新聞・雑誌・Webページを印刷(コピー)する行為は、作成した人(著作者)が持っている権利で複製権(著作権法 第21条)です。著作権の中でも代表的な権利です。印刷したものを勝手に利用すると、複製権の侵害になり、違法です。
私たちは、家庭・学校・会社で、この”印刷(コピー)する行為”をたくさんしていますが、正しく運用しないと著作権を侵害しますので、注意が必要です。今回は、これに関係した行為の著作権Q&Aを作成してみました。
なお、印刷(コピー)したものを利用する行為が、著作権法でOKかどうかは、基本的に、以下になります。
・家庭は〇(著作権法 35条 ”私的使用のための複製” で特別にOK)
・学校は〇(著作権法 35条 ”学校その他の教育機関における複製等 で特別にOK)
・会社は×(著作物を勝手に印刷して会社内で利用することは著作権を侵害しNG)
但し、学校といっても、営利を目的として設置されている(予備校、私塾、カルチャースクールなど)ところでの利用は×(違法)になりますので、注意が必要です(著作権法 35条に明記)。
(注)「複製とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすること、そしてスキャナーなどにより電子的に読み取ること、また保管することなどを言います。」
問題1: インターネットの料理レシピーの中に母親の好きなものがあったので、Webページを印刷して母親に渡す行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 教授がインターネットのWebページを印刷して、大学の授業で利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 中学の授業で、市販の問題集に良いものがあったので、クラスの人数分コピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を印刷(複製)することができます(著作権法 30条)。
著作権法 30条(私的使用のための複製)
著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
問題2は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。
なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。
著作権法 35条(学校その他の教育機関における複製等)
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます。
問題3は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)の中に、大学も該当しますので、著作物の複製(印刷したもの)を利用することができます。《補足》参照。
問題4は×、違法です。
営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。
問題5は×、違法です。
会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。
問題6は×、違法です。
教育現場といえども、このような無茶なことはできません。著作権法 35条には、「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあり、問題集をクラスの人数分コピーする行為は、出版社の利益を不当に害する行為になるので違法です。
《補足》著作権法 第35条 ”学校その他の教育機関”の範囲は?
”学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)”という著作権法の記述が曖昧だったので、調べてみました。以下になるようです。
参考資料
”学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第35条ガイドライン”
平成16年3月 著作権法第35条ガイドライン協議会
著作権法第35条の適用される機関
事 項:学校その他の教育機関
条 件:組織的・継続的教育活動を営む教育機関であって、営利を目的としないもの
内 容:
○文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準ずるところ
例:幼稚園、小中高校、中等教育学校、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、看護学校などの各種学校、大学校、保育所
○社会教育においては、上記教育機関と同等の年間教育計画を有するところ
×営利目的の予備校、私塾、カルチャースクール、営利企業の社員研修など
×学校開放などで教育機関以外の者が単に場所として学校を使用している場合
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