TPPは著作権含めた知的財産権に関しても影響を与えることが少しづつ分かってきました。TTP妥結の内容は、今後の著作権法改正に大きな影響を与えますので、インターネットの記事から、まとめてみたいと思います。
参考にした記事は、より正確な情報を得るために、専門家、新聞社、弁理士などの記事を選びました。
なお、TPPの具体的な内容は、以下で公開されており、著作権含めた知的財産に関しては、第18章(30ページ)に述べられており、一番正確な情報として参考にしたいですね。
参考:
環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要
内閣官房TPP政府対策本部 平成27年10月5日
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou.pdf
なお、全体的な内容として、以下の記事も参考になります。
参考:
TPPが著作権に与える影響とは?(非親告罪化と法定賠償制度) | STORIA法律事務所ブログ
http://storialaw.jp/blog/488
TPPが著作権に与える影響とは?(保護期間の延長) | STORIA法律事務所ブログ
http://storialaw.jp/blog/436
■法定賠償制度の導入、巨額な賠償責任を負わせることが可能に
参考:livedoor ニュース
TPP交渉で知財分野は日本の完敗だった
http://blogos.com/article/140951/
この記事によると、著作権分野の重要3点セットと呼ばれ、ここまでの交渉で日本が反対してきた「著作権保護期間の70年への延長」、「非親告罪化」、「法定賠償制度の導入」の3点はいずれも今回の大筋合意に含まれてしまったそうです。
この中で、日本に最も大きな影響を及ぼす可能性があるのは法定賠償制度の導入で、著作権侵害に対する損害賠償に巨額な賠償責任を負わせることを可能にする制度だそうです。
■保護期間が50年→70年、「親告罪」から「非親告罪」
参考:
東京新聞:セーフガード措置は同一産品1回限り 著作権は作者の死から最低70年:経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201510/CK2015102302000147.html
この情報から、以下の2点に注目。
(1) 著作権の保護期間は、著作者の死から少なくとも70年(現行の著作権法は50年)。
(2) 著作物を違法に複製した場合は、被害を受けた著作者が告訴しなくても警察などが取り締まれる「非親告罪」にする。
なお、現行では、著作権侵害は、基本的に親告罪、つまり、告訴がなければ公訴提起(刑事裁判をすること)ができない犯罪となっています。
例外:非親告罪とされるもの
第120条・・・・・・・・・・・・著作者・実演家死後の人格的利益の保護侵害
第120条の2第1号及び第2号・・・技術的保護手段を回避する装置・プログラムの公衆譲渡等
第121条・・・・・・・・・・・著作者名詐称複製物の頒布
第122条・・・・・・・・・・・出所明示の義務違反
■保護期間の「戦時加算の廃止」
参考:livedoor ニュース
「ミッキーマウスとハローキティ」
http://blogos.com/article/147492/
「死後50年保護」から「死後70年保護」をTPP各国共通のルールとすることにして、その際、戦時加算を廃止することになったとのことです。
なお、著作権の保護期間に関する戦時加算とは、戦時に相当する期間を、通常の著作権の保護期間に加算することで、戦争により失われた著作権者の利益を回復しようとする制度のこと。
第二次世界大戦後の日本の戦後処理の基本を定めたサンフランシスコ平和条約が、日本と連合国との間で署名され、日本の戦時加算は、連合国および連合国民の著作権に対し、日本だけが負う義務として、この条約に規定されています。
上記の参考記事によると、この戦時加算で、例えば米国、英国、フランスの著作権は本来の年数に加えて3,794日、つまり約10年加算されています。
■非親告罪の内容
参考:
「コミケ」開催の危機!?TPPが与える著作権の影響 | OVO [オーヴォ]
http://ovo.kyodo.co.jp/column/a-649291
この記事によると、非親告罪の内容は以下の内容になるのではないかと予想されています。他の記事を読んでも、このような内容にまとまる可能性が高いのではないかと思います。
それにしても、親告罪から非親告罪への転換は、大きな変化になりますね。
『「非親告罪化」については各産業からの要望、TPP交渉結果の反映、政府の成長戦略等の達成という視点でさまざまな調整がなされた結果、「非親告罪化」を進めると共に、「2次創作物」を「非親告罪」の対象外とする方向で進むことになります。著作権を保護する姿勢を打ち出すと共に、創作者の団体やアニメーション・漫画産業に対する配慮と期待とを示した形です。』
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