店舗で「BGM」を流す際には、著作権法を知らないと法律違反になり、罰せられるので注意が必要です。
音楽の著作権者には、音楽を公衆に聞かせることを目的として演奏する権利(「演奏権」)があります。
店舗でBGMを流す行為は、音楽を客に聞かせることを目的としていますから、著作権法の演奏にあたり、この「演奏権」を侵害します。なお、演奏には、生演奏だけでなく、CDの音楽を流すように、録音されたものを再生することも含まれます(著作権法2条7項)。
また、インターネットラジオなどのインターネットの音楽には、著作権法上、「自動公衆送信」という権利(オンデマンドの送信)があり、インターネットの音楽を店舗で流すのも著作権法違反になります。
著作権法上、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」のは、「私的使用」になりCD・インターネットの音楽の利用はOKですが、店舗で「BGM」として音楽を流すのは、著作権法の各種権利を侵害することになり、法律違反になります。
①購入したCDを再生して、店舗でBGMとして流すのは著作権違反(「演奏権」の侵害)
②インターネットラジオなどのインターネットの音楽をパソコンなどで再生し店舗でBGMとして流すのは著作権違反(「自動公衆送信」の侵害)
但し、著作権法38条3項に例外措置があり、以下の場合はOKです。
①FMやAMなどラジオ放送をBGMとして「通常の家庭用受信装置」をもちいて流す場合はOKです。
②TVも「通常の家庭用受信装置」をもちいて流す場合はOKです。
また、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができます。
(補足)著作権法38条3項
「放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。」
この内容から、以下の場合は、著作権を侵害しません。
(1) 営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合
(2) 通常の家庭用受信装置を用いてする場合(営利目的であっても。料金を受けても。)
詳しくは、以下を参照下さい。
著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合 文化庁
「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」「貸与」等関係
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/outline/8.g.html
なお、下記の記事によると、日本音楽著作権協会(JASRAC)は6月上旬、不正にBGMを利用している全国187事業者、212店舗に対して、簡易裁判所に民事調停を申し立てたそうです。
JASRACが美容室を中心に一斉「法的措置」…店舗で「BGM」を流す際の注意点
- 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/internet/n_4829/