ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2014年2月23日日曜日

(著作権法含め) 知的財産法の全体像が分かる本「知的財産法入門」(小泉直樹 著)

知的財産法とは、特許法、商標法、意匠法、著作権法などを総称した呼び方です。特許法、著作権だけでも難しいのに、知的財産法の全体像を知ることは、そう簡単ではありません。

私も、知的財産法の全体像をどうやって理解しようかと悩んでいたときに見つけたのが、「知的財産法入門」(小泉直樹 著)でした。この本は、全くの初心者には難しい内容ですが、少しでも、特許法、著作権を知っている人には、知的財産法の全体像を知る絶好の本です。



知的財産法入門 (岩波新書)

著:小泉 直樹
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また、この本には、特許法、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法の相互関連も分かりやすく紹介されています。

この本は、著者の25年間の大学の講義をもとに作成されたそうですが、200頁の少ないページ数の中で、知的財産法について各法律の特徴がうまく説明されており、とても感心しました。

例えば、著作権に関しては、次のような説明がこの本にあり、法律の背景まで教えてくれます。

・著作権法では、アイデア・事実は独占できないとして独占権を与えていないが、これは、「大事だからこそ皆で共有し、独占させない」というのが著作権法からの答えで、著作権法が奨励したいのは、個性的で多様な表現活動。

・映画と著作権に関して、セイサクという言葉を「制作」、「製作」と使い分けており、「制作」は映画の著作物の創作への関与をさし、監督らの行為であり、一方、「製作」は映画を作ることを企画し、資金的な裏づけを担保すること(発意と責任)。


なお、この本を読むにあたっての参考情報として、知的財産権及び知的財産法について、補足として簡単に整理しました。


≪補足≫知的財産権について

知的財産権は、技術などに関する「産業財産権」と、文学などに関する「著作権等」に大別されます。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを「産業財産権」といい、特許庁が所管しています。


【産業財産権】

1.特許(発明)
発明と呼ばれる比較的程度の高い新しいアイデアに与えられる。「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプ。出願から20年

2.実用新案(考案)
発明ほど高度なものではなく、小発明と呼ばれるもの。実用新案権は無審査で登録。出願から10年
       
3.意匠(デザイン)
物の形状、模様など斬新なデザインに対して与えられる。登録から20年
       
4.商標(マーク)
自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマークに与えられる。登録から10年(更新あり)

【著作権等】

1.著作権
文学、学術、美術、音楽の範囲に属するもの。コンピュータプログラムも含む。創作時から著作者の死後50年(法人著作は公表後50年)

2.半導体集積回路配置
独自に開発された半導体チップの回路配置。登録から10年

3.商号
営業上、法人格を表示するために用いる名称、社名。期限なし

4.不正競争の防止
公正な競争秩序を確立するために、著しく類似する名称やデザイン、技術上の秘密などの使用を差し止める。期限なし

5.植物の新品種
育成者権(種苗法)によって、植物の新品種を保護。登録から25年


≪補足≫知的財産法について

1.特許法

(目的)
第一条  この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。


2.実用新案法

(目的)
第一条  この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。


3.意匠法

(目的)
第一条  この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義等)
第二条  この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。


4.商標法

(目的)
第一条  この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。


5.著作権法

(目的)
第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。


6.不正競争防止法

(目的)
第一条  この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。


7.種苗法

(目的)
第一条  この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。


8.半導体集積回路の回路配置に関する法律

(目的)
第一条  この法律は、半導体集積回路の回路配置の適正な利用の確保を図るための制度を創設することにより、半導体集積回路の開発を促進し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

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