ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2014年1月31日金曜日

他人を写真で撮って公開すると”肖像権侵害”、有名人の場合は”パブリシティー権侵害”

著作権ではないのに、著作権の話でよく出てくる言葉が、”肖像権”と”パブリシティー権”です。他人が写った写真や有名人が写った写真を勝手に公開すると、これらの権利を侵害することになるので、要注意です。

著作権法などの法律で規定されていませんが、「人は私生活上の容姿を無断で撮影されたり、写真を勝手に公表されない権利を持っている」として、判例上も古くから認められているものです。簡単に言うと次のようになります。

肖像権”は、無断で撮影させない、撮影された写真を勝手に公表させない権利
”パブリシティー権”は、著名人の写真や氏名は経済的価値があり勝手に利用させない権利

私はデジカメで花の写真を撮るのが好きですが、花の写真を撮るときに「写真の中に出来るだけ他の人が写らない」ように気をつけています。



■ 肖像権(しょうぞうけん)~自分の肖像を他人に使わせない人格的権利のこと


「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

各個人は、人格的権利の一貫として、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)は、自分の知らないところで勝手に使われないようにする権利を持っているということです。

従って、他人を映した写真をホームページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。


街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。

肖像権について、以下のホームページに分かりやすい解説がありましたので、以下に紹介します。

 肖像権とパブリシティー権 プライバシーとタレントの権利
 http://cozylaw.com/copy/wadai/publicity.htm


なお、上記のホームページには、以下の説明がありますが、写真などに誰かが写ってしまった場合、プライバシーを侵害していないかどうか考え、バランス感覚で柔軟に判断したら良いと思います。

『被写体が風景の一部として溶け込んでいたり、画像がボケていて誰なのかがわからない場合など、被写体になった人物に迷惑がかからないようなときには肖像権の問題にならないでしょう。』


■ パブリシティ権


さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。


なお、「女性自身」の記事が、歌手のピンク・レディーの写真を無断で使い、「パブリシティー権」を侵害されたとして訴訟された事件の最高裁判決(2012-02-02)が以下に説明されていましたので、紹介します。

 パブリシティー権、最高裁で認められる [法務コラム]|企業法務ナビ
 http://www.corporate-legal.jp/houmu_news607/
 
今回の判決は、パブリシティー権が法的権利であると最高裁判所が初めて認めた重要なものです。

最高裁判所小法廷は判決理由で、パブリシティー権を「(著名人などの)商業的価値に基づく人格権のひとつで、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と初めて定義。法的権利であることを明言しています。



■ 《補足》他人が写った写真でも肖像権の侵害にならないケース


パレード、祭り、政治家の演説、その他イベントなど公の場所での公の行動を撮影した場合は、明らかに公開されるとわかった上で相手が写っている場合にあたり、肖像権の侵害になりません。

ただし、パレード、祭りで、たまたま見かけた友人や芸能人の写真を、”こんな人がいた!”といって公開すると、公開されるとわかっていないので、プライバシーの問題もあり、肖像権・パブリシティ権の侵害になるので注意が必要です。


なお、以下の場合も、肖像権の侵害になりません。

①被写体の同意がある
②人物の特定ができない
③被写体の社会生活のマイナス要因にならない

詳しくは以下を参照下さい。


参考:肖像権の侵害になるケースとならないケース | リモートワーク - anywher
https://anywher.net/2015/10/shouzou/



■ 《補足》肖像権が侵害されたときの対応


肖像権侵害を受けた場合、以下の対応ができます。

① 画像や動画の利用差し止め請求
差し止め請求をすることによって、画像や動画の削除を求めることが可能です。

② 損害賠償請求
肖像権侵害によってこちらは精神的な苦痛を被ることになるので、その賠償として慰謝料請求することができます。


 参考情報:
 プライバシー権侵害と肖像権!他人にSNSで勝手に個人画像を載せられた | 弁護士相談Cafe
 https://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-12255.html


なお、差し止め請求をしたり損害賠償請求を、個人でするのはとても大変なので、ネット問題に強い弁護士に対応を依頼することが大切ですね。以下を参考にしてください。

 参考情報:
 肖像権トラブルの対処方法や弁護士解決事例 - 弁護士ドットコム
 https://www.bengo4.com/houmu/17/1267/


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