ブログでの発信

著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。

2015年9月27日日曜日

仕事の中で他人の文書・画像を勝手にコピーすると著作権違反です! 仕事の中の著作権とは

著作権法では、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で、私的使用のために複製使用することは認められています。

ただし、仕事の場合は、これに当たらず、インターネットの中の文章・画像の複製、新聞・雑誌・本などからの複製は、著作権法で禁じられていますので注意が必要です。フリーソフトの中にも「個人的利用はOKだが、商用(仕事)で使う場合はNG」というのも多数あります。

もし、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられますので(両罰規定)、注意が必要です(著作権法 124条)。

なお、著作物が自由に使える場合が、下記のサイトで、分かりやすく、自由に使える場合が細かく説明されています。

 はじめての著作権講座
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html

 著作物が自由に使える場合|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html

 社内プレゼン用資料と著作権 ~著作物を載せてもOKな場合とは? – GVA法律事務所
 http://gvalaw.jp/venturelaw/archives/714.html


特に、仕事で他人の著作物を利用する場合、”引用”であればOKなので、これをよく理解しておくと良いですね。詳しくは、以下で説明します。



なお、もし、どうしても仕事上、必要な場合は、権利者から許可をもらい利用することが必要です。以前、私が実施した例を以下に紹介します。




■ 他人が作成した文章・画像を使うには?



①他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」

自分の文書を補足し、”自分の文書が主で利用する文書が従”の場合は、”引用(いんよう)”となり、他人が作成したものを利用してもOKです。


②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索語に
パブリックドメインとは「自由に使ってもよい著作物」。検索後、利用する画像が決まったら、画像をクリックしていき、画像のライセンスが表示が“パブリックドメイン”、または“CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)”になっていることを確認下さい。

②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指定

Google画像検索の「検索ツール」をクリック、次に「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定する。




■ ① 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む「引用」



他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には、以下の事項に注意しなければなりません。この条件を守っていれば、仕事の中でも、他人の著作物を利用することができます。

(1) 主従関係

自分の著作が主であって、引用される著作が従であること。主と従は、量的にも自分の著作が大半を占める以外に、質的にも自分の著作が主であることが必要です。

(2) 必然性があり最小限度

引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。

(3) 明瞭区分性

かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。

(4) 出所、著作者名の明記

引用する著作物の書名、著作者名等を明記し、出所が明確に分かること。文章だけでなく、各種データ、図表、画像等についても出典・出所を明示すること。

記述例) ”著者名『書名』、発行所名、発行年、引用ページ”を記述する。
     インターネットからの引用の場合は、”ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。

(5) 引用部分の同一性保持権

引用する場合に、原文、原画そのままで引用すること。なお、文章を引用する場合に、途中を省略する場合は”(中略)”などと明記すること。


(引用)第三十二条
 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。






■ ②-1 自由に使える画像を探す~画像検索で“パブリックドメイン”を検索後に入れる



・Google画像検索で、“パブリックドメイン”を検索語の中に入れて検索。

例えば、「パブリックドメイン クリップアート コンピュータ」として検索。

・なお、画像をクリックしていき、ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。

*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物







 
■著作物を自由に使える場合 「パブリックドメイン(Public Domain )」とは

「Public:公共の、Domain:所有物」ということで、著作権などの知的財産権のない状態のものを言います。簡単にいえば「自由に使ってもよい著作物」のことです。
Public Domainになるものとしては大きく以下があります。
・著作者が、権利を放棄したもの
・著作者の死後、一定の時間(日本の場合は50年)が経過して著作権が消滅したもの


■著作物を自由に使える場合 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」とは

クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。

CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で利用することができます。

なお、CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)は、著作者が能動的に権利を放棄したよという著作物です。ちなみに、パブリックドメイン作品とは、著作権の保護期間を過ぎ権利が消滅した著作物(写真や映画など)です。

記事やホームページなどで素材として使用する際は、制限がまったく無い、「パブリックドメイン」か、「CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)」の画像を使うとよいですね。



■ ②-2 Googleの画像検索でライセンス条件を指定





(1) Google画像検索の画面を表示

(2) 検索語を入力して検索実行

ただし、この段階で利用してはダメです。この段階の検索では、ライセンが不明です。
この段階の画像を利用すると、最悪は著作権侵害になります。

*検索語は「パソコン」のような日本語より、英語の「PC」のほうが多く検索できます。

(3) 検索ツールでライセンスを指定

①「検索ツール」をクリック
②「ライセンス」をクリックして、ライセンス条件を指定

《ライセンスの条件》

*「検索ツール」を使わない通常の検索は”L1”になっており、ライセンスが不明なため、利用できません。

 L1:ライセンスでフィルタリングしない

 L2:改変後の再使用が許可された画像       (非営利目的・商用目的でもOK)

 L3:再使用が許可された画像           (非営利目的・商用目的でもOK)

 L4:改変後の非営利目的での再使用が許可された画像(非営利目的はOK、商用目的はNG)

 L5:非営利目的での再使用が許可された画像    (非営利目的はOK、商用目的はNG)

仕事の業務などで 利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L2」
個人のブログなどで利用する画像を利用する場合は、「改変後の利用が認められる L4」

が良いですね。


(4) 使いたい画像のライセンスを確認

①ライセンスを指定して画像検索、使いたい画像をクリック
②大きく表示された画像をクリック
③ライセンスを確認

ライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認。
*CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物



■ 仕事の中の著作権事例



■事例1:新聞に自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為は、OKでしょうか?


NGで、違法です。

私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。


■事例2:業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為は、OKでしょうか?


NGで、違法です。

会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。


■事例3:高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為は、OKでしょうか?


OKです、違法ではありません。

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。


■事例4:予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。


■事例5:パソコンで使っている市販のソフトが、なかなか便利なので、職場の他のパソコンにコピーして使う行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

この行為は“ソフトの違法コピー”で、もし発覚したら、多額の罰金が課せられ、社会的な信用も失います。
コンピュータ・プログラムは目には見えませんが、それを作る人が苦労して考え、その考え方を表現して作成するもので、著作権法で保護される著作物のひとつです。

プログラムには、ウインドウズのようなOS(オペレーティングシステム)やワープロやゲームソフトのようなアプリケーション・ソフトといったものなどいろいろな種類のものがありますが、これらはすべて著作権法で保護されます。


■事例6:Webサイトに公開してあるフリーソフトに社内でも役立つソフトがあり、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあったので、社内の構内LANのサーバーに保管してダウンロードして利用する行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です。

フリーソフトの利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあっても、LANのサーバーにプログラムを置く行為は、公衆送信権(自動公衆送信権、送信可能化権)の侵害となり、違法です。


■事例7:講演会のプレゼン内容に関係のある新聞記事があったので、それを写真に撮り、講演会の時にスクリーンで見せる行為は、OKでしょうか?

NGで、違法です

1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。

例えば、講演会におけるOHPによる著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。


■事例8:社内のプレゼン資料で必要なデータがあり、画像検索したら、ピッタリの画像があったので、この画像をプレゼン資料に貼り付けて、会議の席上で説明した。

NGで、違法です。
画像検索の画像を、社内プレゼン資料に使用すると、これは著作権法違反になる可能性が高く、注意が必要です。複製権(コピー)の侵害に加え、上映権の侵害にもなります。

*上映権とは、一般的には映写幕に著作物を映写することですが、プレゼン資料の上映なども含まれます。

自由に使える画像を探す場合は、画像検索で“パブリックドメイン”を検索後に入れると良いですね。例えば、「パブリックドメイン クリップアート コンピュータ」として検索(パブリックドメインとは、著作権などの知的財産権のない状態のもの)。


なお、画像をクリックしていき、画像のライセンスが“パブリックドメイン”、または“CC0”を確認下さい。 *CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ):権利が放棄された著作物




■ 著作権を考慮しない、単純な画像検索には要注意!!


社内プレゼン術という、人気のある書籍の解説記事が以下のホームページにありました。なかなかよい記事で参考になるなあと思っていました。ところが、よく見ると、この記事の中に著作権をあまり考慮していない内容があり、驚きました。

 ソフトバンクでも活用の「社内プレゼン術」(2)
 「10秒でわかる」グラフ作成テクニック10連発!|社内プレゼンの資料作成術|ダイヤモンド・オンライン
 http://diamond.jp/articles/-/77496



この記事では、社内プレゼンで使うデータに、Google画像検索を利用するとよいという、以下の記述がありました。

『重宝するのが「画像検索」。グラフや表は「画像」としてインターネット上に存在していますので、テキスト検索をしてからデータを探すよりも、画像検索のほうが求めているデータにたどり着くスピードが圧倒的に速いのです。』(上記のダイヤモンド・オンラインの記事より)

しかし、記事の中で紹介している画像は、単純な「富士山 登山者数」で画像検索している画面でした。

著作権を考慮しない、単純な検索結果の画像には、著作権がある場合が多く、社内プレゼン資料に使用すると、これは著作権法違反になる可能性が高く、注意が必要です。

ちなみに、「富士山 登山者数」で画像検索した場合と、著作権を考慮した「パブリックドメイン 富士山 登山者数」で画像検索した場合とでは、検索結果が大きく異なります。

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