知的財産管理技能検定の受験の流れ】

   ① ビジネス著作権検定(初級)
   ② 知的財産管理技能士(3級)
   ③ ビジネス著作権検定(上級)
   ④ 知的財産管理技能士(2級)



■ お勧めの役立つ本



1.    「知的財産法入門」(小泉直樹 著)

知的財産法の全体像をどうやって理解しようかと悩んでいたときに見つけたのが、「知的財産法入門」(小泉直樹 著)でした。

この本は、全くの初心者には難しい内容ですが、少しでも、特許法、著作権を知っている人には、知的財産法の全体像を知る絶好の本です。著者の25年間の大学の講義をもとに作成されたそうですが、200頁の少ないページ数の中で、知的財産法について各法律の特徴がうまく説明されており、とても感心しました。

この本には、特許法、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法の相互関連も分かりやすく紹介されています。詳しくは、下記で紹介します。


知的財産法入門 (岩波新書)

著:小泉 直樹
参考価格:¥756
価格:¥756
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2.    「知的財産管理技能検定3級」(ヒューマンアカデミー (著))

知的財産管理技能検定3級に関して、ポイントをついて、全般的に良く書かれた本だと思います。私は、この本で、この資格の全体像を理解することができました。

章ごとにチェック問題、要点整理があり、自分の理解度を確認できます。また、練習問題が2問(それぞれ学科編30問、実技30問)があり、演習することもできます。


知的財産教科書 知的財産管理技能検定3級

著:ヒューマンアカデミー
参考価格:¥2,310
価格:¥2,310
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3.    「合格へのバイブル 知的財産管理技能検定3級全対策講座 第3版」(土生 哲也 (著))

知的財産管理技能検定3級に関して、人気のある本です。とにかく、試験に合格するために何を理解するばよいかという視点で書かれています(そのため、出題頻度の低い、実用新案などは説明が少ない)。

また、“覚えておきたい期間・チェックリスト”もあり、私は、これで重要な項目を何度も確認しました。更に、各章ごとに豊富な練習問題があり、模擬試験も一つですが、学科・実技が準備されています。

なお、実用新案含め、一部、説明不足の点があり、私は、この内容を、2の「知的財産管理技能検定3級」(ヒューマンアカデミー (著))で補いました。


合格へのバイブル 知的財産管理技能検定3級全対策講座 第3版

編集:日経デザイン
参考価格:¥3,675
価格:¥3,675
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4.    「知的財産管理技能検定3級 出題領域順・過去問題集(第14回・第15回)」(アップロード知財教育総合研究所 (著, 編集))

これは、2回分の過去問題を出題領域順に並べたものですが、何と言っても解説が詳しいのには助かりました。問題集は、やはり解説が詳しいのが、弱点把握、復習の意味で良いですね。


知的財産管理技能検定3級 出題領域順・過去問題集(第14回・第15回)

編集:アップロード知財教育総合研究所
参考価格:¥1,680
価格:¥1,680
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5.    過去問題(知的財産管理技能検定ホームに3回分掲載)

以下に、3回分の過去問題が掲載されており、役立ちました。ただし、解答には解説がないので、最後の仕上げに良いかもしれません。

 国家試験 知的財産管理技能検定 過去問題
 http://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kakomon



■ 知的財産管理技能士とは


知的財産管理技能検定は、専門の弁理士や弁護士の役割とは違い、企業や団体の中にいながら特許、実用新案、意匠、商標、著作権などの知的財産を適切に管理・活用するための国家試験です。

下記の知的財産管理技能検定ホームの情報をもとに、まとめてみると、以下のようになります。

 国家試験 知的財産管理技能検定ホーム 
 http://www.kentei-info-ip-edu.org/


■「知的財産」とは

「知的財産」とは、人間のアイデアやブランドなど、非常に価値(財産)のあるものを指しています(昔は「無体財産」)。本に書かれた内容、ゲームのソフトは「著作物」、著名なブランドは「商標」であり、車のデザインは「意匠」であり、新しい技術的なアイデアは「発明」であり、これらは全て「知的財産」です。


■「知的財産管理技能士」とは

企業や団体の中にいながら知的財産を適切に管理・活用して、その企業や団体に貢献できる能力を有する人。


■試験の内容とは

1級(特許専門業務)
 知的財産分野のうち、特に特許に関する専門的な能力がある。

1級(コンテンツ専門業務)
 知的財産分野のうち、特にコンテンツに関する専門的な能力がある。

1級(ブランド専門業務)
 知的財産分野のうち、特にブランドに関する専門的な能力がある。

2級
 知的財産分野全般(特許、実用新案、意匠、商標、著作権等)について、基本的な管理能力がある。

3級
 知的財産分野(特許、実用新案、意匠、商標、著作権等)について、初歩的な管理能力がある。

2014年3月11日火曜日

著作権の資格 「ビジネス著作権検定(初級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介

インターネットでブログ・SNSなどで情報発信をするとき、様々な情報を活用したり引用したりすると、”本当にこれって著作権上、大丈夫なの”と心配になることがあり、これまで著作権について本を読みながら勉強してきました。

しかし、他の人から、これは著作権上、問題あるの?ないの?と質問されると、やはり自信がなく、もう少し体系的に勉強しようと、著作権の資格”ビジネス著作権検定(初級)”を受験することにしました。 *無事に2014年2月に合格

今回は、このビジネス著作権検定にチャレンジ経験をもとに、工夫した点、役だった本などを紹介したいと思います。著作権を勉強したい方は、ぜひチャレンジしてみてください。



(注) 「ビジネス著作権検定(上級)」 受験体験記は以下を参照下さい。

 著作権の資格 「ビジネス著作権検定(上級)」 受験体験記 ~効果的な方法と本の紹介
  http://yumepatent.blogspot.com/2015/07/blog-post.html


結果的には、この資格にチャレンジすることで、著作権法を体系的に学ぶことができ、また、情報を活用したり発信したりするインターネット時代に、いかに著作権法が大事か、改めて知ることができたことは大変良かったと感じています。

また、この資格にチャレンジすることで、明確に、どのような場合に著作権上、違反になり、どんな場合に他人の文書などが活用可能かも明確に知ることができたのは良かったと思います。

この”ビジネス著作権検定“、数年前にも取得したいと思い、そのときに問題集を購入しましたが、そのときは、それほど難しいとは感じませんでしたが、今回、受験してみて、問題が難しくなっていることに気づきました。

なお、問題は、正しいもの又は間違っているものを、4つの選択肢から選ぶ問題ですが、これが、なかなか難しいです。曖昧な理解では、なかなか正解になりません。

過去問題を解いたとき、最初は、

 ”たぶん、これが正解。不明確な選択肢があるけど、何故、これが不正解か分からない”

という感じで過去問題を解いていました。しかし、これでは、合格は難しいです。


実は、初級を受験する前に、上級の資格を受験し、1問の差で不合格になりました。このときの、過去問の解き方が、このような曖昧な解き方でした(正直、1問の差で不合格になったときは悔しかったですね)。

過去問題を解くときに、すべての選択肢について、何故、正解なのか、何故、不正解なのかを考えながら解くと良いですね。

そして、分からないときは、テキストで確認するようにすると、過去問題を解くメリットが出てきます。
 


【過去問題を解くときのポイント】

 “選択問題の過去問題を解くときに、各選択肢の正解/不正解の理由を明確にする”  *できれば著作権法を見ながら解いていく

これがいかに大事かを、”ビジネス著作権検定 初級”の問題で説明します。


■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■

例)第30回 ビジネス著作権検定 初級 問題7 

氏名表示権に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

 絵画の展示会のパンフレットに展示作品リストを記載する際には、原則として既に絵画の著作者として公表されている著作者名を表示すればよい。

 漫画家は、自己の漫画に著作者名としてペンネームを表示することはできない。

 デパートの館内でのBGMとして音楽を流す際に、著作者名として作曲者のアナウンスをしなくても、その作曲者の氏名表示権を侵害しない。

 小説家が作成者として実名での掲載を希望していたにもかかわらず、出版社がペンネームを表示した場合、その小説家の氏名表示権を侵害する。



■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■



例えば、上記のような問題の場合、イが誤りで、解答はイであることが常識的にも分かります。

ただし、”これで、解けた!”と満足せず、では、それ以外のア、ウ、エは何故、正しいのかを考えることが必要です。

  アは著作権法19条2項

  ウは著作権法19条3項で正しく
  エはまさしく氏名表示権の侵害で正しい

このように、すべての選択肢について、何故正しいか、何故誤りかを考えることで、自分の理解力がわかり、応用力もついてきます。


■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■


また、大事なのが、過去問題ばかりに頼らず、テキスト(参考書)で基礎力をしっかり身につけることが大事だと思います。

最初は、早く合格力を身につけようと、テキストをさっと読んだ後、過去問題ばかり解いて、過去問題の正解率をあげようと頑張っていました。

しかし、この過去問題中心の勉強法は、私の経験では、基礎力も応用力も身につかず、過去問題は解けても、実際の試験では問題を解けない事態になります。


テキストと過去問題を使った勉強方法として、以下をお勧めします。

 ① テキストをあっさり読む
 

 ② 過去問題を解く、自分の知識不足を知る
 

 ③ ②の結果で、テキストをしっかり読む
 

 ④ 過去問題を解く、自分の弱点を知る
 

 ⑤ 弱点をテキストで復習する
 

 ⑥ ④・⑤の繰り返し
 


【補足】

なお、著作権の資格については、私の経験でいえば、①ビジネス著作権検定(初級) ②知的財産管理技能士(3級) ③ビジネス著作権検定(上級) ④知的財産管理技能士(2級) の順番でチャレンジすると良いと思います。


【参考書】


1.    「ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 (瞬解テキストシリーズ)」(塩島 武徳 (著))

この本は、解説も分かりやすく、章ごとの確認テスト、「初級」「上級」それぞれの分野別過去問題(解答も丁寧)もあり、コンパクトな本なので、使いやすいですね。私は、これをベースに勉強しました。

なお、「著作権法」の条文も掲載されているので、関係する著作権法も確認しながら勉強できます。ただし、過去問題は不足していますので、別途、購入する必要があります。

ビジネス著作権検定テキスト初級・上級 (瞬解テキストシリーズ)

著:塩島 武徳
参考価格:¥2,100
価格:¥2,100
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2.    「ビジネス著作権検定 初級 問題集」(編 著:サーティファイ著作権検定委員会)

過去問題は、この本で充分です。初級の練習問題が85問、過去問題が2回分収録されており、合計145問もあります。また、解説も丁寧で、何故、間違ったかを自分なりに分析できます。

この本は、ビジネス著作権検定を実施しているサーティファイの提供の本なので、その意味でも安心できます。

なお、Amazon含め市販で販売されておらず、下記の「株式会社ウイネット ONLINE SHOP」の「ビジネス著作権検定」の所から購入を申し込みます。*上級も受験する方は、初級・上級合せて購入すると送料が節約できます。

 株式会社ウイネット ONLINE SHOP ~個人向けショッピングサイト~
 https://bookshop.wenet.co.jp/

下記に、この問題集が紹介されています。

 ビジネス著作権検定 公式テキスト・問題集  初級 問題集(サーティファイ)
 http://www.sikaku.info/annai.html#syokyu_mondai


3.    「著作権法入門(2013-2014)」(文化庁編集)

この本は、著作権の本家である文化庁が編集し、著作権情報センターが出版しており、著作権法を正確に分かりやすく紹介しています。著作権の勉強には欠かせない本だと思います。何か悩んだときは、この本の中の、著作権法と解説を読むようにしています。

この本は、著作権法が改正されたときに、必ず、最新版に更新されますので、購入する際は、最近、発行されたものを購入してください。詳しくは、下記で紹介します。


著作権法入門〈2013-2014〉

著:文化庁
参考価格:¥2,300
価格:¥2,300
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4.    「著作権法入門」(島並 良 他 (著))

初級よりも上級の受験時に必要な本です。著作権でのモヤモヤが、かなり晴れる本で、著作権法を解説した本の中では名著だと思います。

ビジネス著作権検定(上級)に不合格になり、今一度、著作権を勉強しようとして、著作権の難しさを改めて感じていたときに、この本を読んで、著作権に関するモヤモヤがかなり晴れました。

初心者には多少分かりづらいと思いますが、もし、著作権で悩む人には、ぜひともお勧めしたい本です。著作権の専門書にしては、310ページとそれほどページ数も多くなく、3千円以下の値段で購入できます。詳しくは、下記で紹介します。

著作権法入門

著:島並 良 , 他
参考価格:¥2,625
価格:¥2,625
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2014年2月24日月曜日

知的財産法(著作権法、特許法など)の無料テキスト公開のサイト紹介

知的財産法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法 他)に関してのテキストを、無料で公開されているサイトを紹介します。主に初心者向けに作成されたテキストで、市販の書籍に匹敵する内容です。

知的財産法に関する本は、安いものでも二千円、高いものだと五千円以上もするので、なかなか手が出しにくいですね。このような時は、ぜひ、下記のサイトをのぞいて見てください。


■知的財産法の全般が分かりやすく紹介されているテキスト

平成25年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト(特許庁)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h25_syosinsya.htm


■特許庁公開のテキスト

特許庁テキスト(特許庁)

http://e-patentsearch.net/wp/663.html


■市販の本に匹敵する著作権テキスト(著作権法付属)

著作権に関する教材,資料等|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html

 *本サイトに、「著作権テキスト」が無料で公開されています。



■著作権を理解するための各種「著作権パンフレット」(判りやすい説明と豊富な具体例)

著作権パンフレット | 出版物のご案内 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
http://www.cric.or.jp/publication/pamphlet/index.html


■(初等中等教育に役立つ)著作権に関する基礎的な知識

著作権教育 | 著作権教育 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
http://www.cric.or.jp/education/index.html


■不正競争防止法のテキスト

不正競争防止法説明資料(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/unfair-competition.html

2014年2月23日日曜日

(著作権法含め) 知的財産法の全体像が分かる本「知的財産法入門」(小泉直樹 著)

知的財産法とは、特許法、商標法、意匠法、著作権法などを総称した呼び方です。特許法、著作権だけでも難しいのに、知的財産法の全体像を知ることは、そう簡単ではありません。

私も、知的財産法の全体像をどうやって理解しようかと悩んでいたときに見つけたのが、「知的財産法入門」(小泉直樹 著)でした。この本は、全くの初心者には難しい内容ですが、少しでも、特許法、著作権を知っている人には、知的財産法の全体像を知る絶好の本です。



知的財産法入門 (岩波新書)

著:小泉 直樹
参考価格:¥756
価格:¥756
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また、この本には、特許法、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法の相互関連も分かりやすく紹介されています。

この本は、著者の25年間の大学の講義をもとに作成されたそうですが、200頁の少ないページ数の中で、知的財産法について各法律の特徴がうまく説明されており、とても感心しました。

例えば、著作権に関しては、次のような説明がこの本にあり、法律の背景まで教えてくれます。

・著作権法では、アイデア・事実は独占できないとして独占権を与えていないが、これは、「大事だからこそ皆で共有し、独占させない」というのが著作権法からの答えで、著作権法が奨励したいのは、個性的で多様な表現活動。

・映画と著作権に関して、セイサクという言葉を「制作」、「製作」と使い分けており、「制作」は映画の著作物の創作への関与をさし、監督らの行為であり、一方、「製作」は映画を作ることを企画し、資金的な裏づけを担保すること(発意と責任)。


なお、この本を読むにあたっての参考情報として、知的財産権及び知的財産法について、補足として簡単に整理しました。


≪補足≫知的財産権について

知的財産権は、技術などに関する「産業財産権」と、文学などに関する「著作権等」に大別されます。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを「産業財産権」といい、特許庁が所管しています。


【産業財産権】

1.特許(発明)
発明と呼ばれる比較的程度の高い新しいアイデアに与えられる。「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプ。出願から20年

2.実用新案(考案)
発明ほど高度なものではなく、小発明と呼ばれるもの。実用新案権は無審査で登録。出願から10年
       
3.意匠(デザイン)
物の形状、模様など斬新なデザインに対して与えられる。登録から20年
       
4.商標(マーク)
自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマークに与えられる。登録から10年(更新あり)

【著作権等】

1.著作権
文学、学術、美術、音楽の範囲に属するもの。コンピュータプログラムも含む。創作時から著作者の死後50年(法人著作は公表後50年)

2.半導体集積回路配置
独自に開発された半導体チップの回路配置。登録から10年

3.商号
営業上、法人格を表示するために用いる名称、社名。期限なし

4.不正競争の防止
公正な競争秩序を確立するために、著しく類似する名称やデザイン、技術上の秘密などの使用を差し止める。期限なし

5.植物の新品種
育成者権(種苗法)によって、植物の新品種を保護。登録から25年


≪補足≫知的財産法について

1.特許法

(目的)
第一条  この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。


2.実用新案法

(目的)
第一条  この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。


3.意匠法

(目的)
第一条  この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義等)
第二条  この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。


4.商標法

(目的)
第一条  この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。


5.著作権法

(目的)
第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。


6.不正競争防止法

(目的)
第一条  この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。


7.種苗法

(目的)
第一条  この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。


8.半導体集積回路の回路配置に関する法律

(目的)
第一条  この法律は、半導体集積回路の回路配置の適正な利用の確保を図るための制度を創設することにより、半導体集積回路の開発を促進し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

2014年2月8日土曜日

気に入った新聞・雑誌・Webページを印刷して利用してもOK? 日常生活の著作権Q&A

新聞・雑誌・Webページを印刷(コピー)する行為は、作成した人(著作者)が持っている権利で複製権(著作権法 第21条)です。著作権の中でも代表的な権利です。印刷したものを勝手に利用すると、複製権の侵害になり、違法です。

私たちは、家庭・学校・会社で、この”印刷(コピー)する行為”をたくさんしていますが、正しく運用しないと著作権を侵害しますので、注意が必要です。今回は、これに関係した行為の著作権Q&Aを作成してみました。


なお、印刷(コピー)したものを利用する行為が、著作権法でOKかどうかは、基本的に、以下になります。

・家庭は〇(著作権法 35条 ”私的使用のための複製” で特別にOK)
・学校は〇(著作権法 35条 ”学校その他の教育機関における複製等 で特別にOK)
・会社は×(著作物を勝手に印刷して会社内で利用することは著作権を侵害しNG)

但し、学校といっても、営利を目的として設置されている(予備校、私塾、カルチャースクールなど)ところでの利用は×(違法)になりますので、注意が必要です(著作権法 35条に明記)。



(注)「複製とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすること、そしてスキャナーなどにより電子的に読み取ること、また保管することなどを言います。」


問題1: インターネットの料理レシピーの中に母親の好きなものがあったので、Webページを印刷して母親に渡す行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: 教授がインターネットのWebページを印刷して、大学の授業で利用する行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: 予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: 業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為・・・さて違法でしょうか?


問題6: 中学の授業で、市販の問題集に良いものがあったので、クラスの人数分コピーする行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は〇、違法ではありません。

自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を印刷(複製)することができます(著作権法 30条)。

著作権法 30条(私的使用のための複製)

著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。


問題2は〇、違法ではありません。

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。

なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。

著作権法 35条(学校その他の教育機関における複製等)

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます。


問題3は〇、違法ではありません。

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)の中に、大学も該当しますので、著作物の複製(印刷したもの)を利用することができます。《補足》参照。


問題4は×、違法です。

営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。


問題5は×、違法です。

会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。


問題6は×、違法です。

教育現場といえども、このような無茶なことはできません。著作権法 35条には、「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあり、問題集をクラスの人数分コピーする行為は、出版社の利益を不当に害する行為になるので違法です。



《補足》著作権法 第35条 ”学校その他の教育機関”の範囲は?

”学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)”という著作権法の記述が曖昧だったので、調べてみました。以下になるようです。

参考資料

”学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第35条ガイドライン”
平成16年3月 著作権法第35条ガイドライン協議会

著作権法第35条の適用される機関
 事  項:学校その他の教育機関
 条  件:組織的・継続的教育活動を営む教育機関であって、営利を目的としないもの
 内  容:

○文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準ずるところ
例:幼稚園、小中高校、中等教育学校、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、看護学校などの各種学校、大学校、保育所

○社会教育においては、上記教育機関と同等の年間教育計画を有するところ

×営利目的の予備校、私塾、カルチャースクール、営利企業の社員研修など

×学校開放などで教育機関以外の者が単に場所として学校を使用している場合

2014年2月6日木曜日

上演・演奏・上映・貸与するときに気をつける行為とは? 日常生活の著作権Q&A

楽器での演奏、CDの演奏、DVDの上映、物の譲渡・貸与などの、著作物を提示・提供する行為は、以下のようになります。

  著作物の提示・・・上演・演奏、上映、公衆送信・伝達、口述、展示
  著作物の提供・・・譲渡、貸与、頒布
  
  *「著作権法入門」(島並 良 他 (著)) P129から

今回は、上記の上演・演奏、上映などの、日常生活での行為に絡む、著作権Q&Aを作成してみました。


著作物の提示/提供に関する行為は、「公衆」になされてはじめて著作権侵害となり、「公衆」以外であれば、著作権を侵害しません。

ただし、公衆にたいして実施されても、「営利を目的とせず、無料の場合は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができる(著作権を侵害しない)」(著作権法 第38条)とされています。


例えば、結婚披露宴での友人の演奏は、公衆への演奏で著作権を侵害しそうですが、このような場合は通常「営利を目的とせず、無料での演奏」なので、演奏しても著作権を侵害しません。このように、当たり前と思っていることにも、著作権は複雑に絡んでいます。


なお、「公衆」という定義、難しいですね。「著作権法入門」(島並 良 他 (著))によると、公衆の定義は以下になっています。不特定少数、特定多数も”公衆”になるところがミソですね。

  公衆以外 = 特定少数
  公衆   = 特定少数 以外すべて  ①不特定多数 ②不特定少数 ③特定多数

  
(注)著作権法2条5項には「公衆には、特定かつ多数の者を含むものとする。」とあり、”特定多数”も”公衆”になります。



問題1: 親族80人が集まった席で曲を演奏する行為は、著作権を侵害しない?


問題2: 先着順で数名に著作物の複製物を配布する場合、少人数なので、公衆向けの譲渡に該当せず、著作権を侵害しない?


問題3: ファンクラブ会員対象のサービスとして、会員全員に著作物の複製物をプレゼントする場合、特定の人が対象なので、公衆向けの譲渡には該当せず、著作権を侵害しない?


問題4: 中学生が学芸会の練習のために、教師の前で曲を演奏するのは、著作権を侵害しない?


問題5: 詩の朗読が録音されたCDを無許可でレストランで再生する行為は、著作権を侵害しない?


問題6: 喫茶店のマスターが自分の好きなDVDを、パソコンのディスプレイでお客さんに見せる行為は、著作権を侵害しない?


問題7: 演奏権を侵害するのは生演奏の場合で、CDの音楽を再生した場合には、演奏権を侵害しない?


問題8: 家庭内で見る為に録画しておいたテレビドラマを、非営利・無料で老人ホームで上映する行為は、著作権を侵害しない?


問題9: 学校のホームページで校歌を流す行為は、著作権を侵害しない?




問題1は〇、侵害せず、違法ではありません。

エッ当然、著作権は侵害しないよ! と思われがちです。しかし、親族であっても特定かつ多数の人を対象にしているので、公衆向けの演奏になり違法になりそうです。ただ、このような場合は、「営利を目的とせず、無料の場合」と思われるので、公衆向けの演奏であっても、違法にはなりません。


問題2は×、侵害し、違法です。

少人数であっても先着順という不特定の者を対象にしているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。


問題3は×、侵害し、違法です。

会員であっても特定かつ多数の者を対象としているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。


問題4は〇、侵害せず、違法ではありません。

中学生が練習のために教師(特定かつ少数の人)の前で演じているので、公衆向けの演奏でないため、演奏権を侵害しません。


問題5は×、侵害し、違法です。

上演、演奏、口述には、著作物の上演、演奏、口述で録音又は録画されたものを再生すること(著作権法 2条7項)とあるので、公衆に聞かせる目的で、口述を録音したものを許諾なしで再生する行為は口述権を侵害します。


問題6は×、侵害し、違法です。

上映とは「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写すること」(著作権法 2条1項17条)なので、パソコン画面で再生することも上映にあたり、公衆に聞かせる目的で、営利での上映なので違法です。


問題7は×、侵害し、違法です。

問題5の解説にあるように、演奏には、著作物の演奏で録音され、又は録画されたものを再生することも含まれます(著作権法 2条7項)。したがって、CDに録音された音楽を再生することは、その音楽の著作物の演奏権を侵害します。


問題8は×、侵害し、違法です。 

第38条は演奏や上演などを認める規定であって、複製までは認めていません。私的使用であれば、テレビドラマ(映画の著作物)を自由に複製することができますが、その複製物を公に上映することはできません(著作権法49条1項1号)。

(注)たとえ、複製時に私的使用目的があっても、その後、それ以外の目的で複製物を頒布し、または公衆に提示すると、その頒布・提示の時点で複製を行ったものとみなされます(著作権法49条1項1号)。



問題9は×、侵害し、違法です。

著作者には、無断で公衆に送信されない権利(公衆送信権)があります。非営利・無料・無報酬の演奏は無断でできますが、公衆送信までは認められていません(著作権法2条7項)。従って、もし、ホームページで校歌を流すには著作者の許諾が必要になります。




《参考》著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)

第38条第1項
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。

第38条第4項
公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。


《参考》著作権法 第2条7項

この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。


著作権でのモヤモヤが、かなり晴れる本 「著作権法入門」島並 良 他 (著)

著作権法を解説した本の中では名著です。著作権の資格に不合格になり、今一度、著作権を勉強しようとして、著作権の難しさを改めて感じていた際に、この本を読んで、著作権に関するモヤモヤがかなり晴れました。

初心者には多少分かりづらいと思いますが、もし、著作権で悩む人には、ぜひともお勧めしたい本です。

著作権の専門書にしては、310ページとそれほどページ数も多くなく、3千円以下の値段で購入できます。

ポイントをついた短い説明で、判例を多数紹介して、難しい問題(公衆の定義、建築物・図面の複製の定義など)を文章・表などで分かりやすく説明しています。

難しいことを難しく説明することは簡単ですが、この本のように「難しいことを簡単に説明する」には、内容を深く理解した人にしかできないと、改めて感じさせてくれる本です。





著作権法入門
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2014年2月5日水曜日

Webサイトの動画を閲覧したりダウンロードする行為は大丈夫? 日常生活の著作権Q&A

Webサイト(ホームページ)の活用方法は様々あります。音楽を聴いたり、動画を閲覧したりダウンロードしたり、ソフトをダウンロードしたりと、様々です。なお、このようなWebサイトを利用する際、著作権を侵害し問題が発生する場合があるので、充分な注意が必要です。

なお、平成24年には著作権法が改正され、違法ダウンロード行為、DVDリッピング行為(DVDのデータを取り出す行為)の違法化が盛り込まれました。

そこで、今回は、Webサイトを利用する際の著作権Q&Aを作成してみました。なお、今回は、正確さを期するため、下記の情報を参考にしました。


 平成24年通常国会 著作権法改正について|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/
 



【平成24年の著作権法改正】 ”違法ダウンロード刑事罰化”など

著作権法の一部を改正する法律が、2012年6月、参議院本会議で可決・成立。違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)、DVDなどに用いられる暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること、などが盛り込まれました。

改正著作権法は2013年1月1日から施行されましたが、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、その前の2012年10月1日から施行されています。

この改正で、以下の違法ダウンロード行為は、私的使用のための複製であっても違法になりました。

「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」(著作権法 第30条の3)

つまり、「違法に公開されているWebサイト(海外も含む)から音楽又は画像を、違法と知りながらダウンロードする行為」は私的使用の為であっても違法になるということです。



問題1: 聴きたいと思っていたCDの曲がWebサイトで公開されていたので、違法ではないかと思いながらも聴いてしまった行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 外国の動画投稿サイトに、以前日本でTV放映されていた番組が動画として公開されていたので、ついついその動画をみてしまう行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: ある動画投稿サイトに、市販されているDVDの動画が公開されており、自分の好きなアーティストの動画だったので、違法な動画だなあと思いつつも、自分のパソコンにダウンロードしてしまう行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: ソフトウェア紹介をしているWebサイトからフリーソフトをダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: Webサイトに公開してあるフリーソフトに社内でも役立つソフトがあり、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあったので、社内の構内LANのサーバーに保管してダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は〇、違法ではありません。

違法に公開されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。

私的使用の目的であっても、一般に販売されている音楽や映像のようなものを違法に公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードすると違法です。


問題2は〇、違法ではありません。

動画投稿サイトにおける動画の閲覧は、データをダウンロードしながら再生するという仕組みで、この場合、動画の複製(録音又は録画)が伴うことになりますが、このような複製(キャッシュ)に関しては,著作権法第47条の8の規定が適用され著作権侵害には該当しません。

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第47条の8 著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。


問題3は×、違法です。

違法に音楽や映像を公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードしている行為なので、私的使用の目的であっても、違法になります。

(注)違法ダウンロードでいう「ダウンロード」は、「録音又は録画」であり、音楽や映画が想定されています。画像ファイルのダウンロードは「録音又は録画」に該当しないので違法にはなりません。


問題4は〇、違法ではありません。但し、×違法になる場合があります。

フリーソフトの利用規定をよく見て利用することが大事です。

そこに、以下のような自由利用の範囲や業務や商用利用の場合の規定等が必ず書かれていますので、必ず確認下さい。


 「個人的な利用のみ自由に使えます」→個人利用はOK、会社利用はNG。
 「個人での利用及び業務での利用も自由に使えます」→個人利用、会社利用共にOK

なお、フリーソフトを個人的に使う場合、通常はOKで違法ではありません。ところが、社内で使う場合、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」というような規定がない限り、業務(社内)では使えません。


問題5は×、違法です。

フリーソフトの利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあっても、LANのサーバーにプログラムを置く行為は、公衆送信権(自動公衆送信権、送信可能化権)の侵害となり、違法です。

同一構内のLANにおいて、サーバーにファイルをおいて多数のユーザーがダウンロードする場合、データはOKですが、プログラムの場合はNGで、公衆送信権(公衆に送信する権利)を侵害します(著作権法 第2条 7の2)。

外国の著作物を翻訳して利用しても大丈夫? 日常生活の著作権Q&A

外国の記事で参考になるような記事がありますね。このような記事を翻訳して利用しても良いのでしょうか? 今回は、翻訳に絡む内容をQ&Aで整理してみました。

私も外国のインターネットの記事や本の内容を訳して、ブログやホームページに掲載しようとした時、なんども悩んだ内容です。

今回、著作権法を細かく確認し、権威のある情報をもとに、Q&Aを作成しましたが、何かあればご指摘ください。

なお、今回のQ&Aにある「翻案」とは、「元の著作物の特徴を活かしつつ、別の表現形態に変えたり、原作の一部を変更して別の作品を創作する」ことで、”文章を要約することも翻案”に該当します。


なお、翻訳して利用する場合に注意すべきことを以下の補足に整理しましたので、参考にしてください。

 《補足1》適法な「引用」となるための要件
 《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か?”

また、今回の問題、なかなかやっかいなので、文化庁(参考情報1)と日本弁理士会(参考情報2)の内容を参考に致しました。




問題1: 高校の試験問題に掲載するために、フランス語で書かれた哲学者の言葉を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 中学の教科書に掲載するために、英語で書かれた本の内容を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: 日本語の音楽の歌詞を外国語に訳してブログに公開する行為(外国語の音楽の歌詞を日本語に訳す場合も同じ)・・・さて違法でしょうか?



問題4: 外国のホームページの記事が自分のブログに関係することだったので、参考として、記事の一部を引用し訳した内容を、ブログに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: ホームページを補足する内容が、英字新聞にあったので、記事を要約した内容を自分のホームページに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は〇、違法ではありません。 著作権法 第36条で「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、問題として複製を行うことができる」として、試験問題として複製は認めれており、第43条2号で翻訳についても認められています。


問題2は〇、違法ではありません。 高校の教科書に掲載する目的であれば、公表された他人の著作物の自由利用が認められ、この場合、翻訳して掲載することもできます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。


問題3は×、違法です。 著作権者は、著作物を翻訳等する権利を持っています(著作権法 27条)。日本語の音楽の歌詞を勝手に外国語に訳すことは、著作権者の翻訳権を侵害します。


問題4は〇、違法ではありません。 著作権法 第32条で「公表された著作物は、目的上正当な範囲内で引用して利用することができる。」とされ、第43条2号で翻訳についても認められています。但し、「引用」となるための要件を守って、正しく引用することが必要です。


問題5は×、違法です。 著作権法 第32条で引用での複製は認められていますが、第43条(翻訳・翻案等による利用)では、引用の場合、翻訳は認められていますが、要約などの翻案は認められていません。そのため違法になります。


《解説》

翻訳、翻案等による利用については第43条に細かく規定されています。


■”教科書に掲載する”場合:教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校)

第43条1号で翻訳又は翻案が利用可能な条項が規定されていますが、その中に第33条1項”教科用図書等への掲載”があるので、”教科書に掲載する”場合は翻訳又は翻案(要約)して利用できます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。

■”引用”、”試験問題”に利用する場合:

第43条2号で翻訳が利用可能な条項が規定されていますが、その中に、第32条”引用”、第36条”試験問題”があるので、”引用”、”試験問題”には、翻訳して利用できます。但し、両方共に、内容を要約する翻案はできませんので注意ください。


(翻訳、翻案等による利用)
第43条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当請著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる。

1.第30条第1項、第33条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)、第34条第1項又は第35条 翻訳、編曲、変形又は翻案

2.第31条第1項第1号若しくは第3項後段、第32条、第36条、第37条第1項若しくは第2項、第39条第1項、第40条第2項、第41条又は第42条 翻訳

3.第33条の2第1項 変形又は翻案

4.第37条第3項 翻訳、変形又は翻案

5.第37条の2 翻訳又は翻案


《補足1》適法な「引用」となるための要件

著作権法上,著作権の制限規定として、著作権法第32条(引用)の要件を満たした場合,著作権者の承諾なく著作物を利用できるとされています。

「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法第32条)

一般的に、”引用における注意事項”は以下です。

(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 パロディー事件)


参考情報1:
文化庁 | 著作物が自由に使える場合
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/gaiyou/chosakubutsu_jiyu.html


《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か? 翻訳は〇、翻案は×

翻訳、翻案等による利用については、著作権法43条で詳しく規定されています。

引用は、著作権法第32条の引用の条件を満たせば、著作権法43条2号の中で、”翻訳権”は認められています。そのため、引用の要件を満たせば、その著作物を翻訳して利用することができます。

しかし、翻案権(43条1号、3号)の権利には準用されていないため、引用の要件を満たしていたとしても、引用する著作物をアレンジして利用する場合は、権利を侵害します。


参考情報2:
特 集≪著作権実務ガイドライン≫ 著作権の制限- 引用   - 日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200601/jpaapatent200601_064-066.pdf


 《補足3》引用と翻案・翻訳

「引用」の場合には他人の著作物をそのまま改変を加えずに利用するのが原則、翻案にあたる要約を行って利用することはできません。

要約は、著作物の内容をある程度概括できる程度にした著作物のことをいいますが、この要約を行う行為は、一般に翻案権(第27条)が働く行為で、著作権者の了解なしにはできません。

ただし、ごく簡単に内容を紹介する程度の文書であれば、著作権者の了解は必要ないと考えられています。

なお、翻訳も同種の権利(第27条)ですが、引用の場合は翻訳して引用することは自由にできることになっています(第43条第2号)。

2014年2月4日火曜日

他人の文章や画像を勝手に変更して利用すると違法 日常生活の著作権Q&A

他人の文章などを「勝手にコピーして使っていけない」というのは分かりますが、文章の内容を勝手に変更してはいけないという”同一性保持権”があります。

コピーをする権利(複製権)などは”著作財産権”と言われ、著作者の財産的な利益を保護する権利です。

なお、もう一つ大事な権利に”著作者人格権”という、著作者の人格的な利益を保護する権利があります。

なかなかわかりづらい”著作者人格権”ですが、次の権利が与えられています。


①公表権 ・・・公表する権利・その作品自体を公表するかどうかの決定が行える権利
 
②氏名表示権・・・名前を表示する、又は表示しないの決定が行える権利
 
③同一性保持権・・・著作物の内容及びその題号(書名)の同一性を保持する権利



このなかで、他人が作成した文書や画像などを利用するときに、特に気をつける必要があるのが、”同一性保持権”です。これは、”作成したものは勝手に変更させない”という権利です。「著作者が社会から作品のありのままを見てもらい評価を受ける権利」とも言えます。

以下に日常の事例をあげて、どのような場合に、この”同一性保持権”を侵害するのか考えてみます。

(同一性保持権)
「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」(著作権法 第20条)



問題1: 雑誌の紙面の都合で、著作者の意思に反して、出版社が作家の原稿を勝手にカットする行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 小説を教科書に掲載するにあたり、小説の著作者の同意なく難しい漢字をひらがなに変更する行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: 小説のタイトルを小説の作者(著作者)の同意なく改変する行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: パソコンにインストールされたプログラムを著作者に無断で、効率よく機能するように改変する行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: インターネットにフリー画像とあり、自分のホームページの構成に合わせ画像のサイズを変更する行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は×、違法です。

紙面の都合上とはいえ、著作者の許可なく、出版社が勝手に原稿をカットする行為は、著作者の同一性保持権を侵害します。


問題2は〇、違法ではありません。

学校教育の目的上やむを得ないと認められるものは、同一性保持権の適用を受けない(著作権法 20条2項1号)。難しい漢字をひらがなに変更することは、学校教育の目的上やむを得ない用字の変更になるので、同一性保持権を侵害せず、違法にはなりません。


問題3は×、違法です。

小説のタイトルは文章が短く、原則として著作物性が否定されますが、同一性保持権による保護の対象とされていますので、これは違法になります。


問題4は〇、違法ではありません。

「プログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はより効果的に利用し得るようにするために必要な改変」(著作権法 20条2項3号)については、同一性保持権は及ばないので、プログラムを効率よく機能するように改変しても、著作者の同一性保持権を侵害しません。


問題5はOKの場合もありますが、NGの場合もあり、注意が必要です。



画像も勝手に改変(変形など)してはいけないという“同一性保持権”があります。フリーの画像でも、使う前に、利用規定で”利用範囲を必ず確認”しましょう。利用範囲の中に、“画像を変更せずに、そのまま使って下さい”とあれば、画像のサイズを変更したり、画像の一部をカットすることはできません。



(注)引用する場合も、改作と思われるような引用の仕方は著作者の”同一性保持権”の侵害になるので、文章を原文のままで利用するか、文章の一部をカットする場合は、「中略」というような明確な表示をしたほうが良いですね。

2014年2月3日月曜日

個人的なコピー行為、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A

コピーは、日常生活の中でよく実行されます。CDのコピー、文書のコピー、コンビニでの本のコピーなどなど。そして、コピーしたものを家庭、会社、教育で使っています。

なお、このコピー行為には著作権が大いに絡んでおり、「自分の範囲で使うから勝手にコピーしても問題ないだろう!」と考え安易にコピーすると、著作権侵害になります。


ただし、私的な狭い範囲での活用、教育現場での活用などについては、(限定付きですが)コピーすることを、著作権法は認めています。 日常生活の様々な場面を考慮して、著作権法は作られています。

以下に日常の事例をあげて、”著作権侵害になるか/ならないか”を考えてみます。


問題1: レンタル店から借りたCDを自分のパソコンにコピーするのは行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 個人で買ったDVDについて、家族の為に、技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: CDやビデオのダビングサービスをやっている店に、自分で買った音楽CDのコピーを依頼する行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: インターネットを見ていたら良い記事があったので、コピーして学校の生徒たちに見せる行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: 新聞に評論家の自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為・・・さて違法でしょうか?


問題6: 本の中に好きな料理を紹介していたページがあったので、コンビニのコピー機でコピーする行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は〇、違法ではありません。

レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます(著作権法 30条)。


問題2は×、違法です。

技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は違法になります。「技術的保護手段を回避してのコピーは違法」(著作権法 30条1項2号)


問題3は×、違法です。

この場合は、違法となる行動が2つあります。一つは、「私的使用のための複製」としてコピーできるのは「使う人」自身がコピーする場合なので、お店の人に頼むのは違法です。

二つは、仮に自分自身でコピーする場合であっても、店舗に設置されたダビング機器のように、公衆が利用することを目的に設置された機器を用いてコピーすることは違法です。


問題4は〇、違法ではありません。

学校において、授業で使うことを目的とする場合、教育を担任する人及び授業を受ける人が必要と認められる限度で著作物を複製することが認められています(著作権法 35条)。

しかし、例えば学校向けのワークブックやドリルなどは、もともと授業で使用することを目的として作成されたものですから、それを複製して授業で使用することは、著作権者の利益を不当に害するので違法です。 何事も行き過ぎた行為はダメですね。


問題5は×、違法です。

私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。


問題6は〇、違法ではありません。

コンビニのコピー機でのコピー、誰でもやっているので当然だよ! と思いがちですが、著作権上は、例外処理でOKになっています。

著作権法の第30条では、「公衆用自動複製機器によるコピーはできない」ことになっています。つまり、店舗に設置されたダビング機器でCDなどをコピーするのは違法です(問題3)。

ところが、著作権法には附則という但し書きのような規定があり、その第5条の2において、「文書又は図画をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める」ということになっています。そのため、コンビニのコピー機で文書をコピーする行為は、違法ではありません。


《参考》 私的使用のための複製 (著作権法 第三十条)

著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

DVDの使い方、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A

面白いDVDがあったので自分の店で見せよう、私的使用であればDVDのコピーもOKだろう・・・と考えがちですが、DVDを見る・見せるという行為にも著作権は複雑に絡んでいます。

最近は、DVDを様々な場面でみる機会が多いとおもいますので、DVDの使い方と著作権について考えてみました。

「上映」というのはもっぱら、劇場用映画をスクリーンに映写することでしたが、1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。

例えば、講演会におけるOHPを用いた著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。

上映とは、「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。(著作権法 2条1項17号)」

上映権とは、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(著作権法 22条の2)」




問題1: 飲食店が店内の大型テレビで、映画のDVDを再生して、来店したお客に見せる行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 自分が購入した面白いDVDがあったので、自分が経営している喫茶店で、パソコンで映画のDVDをお客さんに見せる行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: 家に大型スクリーンを設置し、映画のDVDを再生して家族数人で見る行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: 家庭内で使用する目的で、コピーガードが施された市販のDVDについて、意図的にコピーガードを解除した上で、DVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: 自分が持っている趣味のDVDが、近所の人たちに役立つと思ったので、無料で公民館のテレビで、そのDVDを近所の人に見せる行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は×、違法です。

映画のDVDを再生して、お客に見せることは、上映権(著作権法 22条の2)を侵害するため違法です。


問題2は×、違法です。

パソコンの小さい画面だから問題ないだろうと思いがちですが、パソコンでDVDをみるのも、りっぱな上映にあたります。”上映とは著作物(公衆送信されるものを除く)を映写幕その他の物に映写することを言う”(著作権法 2条1項17号)とありますので、パソコン画面で再生することも、映画と同じ上映にあたります。


問題3は〇、違法ではありません。
家族数人であれば「特定かつ少数」で、大型スクリーンで上映しても「公には上映したと言えず、上映権を侵害しません。


問題4は×、違法です。

DVDコピーは私的使用のための複製であっても、コピーガード(技術的保護手段)を回避しDVDをコピーする行為は、その事実を知りながら行った場合は、複製権の侵害になります(著作権法 30条1項2号)。

条件に”事実を知りながら”とありますが、コピーガードを回避する行為は、すでに、”コピーガード”の事実を知っていることになるので、”DVDをコピー”すれば、著作権の侵害になりますね。


問題5は〇、違法ではありません。

営利を目的としていないこと(非営利)、聴衆または観衆から料金等を受けないこと(無料)、出演者等に報酬が支払われないこと(無報酬)であれば、著作物の上演・演奏、上映、口述を、公に行うことができます(著作権法 38条1項)。公民館で無料でDVDを見せることは、この条件に該当しますので、違法ではありません。


(注)ここで大事なのは”非営利目的”ということです。営利と非営利の区別は、直接的・間接的に営利に結びつくかどうかによって判断されます。たとえば、無料の試写会であったとしても、それが宣伝のためであるならば営利目的です(間接的に営利に結びつくため)。

(注)”無料・無報酬”とは、交通費や昼食代などの実費が支払われても無報酬ですが、実費を超える額が支払われれば報酬にあたります。


なお、「非営利上演・演奏、上映、口述」に関しては、以下のホームページで詳しく紹介されていますので参考にしてください。

 非営利上演等/Webで著作権法講義
 http://copyright.watson.jp/nonprofit.shtml

2014年2月2日日曜日

音楽CDの使い方、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A

音楽CD、単に音楽を楽しむことは、当然問題はありませんが、著作権上、様々な問題が発生することがあります。以下に、どのような問題が発生するか考えてみます。


問題1: 音楽CDに収録されている曲を、個人で楽しむために自分のデジタルオーディオプレーヤーにコピーして聴く行為・・・さて違法でしょうか?


問題2: 音楽CDに収録されている曲の歌詞を個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?


問題3: 音楽CDのジャケットのイラストを個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?


問題4: 音楽CDの中に気に入った曲があったのでコピーして、自分のホームページ上から音楽を流す行為・・・さて違法でしょうか?


問題5: レストランで、適法に購入したCDをCDプレーヤーで再生する行為・・・さて違法でしょうか?



問題1は〇、違法ではありません。

個人で楽しむために、自分のデジタルオーディオプレーヤーに録音する行為は、複製行為に該当しますが、私的使用が目的であり、違法ではありません。


問題2は×、違法です。

ブログなどに歌詞を掲載するのはやめましょう。歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要になります。


問題3は×、違法です。

CDのジャケットをコピーしていますのでレコード製作者の商業用レコードの複製権を侵害し、ホームページに掲載することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。  *ホームページ掲載の情報は、多くの人が見れるので、公衆送信していることになります。


問題4は×、違法です。

これはCDの中の音楽をコピーし、ホームページに掲載することで、私的使用では無くなり、実演家、レコード製作者、作詞家・作曲家の著作権を侵害します。

細かく言うと、ややこしくなりますが、実演家の録音権(著作隣接権)、レコード製作者の複製権(著作隣接権)、 作詞家・作曲家の複製権(著作権)を侵害することになります。さらに、ホームページに公開することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。 このように、CDを不正に利用すると、多くの著作権を侵害することになりますので、要注意ですね。



問題5は×、違法です。 

著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)で、「営利を目的とせず、無料の場合」は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができますが、レストランでCDを再生する行為は「非営利」の条件をみたしていないので、違法です。



なお、これ以外の音楽CDの利用に関しての著作権上の問題が、以下のホームページで紹介されていますので、参考にしてください。

音楽CDの利用についてQ&A集[インターネット編]
http://www.riaj.or.jp/copyright/music/qa_internet.html



《補足》購入したCDをBGMとして流すと著作権の侵害になります!!

2001年1月に著作権法附則14条が廃止された結果、一般小売店、旅館などでCDやテープなどの録音物をBGMとして使用することにも著作権が及ぶことになりました。この結果、著作権者に無断で使用することは、著作権の侵害にあたり、使用する場合は、音楽著作権を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)に、著作権使用料を支払わなければならないことになります。


《補足》258の店舗に対して音楽を店のBGMとして使っていたとしてJASRACが民事調停

JASRAC・日本音楽著作権協会が、2015年6月、15の都道府県の美容室や飲食店など258の店舗に対して、CDや音楽プレーヤーに入っている音楽を、勝手に店のBGMとして使っていたとして、簡易裁判所に民事調停を申し立てた。

 くらし☆解説 「店のBGM 使用料がいるの?」 | くらし☆解説 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス
 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/222072.html

2014年1月31日金曜日

他人を写真で撮って公開すると”肖像権侵害”、有名人の場合は”パブリシティー権侵害”

著作権ではないのに、著作権の話でよく出てくる言葉が、”肖像権”と”パブリシティー権”です。他人が写った写真や有名人が写った写真を勝手に公開すると、これらの権利を侵害することになるので、要注意です。

著作権法などの法律で規定されていませんが、「人は私生活上の容姿を無断で撮影されたり、写真を勝手に公表されない権利を持っている」として、判例上も古くから認められているものです。簡単に言うと次のようになります。

肖像権”は、無断で撮影させない、撮影された写真を勝手に公表させない権利
”パブリシティー権”は、著名人の写真や氏名は経済的価値があり勝手に利用させない権利

私はデジカメで花の写真を撮るのが好きですが、花の写真を撮るときに「写真の中に出来るだけ他の人が写らない」ように気をつけています。



■ 肖像権(しょうぞうけん)~自分の肖像を他人に使わせない人格的権利のこと


「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

各個人は、人格的権利の一貫として、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)は、自分の知らないところで勝手に使われないようにする権利を持っているということです。

従って、他人を映した写真をホームページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。


街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。

肖像権について、以下のホームページに分かりやすい解説がありましたので、以下に紹介します。

 肖像権とパブリシティー権 プライバシーとタレントの権利
 http://cozylaw.com/copy/wadai/publicity.htm


なお、上記のホームページには、以下の説明がありますが、写真などに誰かが写ってしまった場合、プライバシーを侵害していないかどうか考え、バランス感覚で柔軟に判断したら良いと思います。

『被写体が風景の一部として溶け込んでいたり、画像がボケていて誰なのかがわからない場合など、被写体になった人物に迷惑がかからないようなときには肖像権の問題にならないでしょう。』


■ パブリシティ権


さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。


なお、「女性自身」の記事が、歌手のピンク・レディーの写真を無断で使い、「パブリシティー権」を侵害されたとして訴訟された事件の最高裁判決(2012-02-02)が以下に説明されていましたので、紹介します。

 パブリシティー権、最高裁で認められる [法務コラム]|企業法務ナビ
 http://www.corporate-legal.jp/houmu_news607/
 
今回の判決は、パブリシティー権が法的権利であると最高裁判所が初めて認めた重要なものです。

最高裁判所小法廷は判決理由で、パブリシティー権を「(著名人などの)商業的価値に基づく人格権のひとつで、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と初めて定義。法的権利であることを明言しています。



■ 《補足》他人が写った写真でも肖像権の侵害にならないケース


パレード、祭り、政治家の演説、その他イベントなど公の場所での公の行動を撮影した場合は、明らかに公開されるとわかった上で相手が写っている場合にあたり、肖像権の侵害になりません。

ただし、パレード、祭りで、たまたま見かけた友人や芸能人の写真を、”こんな人がいた!”といって公開すると、公開されるとわかっていないので、プライバシーの問題もあり、肖像権・パブリシティ権の侵害になるので注意が必要です。


なお、以下の場合も、肖像権の侵害になりません。

①被写体の同意がある
②人物の特定ができない
③被写体の社会生活のマイナス要因にならない

詳しくは以下を参照下さい。


参考:肖像権の侵害になるケースとならないケース | リモートワーク - anywher
https://anywher.net/2015/10/shouzou/



■ 《補足》肖像権が侵害されたときの対応


肖像権侵害を受けた場合、以下の対応ができます。

① 画像や動画の利用差し止め請求
差し止め請求をすることによって、画像や動画の削除を求めることが可能です。

② 損害賠償請求
肖像権侵害によってこちらは精神的な苦痛を被ることになるので、その賠償として慰謝料請求することができます。


 参考情報:
 プライバシー権侵害と肖像権!他人にSNSで勝手に個人画像を載せられた | 弁護士相談Cafe
 https://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-12255.html


なお、差し止め請求をしたり損害賠償請求を、個人でするのはとても大変なので、ネット問題に強い弁護士に対応を依頼することが大切ですね。以下を参考にしてください。

 参考情報:
 肖像権トラブルの対処方法や弁護士解決事例 - 弁護士ドットコム
 https://www.bengo4.com/houmu/17/1267/


2014年1月30日木曜日

著作権で保護される著作物とは? 著作物の定義を知って著作権を理解しよう!!

著作権法で保護される「著作物」とは、いったい何でしょうか? これをハッキリ理解しておくと、著作権法が保護しようとしている内容がよく分かり、役立ちます。

「著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(著作権法 2条1項1号)」

著作物の定義を分解すると以下のようになり、「著作物というためには、下記の全ての要件を満たさないといけません。」と著作権の本やインターネットでは、よく説明されています。

 ①思想または感情を
   人間の思想や感情を伴わない単なる事実やデータは著作物ではありません

 ②創作的に
   創作が加わっていないありふれた表現には創作性がなく著作物ではありません

 ③表現したものであって、
   なんらかの形で表現しなければなりません
   表現されていないアイデアは保護されません

 ④文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの
   大量に生産する工業製品は保護されません

でも・・・基本的には、以下で説明されている内容でOKです。

 著作物にはどんな種類がある?  | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime1.html
 

『上手下手で権利が発生したり、しなかったりということはありません。人のマネでなく、その人の思想や感情が創作的に表現されていれば、たとえ3歳の子どもの絵も小学1年生の作文も立派な著作物なのです。』

つまり、誰が作成しても、個性が発揮されていれば著作物といえます。


上記の①~④の条件は、これって著作物なの?と悩んだときに確認する内容で、一つでも該当しなければ著作物ではないと判断するための条件だと思います(専門家の皆さん、すいません!)。


■創作的とは?

著作物の要件の中で、「創作的」というのが曲者です。「創作的」といえるためには、個性がなんらかのかたちで発揮されていれば良いのです。このことで、他人の著作物の模倣品や模写したものは、創作性がなく、著作物から除外されます。

また、表現がごく短いものや、表現が平凡で、ありふれたものである場合などには、筆者の個性が表れておらず、創作性は認められません。

一方、「ボク安心ママの膝よりチャイルドシート」というスローガンに創作性が認められた例があります(交通安全スローガン」事件)。字数が少ないものでも創作性が認められる場合があり、俳句や川柳についても同様のことがいえます。


■表現したものとは?

原稿やイラストのような紙などに書かれたものだけでなく、講演会等における講演や即興演奏された音楽なども著作物になります。そのため、例えば、講演会の内容をメモしたものは複製物(コピーしたもの)になります。


■マンガのキャラクターは著作物?

「漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということはできない」ので、著作物とはいえません(最判平成9.7.17「ポパイ・ネクタイ」事件)。

ただし、キャラクターが描かれているマンガは著作物であるため、これをポスターに複製して著作権者に無断で配れば、著作権侵害となります。「キャラクター」が保護されているのではなく、「キャラクターが表現された作品」が保護されています。


【補足】 著作物の種類

下記のサイトから、著作物の種類などについて以下に補足します。

 著作物にはどんな種類がある?  | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime1.html


■著作物の種類

言語の著作物・・・論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など

音楽の著作物・・・楽曲及び楽曲を伴う歌詞

舞踊、無言劇の著作物・・・日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け

美術の著作物・・・絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)

建築の著作物・・・芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)

地図、図形の著作物・・・地図と学術的な図面、図表、模型など

映画の著作物 ・・・劇場用映画、テレビ映画、ビデオソフト、ゲームソフトなど

写真の著作物 ・・・写真、グラビアなど

プログラムの著作物 ・・・コンピュータ・プログラム

二次的著作物・・・上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案し作成したもの

編集著作物・・・百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など

データベースの著作物・・・編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの


(注)次にあげるものは著作物であっても、著作権がないので、自由に使えます。

 ・憲法そのほかの法令(地方公共団体の条例、規則も含む。)
 ・国や地方公共団体又は独立行政法人の告示、訓令、通達など
 ・裁判所の判決、決定、命令など
 ・1から3の翻訳物や編集物で国や地方公共団体又は独立行政法人の作成するもの

2014年1月29日水曜日

文章・画像・音楽・映像などを(著作権法上)自由に使える場合とは?

著作権法では、他人が作成した文章・画像・音楽・映像などの著作物を、「勝手に使っていけない!」という内容以外に、「この場合は自由に使ってもOK!」というのも、細かく規定しています。これは、著作権法を勉強し始めて、気づきましたが、意外な発見でした。

著作権法は、「他人が作成した、著作物(文章、画像 他)は無断で利用できない」という一面ばかりが強調されがちですが、

 著作権法には、「著作物の公正な利用を行い文化の発展に寄与する」という一面

があり「他人の著作物を自由に利用できる場合」を、著作権法の第30条~第50条で、細かく定めています。まさに”頑固おやじの優しさ”ですね。


その中で、私的使用、引用など一定の場合に、著作権を制限して著作物を自由に利用することができることになっています。 著作物を利用しようとするたびごとに,著作権者の許諾が必要であるとすると、著作物の公正で円滑な利用が妨げられるからです。

特に大事なのが、
 「私的使用のための複製(著作権法 第三十条)」
 「引用(著作権法 第三十二条)」
です。

ただし、さすがに私的使用や引用であったら、なんでもOKにはなりません。作成者の利益を不当に害さないように,その条件が定められていますので、注意が必要です。



■ 著作物が自由に使える場合


下記のサイトで、分かりやすく、自由に使える場合が細かく説明されています。
主なものを下記サイトを元に、一部紹介します。

 参考情報:


 はじめての著作権講座
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html

 著作物が自由に使える場合|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html


(1) 私的使用のための複製(著作権法第30条)
自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる。

(2) 図書館での複製・自動公衆送信(著作権法第31条)
法令で定められた図書館などに限り、利用者に対し複製物の提供を行う事ができる。

(3) 引用(著作権法第32条)
自分の著作物に引用の目的上正当な範囲内で他人の著作物を引用して利用することができる。

(4) 試験問題としての複製など(著作権法第36条)
入学試験や採用試験などの問題として著作物を複製し、又は公衆送信を行うことができる。ただし、営利目的のための利用は、著作権者への補償金の支払いが必要。

(5) インターネット・オークション等の商品紹介用画像の掲載のための複製(著作権法第47条の2)
商品紹介のための画像掲載について、政令で定める措置を講じることを条件に、著作物を複製・自動公衆送信することができる。

上記以外にも、著作物が自由に使える場合があります、詳細は上記のホームページを参照下さい。

なお、インターネット上に公開してある画像等で、”フリー(自由に使って下さい)”と表示されている場合は利用が可能です。但し、画像利用が”フリー”の場合でも、画像サイズを小さくしたり色を変えたり等の編集を禁じている場合がありますので、”フリー”の場合でも”利用時の注意事項”を充分確認下さい。



■ 「私的使用のための複製」とは  (著作権法 第30条)


著作権は、「私的使用の範囲ならば他人が作成したものは利用可能」という原則があります。

この「私的使用の範囲」というのが、やっかいで難しいのですが、「家庭とか個人の範囲」であれば利用可能ということで、会社や公の場で、他人が作成したものを勝手に利用することはできません。

また、インターネットの場合は注意が必要です。

たとえ、個人によるホームページ・ブログ・SNSでの情報発信でも、その情報は世界中に発信されるため、「私的使用の範囲」の範囲を超え、他人が作成したもの(文章・画像など)を勝手に発信すると著作権違反になります。



(注)私的範囲でも映画の盗撮はダメ!!

映画館で盗撮された映画の複製物が多数流通し,映画産業に多大な被害が発生していることから,その防止目的として、「映画の盗撮の防止に関する法律」が平成19年8月30日から施行されました。映画館等で映画の録音・録画を行うことは,私的使用のためであっても違法になります。


(注)購入したり、レンタルした映画DVDなどを、空のDVDにコピーするのは違法!!

DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を回避(解除)したコピーは、たとえ個人使用の目的でも違法になり、民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。詳しくは下記を参照下さい。

 平成24年通常国会 著作権法改正について|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/

暗号方式の保護技術とは,暗号化することにより,機器での視聴や複製をコントロールする技術であり,現在,DVDやBlu-ray Discなどに用いられています。なお,技術的保護手段の用いられていないCDを私的使用目的で複製することは,著作権侵害とはなりません。



■ 「引用」とは   (著作権法 第32条)

他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には、以下の事項に注意しなければなりません。

(1) 主従関係  自分の著作が主で、引用される著作が従であること。量的にも質的にも自分の著作が主であることが必要。

(2) 必然性があり最小限度  引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。

(3) 明瞭区分性  かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。

(4) 出所、著作者名の明記  引用する著作物の書名、著作者名などを明記し、出所が明確に分かること。
例)本からの引用の場合・・・“『書名』著者名、発行所名、発行年、引用ページ”のように記述
ホームページからの引用の場合・・・“ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。

(5) 引用部分の同一性保持権  引用する場合に、原文そのままで引用すること。なお、途中を省略する場合は“(中略)”などと明記する。


【役立つ参考情報】

著作権に関する教材,資料等|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html
 


この文化庁のホームページにある「著作権テキスト(PDF形式)」は良く出来ています。著作権を知るためには絶好のテキストです。