知的財産法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法 他)に関してのテキストを、無料で公開されているサイトを紹介します。主に初心者向けに作成されたテキストで、市販の書籍に匹敵する内容です。
知的財産法に関する本は、安いものでも二千円、高いものだと五千円以上もするので、なかなか手が出しにくいですね。このような時は、ぜひ、下記のサイトをのぞいて見てください。
■知的財産法の全般が分かりやすく紹介されているテキスト
平成25年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト(特許庁)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h25_syosinsya.htm
■特許庁公開のテキスト
特許庁テキスト(特許庁)
http://e-patentsearch.net/wp/663.html
■市販の本に匹敵する著作権テキスト(著作権法付属)
著作権に関する教材,資料等|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html
*本サイトに、「著作権テキスト」が無料で公開されています。
■著作権を理解するための各種「著作権パンフレット」(判りやすい説明と豊富な具体例)
著作権パンフレット | 出版物のご案内 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
http://www.cric.or.jp/publication/pamphlet/index.html
■(初等中等教育に役立つ)著作権に関する基礎的な知識
著作権教育 | 著作権教育 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
http://www.cric.or.jp/education/index.html
■不正競争防止法のテキスト
不正競争防止法説明資料(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/unfair-competition.html
ブログでの発信
著作権は敷居が高いですが、インターネットで情報発信をするかぎり、この「著作権」を無視することはできません。 このブログでは、この著作権について、私が経験したこと、学んだことを、身近な事例で紹介していきたいと思います。
2014年2月24日月曜日
2014年2月23日日曜日
(著作権法含め) 知的財産法の全体像が分かる本「知的財産法入門」(小泉直樹 著)
知的財産法とは、特許法、商標法、意匠法、著作権法などを総称した呼び方です。特許法、著作権だけでも難しいのに、知的財産法の全体像を知ることは、そう簡単ではありません。
私も、知的財産法の全体像をどうやって理解しようかと悩んでいたときに見つけたのが、「知的財産法入門」(小泉直樹 著)でした。この本は、全くの初心者には難しい内容ですが、少しでも、特許法、著作権を知っている人には、知的財産法の全体像を知る絶好の本です。
また、この本には、特許法、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法の相互関連も分かりやすく紹介されています。
この本は、著者の25年間の大学の講義をもとに作成されたそうですが、200頁の少ないページ数の中で、知的財産法について各法律の特徴がうまく説明されており、とても感心しました。
例えば、著作権に関しては、次のような説明がこの本にあり、法律の背景まで教えてくれます。
・著作権法では、アイデア・事実は独占できないとして独占権を与えていないが、これは、「大事だからこそ皆で共有し、独占させない」というのが著作権法からの答えで、著作権法が奨励したいのは、個性的で多様な表現活動。
・映画と著作権に関して、セイサクという言葉を「制作」、「製作」と使い分けており、「制作」は映画の著作物の創作への関与をさし、監督らの行為であり、一方、「製作」は映画を作ることを企画し、資金的な裏づけを担保すること(発意と責任)。
なお、この本を読むにあたっての参考情報として、知的財産権及び知的財産法について、補足として簡単に整理しました。
≪補足≫知的財産権について
知的財産権は、技術などに関する「産業財産権」と、文学などに関する「著作権等」に大別されます。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを「産業財産権」といい、特許庁が所管しています。
【産業財産権】
1.特許(発明)
発明と呼ばれる比較的程度の高い新しいアイデアに与えられる。「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプ。出願から20年
2.実用新案(考案)
発明ほど高度なものではなく、小発明と呼ばれるもの。実用新案権は無審査で登録。出願から10年
3.意匠(デザイン)
物の形状、模様など斬新なデザインに対して与えられる。登録から20年
4.商標(マーク)
自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマークに与えられる。登録から10年(更新あり)
【著作権等】
1.著作権
文学、学術、美術、音楽の範囲に属するもの。コンピュータプログラムも含む。創作時から著作者の死後50年(法人著作は公表後50年)
2.半導体集積回路配置
独自に開発された半導体チップの回路配置。登録から10年
3.商号
営業上、法人格を表示するために用いる名称、社名。期限なし
4.不正競争の防止
公正な競争秩序を確立するために、著しく類似する名称やデザイン、技術上の秘密などの使用を差し止める。期限なし
5.植物の新品種
育成者権(種苗法)によって、植物の新品種を保護。登録から25年
≪補足≫知的財産法について
1.特許法
(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2.実用新案法
(目的)
第一条 この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。
3.意匠法
(目的)
第一条 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
4.商標法
(目的)
第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
5.著作権法
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
6.不正競争防止法
(目的)
第一条 この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
7.種苗法
(目的)
第一条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
8.半導体集積回路の回路配置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、半導体集積回路の回路配置の適正な利用の確保を図るための制度を創設することにより、半導体集積回路の開発を促進し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
私も、知的財産法の全体像をどうやって理解しようかと悩んでいたときに見つけたのが、「知的財産法入門」(小泉直樹 著)でした。この本は、全くの初心者には難しい内容ですが、少しでも、特許法、著作権を知っている人には、知的財産法の全体像を知る絶好の本です。
知的財産法入門 (岩波新書)
著:小泉 直樹
参考価格:¥756 価格:¥756 OFF : () |
また、この本には、特許法、商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法の相互関連も分かりやすく紹介されています。
この本は、著者の25年間の大学の講義をもとに作成されたそうですが、200頁の少ないページ数の中で、知的財産法について各法律の特徴がうまく説明されており、とても感心しました。
例えば、著作権に関しては、次のような説明がこの本にあり、法律の背景まで教えてくれます。
・著作権法では、アイデア・事実は独占できないとして独占権を与えていないが、これは、「大事だからこそ皆で共有し、独占させない」というのが著作権法からの答えで、著作権法が奨励したいのは、個性的で多様な表現活動。
・映画と著作権に関して、セイサクという言葉を「制作」、「製作」と使い分けており、「制作」は映画の著作物の創作への関与をさし、監督らの行為であり、一方、「製作」は映画を作ることを企画し、資金的な裏づけを担保すること(発意と責任)。
なお、この本を読むにあたっての参考情報として、知的財産権及び知的財産法について、補足として簡単に整理しました。
≪補足≫知的財産権について
知的財産権は、技術などに関する「産業財産権」と、文学などに関する「著作権等」に大別されます。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを「産業財産権」といい、特許庁が所管しています。
【産業財産権】
1.特許(発明)
発明と呼ばれる比較的程度の高い新しいアイデアに与えられる。「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプ。出願から20年
2.実用新案(考案)
発明ほど高度なものではなく、小発明と呼ばれるもの。実用新案権は無審査で登録。出願から10年
3.意匠(デザイン)
物の形状、模様など斬新なデザインに対して与えられる。登録から20年
4.商標(マーク)
自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するためのマークに与えられる。登録から10年(更新あり)
【著作権等】
1.著作権
文学、学術、美術、音楽の範囲に属するもの。コンピュータプログラムも含む。創作時から著作者の死後50年(法人著作は公表後50年)
2.半導体集積回路配置
独自に開発された半導体チップの回路配置。登録から10年
3.商号
営業上、法人格を表示するために用いる名称、社名。期限なし
4.不正競争の防止
公正な競争秩序を確立するために、著しく類似する名称やデザイン、技術上の秘密などの使用を差し止める。期限なし
5.植物の新品種
育成者権(種苗法)によって、植物の新品種を保護。登録から25年
≪補足≫知的財産法について
1.特許法
(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2.実用新案法
(目的)
第一条 この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。
3.意匠法
(目的)
第一条 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
4.商標法
(目的)
第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
5.著作権法
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
6.不正競争防止法
(目的)
第一条 この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
7.種苗法
(目的)
第一条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
8.半導体集積回路の回路配置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、半導体集積回路の回路配置の適正な利用の確保を図るための制度を創設することにより、半導体集積回路の開発を促進し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
2014年2月8日土曜日
気に入った新聞・雑誌・Webページを印刷して利用してもOK? 日常生活の著作権Q&A
新聞・雑誌・Webページを印刷(コピー)する行為は、作成した人(著作者)が持っている権利で複製権(著作権法 第21条)です。著作権の中でも代表的な権利です。印刷したものを勝手に利用すると、複製権の侵害になり、違法です。
私たちは、家庭・学校・会社で、この”印刷(コピー)する行為”をたくさんしていますが、正しく運用しないと著作権を侵害しますので、注意が必要です。今回は、これに関係した行為の著作権Q&Aを作成してみました。
なお、印刷(コピー)したものを利用する行為が、著作権法でOKかどうかは、基本的に、以下になります。
・家庭は〇(著作権法 35条 ”私的使用のための複製” で特別にOK)
・学校は〇(著作権法 35条 ”学校その他の教育機関における複製等 で特別にOK)
・会社は×(著作物を勝手に印刷して会社内で利用することは著作権を侵害しNG)
但し、学校といっても、営利を目的として設置されている(予備校、私塾、カルチャースクールなど)ところでの利用は×(違法)になりますので、注意が必要です(著作権法 35条に明記)。
(注)「複製とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすること、そしてスキャナーなどにより電子的に読み取ること、また保管することなどを言います。」
問題1: インターネットの料理レシピーの中に母親の好きなものがあったので、Webページを印刷して母親に渡す行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 教授がインターネットのWebページを印刷して、大学の授業で利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 中学の授業で、市販の問題集に良いものがあったので、クラスの人数分コピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を印刷(複製)することができます(著作権法 30条)。
著作権法 30条(私的使用のための複製)
著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
問題2は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。
なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。
著作権法 35条(学校その他の教育機関における複製等)
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます。
問題3は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)の中に、大学も該当しますので、著作物の複製(印刷したもの)を利用することができます。《補足》参照。
問題4は×、違法です。
営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。
問題5は×、違法です。
会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。
問題6は×、違法です。
教育現場といえども、このような無茶なことはできません。著作権法 35条には、「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあり、問題集をクラスの人数分コピーする行為は、出版社の利益を不当に害する行為になるので違法です。
《補足》著作権法 第35条 ”学校その他の教育機関”の範囲は?
”学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)”という著作権法の記述が曖昧だったので、調べてみました。以下になるようです。
参考資料
”学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第35条ガイドライン”
平成16年3月 著作権法第35条ガイドライン協議会
著作権法第35条の適用される機関
事 項:学校その他の教育機関
条 件:組織的・継続的教育活動を営む教育機関であって、営利を目的としないもの
内 容:
○文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準ずるところ
例:幼稚園、小中高校、中等教育学校、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、看護学校などの各種学校、大学校、保育所
○社会教育においては、上記教育機関と同等の年間教育計画を有するところ
×営利目的の予備校、私塾、カルチャースクール、営利企業の社員研修など
×学校開放などで教育機関以外の者が単に場所として学校を使用している場合
私たちは、家庭・学校・会社で、この”印刷(コピー)する行為”をたくさんしていますが、正しく運用しないと著作権を侵害しますので、注意が必要です。今回は、これに関係した行為の著作権Q&Aを作成してみました。
なお、印刷(コピー)したものを利用する行為が、著作権法でOKかどうかは、基本的に、以下になります。
・家庭は〇(著作権法 35条 ”私的使用のための複製” で特別にOK)
・学校は〇(著作権法 35条 ”学校その他の教育機関における複製等 で特別にOK)
・会社は×(著作物を勝手に印刷して会社内で利用することは著作権を侵害しNG)
但し、学校といっても、営利を目的として設置されている(予備校、私塾、カルチャースクールなど)ところでの利用は×(違法)になりますので、注意が必要です(著作権法 35条に明記)。
(注)「複製とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすること、そしてスキャナーなどにより電子的に読み取ること、また保管することなどを言います。」
問題1: インターネットの料理レシピーの中に母親の好きなものがあったので、Webページを印刷して母親に渡す行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 高校の授業で、授業で使用するために、インターネットで検索したWebページを印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 教授がインターネットのWebページを印刷して、大学の授業で利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 予備校の講師が、新聞の記事を印刷して利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 業界の動向に関する面白い記事をインターネットで見つけたので、社内会議の資料として印刷する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 中学の授業で、市販の問題集に良いものがあったので、クラスの人数分コピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を印刷(複製)することができます(著作権法 30条)。
著作権法 30条(私的使用のための複製)
著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
問題2は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます(著作権法 35条)。
なお、「教育を担任する者及び授業を受ける者」とあるので、印刷するのは先生でも生徒でもOKになります。
著作権法 35条(学校その他の教育機関における複製等)
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができます。
問題3は〇、違法ではありません。
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)の中に、大学も該当しますので、著作物の複製(印刷したもの)を利用することができます。《補足》参照。
問題4は×、違法です。
営利目的の予備校、私塾、カルチャースクールなどでは、著作物の複製(印刷したもの)を利用すると違法になります。
問題5は×、違法です。
会社内で、著作物の複製(新聞、雑誌、本、Webページなどを印刷したものなど)を利用することは違法になりますので注意ください。安易に利用すると危険です。
問題6は×、違法です。
教育現場といえども、このような無茶なことはできません。著作権法 35条には、「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあり、問題集をクラスの人数分コピーする行為は、出版社の利益を不当に害する行為になるので違法です。
《補足》著作権法 第35条 ”学校その他の教育機関”の範囲は?
”学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)”という著作権法の記述が曖昧だったので、調べてみました。以下になるようです。
参考資料
”学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第35条ガイドライン”
平成16年3月 著作権法第35条ガイドライン協議会
著作権法第35条の適用される機関
事 項:学校その他の教育機関
条 件:組織的・継続的教育活動を営む教育機関であって、営利を目的としないもの
内 容:
○文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準ずるところ
例:幼稚園、小中高校、中等教育学校、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、看護学校などの各種学校、大学校、保育所
○社会教育においては、上記教育機関と同等の年間教育計画を有するところ
×営利目的の予備校、私塾、カルチャースクール、営利企業の社員研修など
×学校開放などで教育機関以外の者が単に場所として学校を使用している場合
2014年2月6日木曜日
上演・演奏・上映・貸与するときに気をつける行為とは? 日常生活の著作権Q&A
楽器での演奏、CDの演奏、DVDの上映、物の譲渡・貸与などの、著作物を提示・提供する行為は、以下のようになります。
著作物の提示・・・上演・演奏、上映、公衆送信・伝達、口述、展示
著作物の提供・・・譲渡、貸与、頒布
*「著作権法入門」(島並 良 他 (著)) P129から
今回は、上記の上演・演奏、上映などの、日常生活での行為に絡む、著作権Q&Aを作成してみました。
著作物の提示/提供に関する行為は、「公衆」になされてはじめて著作権侵害となり、「公衆」以外であれば、著作権を侵害しません。
ただし、公衆にたいして実施されても、「営利を目的とせず、無料の場合は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができる(著作権を侵害しない)」(著作権法 第38条)とされています。
例えば、結婚披露宴での友人の演奏は、公衆への演奏で著作権を侵害しそうですが、このような場合は通常「営利を目的とせず、無料での演奏」なので、演奏しても著作権を侵害しません。このように、当たり前と思っていることにも、著作権は複雑に絡んでいます。
なお、「公衆」という定義、難しいですね。「著作権法入門」(島並 良 他 (著))によると、公衆の定義は以下になっています。不特定少数、特定多数も”公衆”になるところがミソですね。
公衆以外 = 特定少数
公衆 = 特定少数 以外すべて ①不特定多数 ②不特定少数 ③特定多数
(注)著作権法2条5項には「公衆には、特定かつ多数の者を含むものとする。」とあり、”特定多数”も”公衆”になります。
問題1: 親族80人が集まった席で曲を演奏する行為は、著作権を侵害しない?
問題2: 先着順で数名に著作物の複製物を配布する場合、少人数なので、公衆向けの譲渡に該当せず、著作権を侵害しない?
問題3: ファンクラブ会員対象のサービスとして、会員全員に著作物の複製物をプレゼントする場合、特定の人が対象なので、公衆向けの譲渡には該当せず、著作権を侵害しない?
問題4: 中学生が学芸会の練習のために、教師の前で曲を演奏するのは、著作権を侵害しない?
問題5: 詩の朗読が録音されたCDを無許可でレストランで再生する行為は、著作権を侵害しない?
問題6: 喫茶店のマスターが自分の好きなDVDを、パソコンのディスプレイでお客さんに見せる行為は、著作権を侵害しない?
問題7: 演奏権を侵害するのは生演奏の場合で、CDの音楽を再生した場合には、演奏権を侵害しない?
問題8: 家庭内で見る為に録画しておいたテレビドラマを、非営利・無料で老人ホームで上映する行為は、著作権を侵害しない?
問題9: 学校のホームページで校歌を流す行為は、著作権を侵害しない?
問題1は〇、侵害せず、違法ではありません。
エッ当然、著作権は侵害しないよ! と思われがちです。しかし、親族であっても特定かつ多数の人を対象にしているので、公衆向けの演奏になり違法になりそうです。ただ、このような場合は、「営利を目的とせず、無料の場合」と思われるので、公衆向けの演奏であっても、違法にはなりません。
問題2は×、侵害し、違法です。
少人数であっても先着順という不特定の者を対象にしているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。
問題3は×、侵害し、違法です。
会員であっても特定かつ多数の者を対象としているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。
問題4は〇、侵害せず、違法ではありません。
中学生が練習のために教師(特定かつ少数の人)の前で演じているので、公衆向けの演奏でないため、演奏権を侵害しません。
問題5は×、侵害し、違法です。
上演、演奏、口述には、著作物の上演、演奏、口述で録音又は録画されたものを再生すること(著作権法 2条7項)とあるので、公衆に聞かせる目的で、口述を録音したものを許諾なしで再生する行為は口述権を侵害します。
問題6は×、侵害し、違法です。
上映とは「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写すること」(著作権法 2条1項17条)なので、パソコン画面で再生することも上映にあたり、公衆に聞かせる目的で、営利での上映なので違法です。
問題7は×、侵害し、違法です。
問題5の解説にあるように、演奏には、著作物の演奏で録音され、又は録画されたものを再生することも含まれます(著作権法 2条7項)。したがって、CDに録音された音楽を再生することは、その音楽の著作物の演奏権を侵害します。
問題8は×、侵害し、違法です。
第38条は演奏や上演などを認める規定であって、複製までは認めていません。私的使用であれば、テレビドラマ(映画の著作物)を自由に複製することができますが、その複製物を公に上映することはできません(著作権法49条1項1号)。
(注)たとえ、複製時に私的使用目的があっても、その後、それ以外の目的で複製物を頒布し、または公衆に提示すると、その頒布・提示の時点で複製を行ったものとみなされます(著作権法49条1項1号)。
問題9は×、侵害し、違法です。
著作者には、無断で公衆に送信されない権利(公衆送信権)があります。非営利・無料・無報酬の演奏は無断でできますが、公衆送信までは認められていません(著作権法2条7項)。従って、もし、ホームページで校歌を流すには著作者の許諾が必要になります。
《参考》著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)
第38条第1項
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。
第38条第4項
公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。
《参考》著作権法 第2条7項
この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。
著作物の提示・・・上演・演奏、上映、公衆送信・伝達、口述、展示
著作物の提供・・・譲渡、貸与、頒布
*「著作権法入門」(島並 良 他 (著)) P129から
今回は、上記の上演・演奏、上映などの、日常生活での行為に絡む、著作権Q&Aを作成してみました。
著作物の提示/提供に関する行為は、「公衆」になされてはじめて著作権侵害となり、「公衆」以外であれば、著作権を侵害しません。
ただし、公衆にたいして実施されても、「営利を目的とせず、無料の場合は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができる(著作権を侵害しない)」(著作権法 第38条)とされています。
例えば、結婚披露宴での友人の演奏は、公衆への演奏で著作権を侵害しそうですが、このような場合は通常「営利を目的とせず、無料での演奏」なので、演奏しても著作権を侵害しません。このように、当たり前と思っていることにも、著作権は複雑に絡んでいます。
なお、「公衆」という定義、難しいですね。「著作権法入門」(島並 良 他 (著))によると、公衆の定義は以下になっています。不特定少数、特定多数も”公衆”になるところがミソですね。
公衆以外 = 特定少数
公衆 = 特定少数 以外すべて ①不特定多数 ②不特定少数 ③特定多数
(注)著作権法2条5項には「公衆には、特定かつ多数の者を含むものとする。」とあり、”特定多数”も”公衆”になります。
問題1: 親族80人が集まった席で曲を演奏する行為は、著作権を侵害しない?
問題2: 先着順で数名に著作物の複製物を配布する場合、少人数なので、公衆向けの譲渡に該当せず、著作権を侵害しない?
問題3: ファンクラブ会員対象のサービスとして、会員全員に著作物の複製物をプレゼントする場合、特定の人が対象なので、公衆向けの譲渡には該当せず、著作権を侵害しない?
問題4: 中学生が学芸会の練習のために、教師の前で曲を演奏するのは、著作権を侵害しない?
問題5: 詩の朗読が録音されたCDを無許可でレストランで再生する行為は、著作権を侵害しない?
問題6: 喫茶店のマスターが自分の好きなDVDを、パソコンのディスプレイでお客さんに見せる行為は、著作権を侵害しない?
問題7: 演奏権を侵害するのは生演奏の場合で、CDの音楽を再生した場合には、演奏権を侵害しない?
問題8: 家庭内で見る為に録画しておいたテレビドラマを、非営利・無料で老人ホームで上映する行為は、著作権を侵害しない?
問題9: 学校のホームページで校歌を流す行為は、著作権を侵害しない?
問題1は〇、侵害せず、違法ではありません。
エッ当然、著作権は侵害しないよ! と思われがちです。しかし、親族であっても特定かつ多数の人を対象にしているので、公衆向けの演奏になり違法になりそうです。ただ、このような場合は、「営利を目的とせず、無料の場合」と思われるので、公衆向けの演奏であっても、違法にはなりません。
問題2は×、侵害し、違法です。
少人数であっても先着順という不特定の者を対象にしているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。
問題3は×、侵害し、違法です。
会員であっても特定かつ多数の者を対象としているので、公衆向けの譲渡に該当し違法です。
問題4は〇、侵害せず、違法ではありません。
中学生が練習のために教師(特定かつ少数の人)の前で演じているので、公衆向けの演奏でないため、演奏権を侵害しません。
問題5は×、侵害し、違法です。
上演、演奏、口述には、著作物の上演、演奏、口述で録音又は録画されたものを再生すること(著作権法 2条7項)とあるので、公衆に聞かせる目的で、口述を録音したものを許諾なしで再生する行為は口述権を侵害します。
問題6は×、侵害し、違法です。
上映とは「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写すること」(著作権法 2条1項17条)なので、パソコン画面で再生することも上映にあたり、公衆に聞かせる目的で、営利での上映なので違法です。
問題7は×、侵害し、違法です。
問題5の解説にあるように、演奏には、著作物の演奏で録音され、又は録画されたものを再生することも含まれます(著作権法 2条7項)。したがって、CDに録音された音楽を再生することは、その音楽の著作物の演奏権を侵害します。
問題8は×、侵害し、違法です。
第38条は演奏や上演などを認める規定であって、複製までは認めていません。私的使用であれば、テレビドラマ(映画の著作物)を自由に複製することができますが、その複製物を公に上映することはできません(著作権法49条1項1号)。
(注)たとえ、複製時に私的使用目的があっても、その後、それ以外の目的で複製物を頒布し、または公衆に提示すると、その頒布・提示の時点で複製を行ったものとみなされます(著作権法49条1項1号)。
問題9は×、侵害し、違法です。
著作者には、無断で公衆に送信されない権利(公衆送信権)があります。非営利・無料・無報酬の演奏は無断でできますが、公衆送信までは認められていません(著作権法2条7項)。従って、もし、ホームページで校歌を流すには著作者の許諾が必要になります。
《参考》著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)
第38条第1項
公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。
第38条第4項
公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。
《参考》著作権法 第2条7項
この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。
著作権でのモヤモヤが、かなり晴れる本 「著作権法入門」島並 良 他 (著)
著作権法を解説した本の中では名著です。著作権の資格に不合格になり、今一度、著作権を勉強しようとして、著作権の難しさを改めて感じていた際に、この本を読んで、著作権に関するモヤモヤがかなり晴れました。
初心者には多少分かりづらいと思いますが、もし、著作権で悩む人には、ぜひともお勧めしたい本です。
著作権の専門書にしては、310ページとそれほどページ数も多くなく、3千円以下の値段で購入できます。
ポイントをついた短い説明で、判例を多数紹介して、難しい問題(公衆の定義、建築物・図面の複製の定義など)を文章・表などで分かりやすく説明しています。
難しいことを難しく説明することは簡単ですが、この本のように「難しいことを簡単に説明する」には、内容を深く理解した人にしかできないと、改めて感じさせてくれる本です。
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難しいことを難しく説明することは簡単ですが、この本のように「難しいことを簡単に説明する」には、内容を深く理解した人にしかできないと、改めて感じさせてくれる本です。
著作権法入門
著:島並 良 , 他 出版社:有斐閣 発売日:2009/10/29 参考価格:¥2,625 価格:¥2,625 OFF : () ポイント : - (-) ユーズド価格:¥1,199より ジャンル:Book 単行本(ソフトカバー) - 発送可能時期:在庫あり。 (2014/02/06 11:32現在) |
2014年2月5日水曜日
Webサイトの動画を閲覧したりダウンロードする行為は大丈夫? 日常生活の著作権Q&A
Webサイト(ホームページ)の活用方法は様々あります。音楽を聴いたり、動画を閲覧したりダウンロードしたり、ソフトをダウンロードしたりと、様々です。なお、このようなWebサイトを利用する際、著作権を侵害し問題が発生する場合があるので、充分な注意が必要です。
なお、平成24年には著作権法が改正され、違法ダウンロード行為、DVDリッピング行為(DVDのデータを取り出す行為)の違法化が盛り込まれました。
そこで、今回は、Webサイトを利用する際の著作権Q&Aを作成してみました。なお、今回は、正確さを期するため、下記の情報を参考にしました。
平成24年通常国会 著作権法改正について|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/
【平成24年の著作権法改正】 ”違法ダウンロード刑事罰化”など
著作権法の一部を改正する法律が、2012年6月、参議院本会議で可決・成立。違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)、DVDなどに用いられる暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること、などが盛り込まれました。
改正著作権法は2013年1月1日から施行されましたが、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、その前の2012年10月1日から施行されています。
この改正で、以下の違法ダウンロード行為は、私的使用のための複製であっても違法になりました。
「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」(著作権法 第30条の3)
つまり、「違法に公開されているWebサイト(海外も含む)から音楽又は画像を、違法と知りながらダウンロードする行為」は私的使用の為であっても違法になるということです。
問題1: 聴きたいと思っていたCDの曲がWebサイトで公開されていたので、違法ではないかと思いながらも聴いてしまった行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 外国の動画投稿サイトに、以前日本でTV放映されていた番組が動画として公開されていたので、ついついその動画をみてしまう行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: ある動画投稿サイトに、市販されているDVDの動画が公開されており、自分の好きなアーティストの動画だったので、違法な動画だなあと思いつつも、自分のパソコンにダウンロードしてしまう行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: ソフトウェア紹介をしているWebサイトからフリーソフトをダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: Webサイトに公開してあるフリーソフトに社内でも役立つソフトがあり、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあったので、社内の構内LANのサーバーに保管してダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
違法に公開されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。
私的使用の目的であっても、一般に販売されている音楽や映像のようなものを違法に公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードすると違法です。
問題2は〇、違法ではありません。
動画投稿サイトにおける動画の閲覧は、データをダウンロードしながら再生するという仕組みで、この場合、動画の複製(録音又は録画)が伴うことになりますが、このような複製(キャッシュ)に関しては,著作権法第47条の8の規定が適用され著作権侵害には該当しません。
(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第47条の8 著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。
問題3は×、違法です。
違法に音楽や映像を公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードしている行為なので、私的使用の目的であっても、違法になります。
(注)違法ダウンロードでいう「ダウンロード」は、「録音又は録画」であり、音楽や映画が想定されています。画像ファイルのダウンロードは「録音又は録画」に該当しないので違法にはなりません。
問題4は〇、違法ではありません。但し、×違法になる場合があります。
フリーソフトの利用規定をよく見て利用することが大事です。
そこに、以下のような自由利用の範囲や業務や商用利用の場合の規定等が必ず書かれていますので、必ず確認下さい。
「個人的な利用のみ自由に使えます」→個人利用はOK、会社利用はNG。
「個人での利用及び業務での利用も自由に使えます」→個人利用、会社利用共にOK
なお、フリーソフトを個人的に使う場合、通常はOKで違法ではありません。ところが、社内で使う場合、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」というような規定がない限り、業務(社内)では使えません。
問題5は×、違法です。
フリーソフトの利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあっても、LANのサーバーにプログラムを置く行為は、公衆送信権(自動公衆送信権、送信可能化権)の侵害となり、違法です。
同一構内のLANにおいて、サーバーにファイルをおいて多数のユーザーがダウンロードする場合、データはOKですが、プログラムの場合はNGで、公衆送信権(公衆に送信する権利)を侵害します(著作権法 第2条 7の2)。
なお、平成24年には著作権法が改正され、違法ダウンロード行為、DVDリッピング行為(DVDのデータを取り出す行為)の違法化が盛り込まれました。
そこで、今回は、Webサイトを利用する際の著作権Q&Aを作成してみました。なお、今回は、正確さを期するため、下記の情報を参考にしました。
平成24年通常国会 著作権法改正について|文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/
【平成24年の著作権法改正】 ”違法ダウンロード刑事罰化”など
著作権法の一部を改正する法律が、2012年6月、参議院本会議で可決・成立。違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)、DVDなどに用いられる暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること、などが盛り込まれました。
改正著作権法は2013年1月1日から施行されましたが、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、その前の2012年10月1日から施行されています。
この改正で、以下の違法ダウンロード行為は、私的使用のための複製であっても違法になりました。
「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」(著作権法 第30条の3)
つまり、「違法に公開されているWebサイト(海外も含む)から音楽又は画像を、違法と知りながらダウンロードする行為」は私的使用の為であっても違法になるということです。
問題1: 聴きたいと思っていたCDの曲がWebサイトで公開されていたので、違法ではないかと思いながらも聴いてしまった行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 外国の動画投稿サイトに、以前日本でTV放映されていた番組が動画として公開されていたので、ついついその動画をみてしまう行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: ある動画投稿サイトに、市販されているDVDの動画が公開されており、自分の好きなアーティストの動画だったので、違法な動画だなあと思いつつも、自分のパソコンにダウンロードしてしまう行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: ソフトウェア紹介をしているWebサイトからフリーソフトをダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: Webサイトに公開してあるフリーソフトに社内でも役立つソフトがあり、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあったので、社内の構内LANのサーバーに保管してダウンロードして利用する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
違法に公開されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。
私的使用の目的であっても、一般に販売されている音楽や映像のようなものを違法に公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードすると違法です。
問題2は〇、違法ではありません。
動画投稿サイトにおける動画の閲覧は、データをダウンロードしながら再生するという仕組みで、この場合、動画の複製(録音又は録画)が伴うことになりますが、このような複製(キャッシュ)に関しては,著作権法第47条の8の規定が適用され著作権侵害には該当しません。
(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第47条の8 著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。
問題3は×、違法です。
違法に音楽や映像を公開しているサイトから、違法と知りながらダウンロードしている行為なので、私的使用の目的であっても、違法になります。
(注)違法ダウンロードでいう「ダウンロード」は、「録音又は録画」であり、音楽や映画が想定されています。画像ファイルのダウンロードは「録音又は録画」に該当しないので違法にはなりません。
問題4は〇、違法ではありません。但し、×違法になる場合があります。
フリーソフトの利用規定をよく見て利用することが大事です。
そこに、以下のような自由利用の範囲や業務や商用利用の場合の規定等が必ず書かれていますので、必ず確認下さい。
「個人的な利用のみ自由に使えます」→個人利用はOK、会社利用はNG。
「個人での利用及び業務での利用も自由に使えます」→個人利用、会社利用共にOK
なお、フリーソフトを個人的に使う場合、通常はOKで違法ではありません。ところが、社内で使う場合、利用規定に「業務での利用も自由に使えます」というような規定がない限り、業務(社内)では使えません。
問題5は×、違法です。
フリーソフトの利用規定に「業務での利用も自由に使えます」とあっても、LANのサーバーにプログラムを置く行為は、公衆送信権(自動公衆送信権、送信可能化権)の侵害となり、違法です。
同一構内のLANにおいて、サーバーにファイルをおいて多数のユーザーがダウンロードする場合、データはOKですが、プログラムの場合はNGで、公衆送信権(公衆に送信する権利)を侵害します(著作権法 第2条 7の2)。
外国の著作物を翻訳して利用しても大丈夫? 日常生活の著作権Q&A
外国の記事で参考になるような記事がありますね。このような記事を翻訳して利用しても良いのでしょうか? 今回は、翻訳に絡む内容をQ&Aで整理してみました。
私も外国のインターネットの記事や本の内容を訳して、ブログやホームページに掲載しようとした時、なんども悩んだ内容です。
今回、著作権法を細かく確認し、権威のある情報をもとに、Q&Aを作成しましたが、何かあればご指摘ください。
なお、今回のQ&Aにある「翻案」とは、「元の著作物の特徴を活かしつつ、別の表現形態に変えたり、原作の一部を変更して別の作品を創作する」ことで、”文章を要約することも翻案”に該当します。
なお、翻訳して利用する場合に注意すべきことを以下の補足に整理しましたので、参考にしてください。
《補足1》適法な「引用」となるための要件
《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か?”
また、今回の問題、なかなかやっかいなので、文化庁(参考情報1)と日本弁理士会(参考情報2)の内容を参考に致しました。
問題1: 高校の試験問題に掲載するために、フランス語で書かれた哲学者の言葉を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 中学の教科書に掲載するために、英語で書かれた本の内容を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 日本語の音楽の歌詞を外国語に訳してブログに公開する行為(外国語の音楽の歌詞を日本語に訳す場合も同じ)・・・さて違法でしょうか?
問題4: 外国のホームページの記事が自分のブログに関係することだったので、参考として、記事の一部を引用し訳した内容を、ブログに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: ホームページを補足する内容が、英字新聞にあったので、記事を要約した内容を自分のホームページに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。 著作権法 第36条で「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、問題として複製を行うことができる」として、試験問題として複製は認めれており、第43条2号で翻訳についても認められています。
問題2は〇、違法ではありません。 高校の教科書に掲載する目的であれば、公表された他人の著作物の自由利用が認められ、この場合、翻訳して掲載することもできます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。
問題3は×、違法です。 著作権者は、著作物を翻訳等する権利を持っています(著作権法 27条)。日本語の音楽の歌詞を勝手に外国語に訳すことは、著作権者の翻訳権を侵害します。
問題4は〇、違法ではありません。 著作権法 第32条で「公表された著作物は、目的上正当な範囲内で引用して利用することができる。」とされ、第43条2号で翻訳についても認められています。但し、「引用」となるための要件を守って、正しく引用することが必要です。
問題5は×、違法です。 著作権法 第32条で引用での複製は認められていますが、第43条(翻訳・翻案等による利用)では、引用の場合、翻訳は認められていますが、要約などの翻案は認められていません。そのため違法になります。
《解説》
翻訳、翻案等による利用については第43条に細かく規定されています。
■”教科書に掲載する”場合:教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校)
第43条1号で翻訳又は翻案が利用可能な条項が規定されていますが、その中に第33条1項”教科用図書等への掲載”があるので、”教科書に掲載する”場合は翻訳又は翻案(要約)して利用できます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。
■”引用”、”試験問題”に利用する場合:
第43条2号で翻訳が利用可能な条項が規定されていますが、その中に、第32条”引用”、第36条”試験問題”があるので、”引用”、”試験問題”には、翻訳して利用できます。但し、両方共に、内容を要約する翻案はできませんので注意ください。
(翻訳、翻案等による利用)
第43条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当請著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる。
1.第30条第1項、第33条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)、第34条第1項又は第35条 翻訳、編曲、変形又は翻案
2.第31条第1項第1号若しくは第3項後段、第32条、第36条、第37条第1項若しくは第2項、第39条第1項、第40条第2項、第41条又は第42条 翻訳
3.第33条の2第1項 変形又は翻案
4.第37条第3項 翻訳、変形又は翻案
5.第37条の2 翻訳又は翻案
《補足1》適法な「引用」となるための要件
著作権法上,著作権の制限規定として、著作権法第32条(引用)の要件を満たした場合,著作権者の承諾なく著作物を利用できるとされています。
「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法第32条)
一般的に、”引用における注意事項”は以下です。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 パロディー事件)
参考情報1:
文化庁 | 著作物が自由に使える場合
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/gaiyou/chosakubutsu_jiyu.html
《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か? 翻訳は〇、翻案は×
翻訳、翻案等による利用については、著作権法43条で詳しく規定されています。
引用は、著作権法第32条の引用の条件を満たせば、著作権法43条2号の中で、”翻訳権”は認められています。そのため、引用の要件を満たせば、その著作物を翻訳して利用することができます。
しかし、翻案権(43条1号、3号)の権利には準用されていないため、引用の要件を満たしていたとしても、引用する著作物をアレンジして利用する場合は、権利を侵害します。
参考情報2:
特 集≪著作権実務ガイドライン≫ 著作権の制限- 引用 - 日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200601/jpaapatent200601_064-066.pdf
《補足3》引用と翻案・翻訳
「引用」の場合には他人の著作物をそのまま改変を加えずに利用するのが原則、翻案にあたる要約を行って利用することはできません。
要約は、著作物の内容をある程度概括できる程度にした著作物のことをいいますが、この要約を行う行為は、一般に翻案権(第27条)が働く行為で、著作権者の了解なしにはできません。
ただし、ごく簡単に内容を紹介する程度の文書であれば、著作権者の了解は必要ないと考えられています。
なお、翻訳も同種の権利(第27条)ですが、引用の場合は翻訳して引用することは自由にできることになっています(第43条第2号)。
私も外国のインターネットの記事や本の内容を訳して、ブログやホームページに掲載しようとした時、なんども悩んだ内容です。
今回、著作権法を細かく確認し、権威のある情報をもとに、Q&Aを作成しましたが、何かあればご指摘ください。
なお、今回のQ&Aにある「翻案」とは、「元の著作物の特徴を活かしつつ、別の表現形態に変えたり、原作の一部を変更して別の作品を創作する」ことで、”文章を要約することも翻案”に該当します。
なお、翻訳して利用する場合に注意すべきことを以下の補足に整理しましたので、参考にしてください。
《補足1》適法な「引用」となるための要件
《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か?”
また、今回の問題、なかなかやっかいなので、文化庁(参考情報1)と日本弁理士会(参考情報2)の内容を参考に致しました。
問題1: 高校の試験問題に掲載するために、フランス語で書かれた哲学者の言葉を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 中学の教科書に掲載するために、英語で書かれた本の内容を日本語に翻訳する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 日本語の音楽の歌詞を外国語に訳してブログに公開する行為(外国語の音楽の歌詞を日本語に訳す場合も同じ)・・・さて違法でしょうか?
問題4: 外国のホームページの記事が自分のブログに関係することだったので、参考として、記事の一部を引用し訳した内容を、ブログに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: ホームページを補足する内容が、英字新聞にあったので、記事を要約した内容を自分のホームページに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。 著作権法 第36条で「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、問題として複製を行うことができる」として、試験問題として複製は認めれており、第43条2号で翻訳についても認められています。
問題2は〇、違法ではありません。 高校の教科書に掲載する目的であれば、公表された他人の著作物の自由利用が認められ、この場合、翻訳して掲載することもできます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。
問題3は×、違法です。 著作権者は、著作物を翻訳等する権利を持っています(著作権法 27条)。日本語の音楽の歌詞を勝手に外国語に訳すことは、著作権者の翻訳権を侵害します。
問題4は〇、違法ではありません。 著作権法 第32条で「公表された著作物は、目的上正当な範囲内で引用して利用することができる。」とされ、第43条2号で翻訳についても認められています。但し、「引用」となるための要件を守って、正しく引用することが必要です。
問題5は×、違法です。 著作権法 第32条で引用での複製は認められていますが、第43条(翻訳・翻案等による利用)では、引用の場合、翻訳は認められていますが、要約などの翻案は認められていません。そのため違法になります。
《解説》
翻訳、翻案等による利用については第43条に細かく規定されています。
■”教科書に掲載する”場合:教科用図書(小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校)
第43条1号で翻訳又は翻案が利用可能な条項が規定されていますが、その中に第33条1項”教科用図書等への掲載”があるので、”教科書に掲載する”場合は翻訳又は翻案(要約)して利用できます。ただし、その旨を著作者に通知する共に、補償金を著作権者に支払う必要があります。
■”引用”、”試験問題”に利用する場合:
第43条2号で翻訳が利用可能な条項が規定されていますが、その中に、第32条”引用”、第36条”試験問題”があるので、”引用”、”試験問題”には、翻訳して利用できます。但し、両方共に、内容を要約する翻案はできませんので注意ください。
(翻訳、翻案等による利用)
第43条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当請著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる。
1.第30条第1項、第33条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)、第34条第1項又は第35条 翻訳、編曲、変形又は翻案
2.第31条第1項第1号若しくは第3項後段、第32条、第36条、第37条第1項若しくは第2項、第39条第1項、第40条第2項、第41条又は第42条 翻訳
3.第33条の2第1項 変形又は翻案
4.第37条第3項 翻訳、変形又は翻案
5.第37条の2 翻訳又は翻案
《補足1》適法な「引用」となるための要件
著作権法上,著作権の制限規定として、著作権法第32条(引用)の要件を満たした場合,著作権者の承諾なく著作物を利用できるとされています。
「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(著作権法第32条)
一般的に、”引用における注意事項”は以下です。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 パロディー事件)
参考情報1:
文化庁 | 著作物が自由に使える場合
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/gaiyou/chosakubutsu_jiyu.html
《補足2》翻訳及び翻案(要約)しての引用は可能か? 翻訳は〇、翻案は×
翻訳、翻案等による利用については、著作権法43条で詳しく規定されています。
引用は、著作権法第32条の引用の条件を満たせば、著作権法43条2号の中で、”翻訳権”は認められています。そのため、引用の要件を満たせば、その著作物を翻訳して利用することができます。
しかし、翻案権(43条1号、3号)の権利には準用されていないため、引用の要件を満たしていたとしても、引用する著作物をアレンジして利用する場合は、権利を侵害します。
参考情報2:
特 集≪著作権実務ガイドライン≫ 著作権の制限- 引用 - 日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200601/jpaapatent200601_064-066.pdf
《補足3》引用と翻案・翻訳
「引用」の場合には他人の著作物をそのまま改変を加えずに利用するのが原則、翻案にあたる要約を行って利用することはできません。
要約は、著作物の内容をある程度概括できる程度にした著作物のことをいいますが、この要約を行う行為は、一般に翻案権(第27条)が働く行為で、著作権者の了解なしにはできません。
ただし、ごく簡単に内容を紹介する程度の文書であれば、著作権者の了解は必要ないと考えられています。
なお、翻訳も同種の権利(第27条)ですが、引用の場合は翻訳して引用することは自由にできることになっています(第43条第2号)。
2014年2月4日火曜日
他人の文章や画像を勝手に変更して利用すると違法 日常生活の著作権Q&A
他人の文章などを「勝手にコピーして使っていけない」というのは分かりますが、文章の内容を勝手に変更してはいけないという”同一性保持権”があります。
コピーをする権利(複製権)などは”著作財産権”と言われ、著作者の財産的な利益を保護する権利です。
なお、もう一つ大事な権利に”著作者人格権”という、著作者の人格的な利益を保護する権利があります。
なかなかわかりづらい”著作者人格権”ですが、次の権利が与えられています。
①公表権 ・・・公表する権利・その作品自体を公表するかどうかの決定が行える権利
②氏名表示権・・・名前を表示する、又は表示しないの決定が行える権利
③同一性保持権・・・著作物の内容及びその題号(書名)の同一性を保持する権利
このなかで、他人が作成した文書や画像などを利用するときに、特に気をつける必要があるのが、”同一性保持権”です。これは、”作成したものは勝手に変更させない”という権利です。「著作者が社会から作品のありのままを見てもらい評価を受ける権利」とも言えます。
以下に日常の事例をあげて、どのような場合に、この”同一性保持権”を侵害するのか考えてみます。
(同一性保持権)
「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」(著作権法 第20条)
問題1: 雑誌の紙面の都合で、著作者の意思に反して、出版社が作家の原稿を勝手にカットする行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 小説を教科書に掲載するにあたり、小説の著作者の同意なく難しい漢字をひらがなに変更する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 小説のタイトルを小説の作者(著作者)の同意なく改変する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: パソコンにインストールされたプログラムを著作者に無断で、効率よく機能するように改変する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: インターネットにフリー画像とあり、自分のホームページの構成に合わせ画像のサイズを変更する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は×、違法です。
紙面の都合上とはいえ、著作者の許可なく、出版社が勝手に原稿をカットする行為は、著作者の同一性保持権を侵害します。
問題2は〇、違法ではありません。
学校教育の目的上やむを得ないと認められるものは、同一性保持権の適用を受けない(著作権法 20条2項1号)。難しい漢字をひらがなに変更することは、学校教育の目的上やむを得ない用字の変更になるので、同一性保持権を侵害せず、違法にはなりません。
問題3は×、違法です。
小説のタイトルは文章が短く、原則として著作物性が否定されますが、同一性保持権による保護の対象とされていますので、これは違法になります。
問題4は〇、違法ではありません。
「プログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はより効果的に利用し得るようにするために必要な改変」(著作権法 20条2項3号)については、同一性保持権は及ばないので、プログラムを効率よく機能するように改変しても、著作者の同一性保持権を侵害しません。
問題5はOKの場合もありますが、NGの場合もあり、注意が必要です。
(注)引用する場合も、改作と思われるような引用の仕方は著作者の”同一性保持権”の侵害になるので、文章を原文のままで利用するか、文章の一部をカットする場合は、「中略」というような明確な表示をしたほうが良いですね。
コピーをする権利(複製権)などは”著作財産権”と言われ、著作者の財産的な利益を保護する権利です。
なお、もう一つ大事な権利に”著作者人格権”という、著作者の人格的な利益を保護する権利があります。
なかなかわかりづらい”著作者人格権”ですが、次の権利が与えられています。
①公表権 ・・・公表する権利・その作品自体を公表するかどうかの決定が行える権利
②氏名表示権・・・名前を表示する、又は表示しないの決定が行える権利
③同一性保持権・・・著作物の内容及びその題号(書名)の同一性を保持する権利
このなかで、他人が作成した文書や画像などを利用するときに、特に気をつける必要があるのが、”同一性保持権”です。これは、”作成したものは勝手に変更させない”という権利です。「著作者が社会から作品のありのままを見てもらい評価を受ける権利」とも言えます。
以下に日常の事例をあげて、どのような場合に、この”同一性保持権”を侵害するのか考えてみます。
(同一性保持権)
「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」(著作権法 第20条)
問題1: 雑誌の紙面の都合で、著作者の意思に反して、出版社が作家の原稿を勝手にカットする行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 小説を教科書に掲載するにあたり、小説の著作者の同意なく難しい漢字をひらがなに変更する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 小説のタイトルを小説の作者(著作者)の同意なく改変する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: パソコンにインストールされたプログラムを著作者に無断で、効率よく機能するように改変する行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: インターネットにフリー画像とあり、自分のホームページの構成に合わせ画像のサイズを変更する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は×、違法です。
紙面の都合上とはいえ、著作者の許可なく、出版社が勝手に原稿をカットする行為は、著作者の同一性保持権を侵害します。
問題2は〇、違法ではありません。
学校教育の目的上やむを得ないと認められるものは、同一性保持権の適用を受けない(著作権法 20条2項1号)。難しい漢字をひらがなに変更することは、学校教育の目的上やむを得ない用字の変更になるので、同一性保持権を侵害せず、違法にはなりません。
問題3は×、違法です。
小説のタイトルは文章が短く、原則として著作物性が否定されますが、同一性保持権による保護の対象とされていますので、これは違法になります。
問題4は〇、違法ではありません。
「プログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はより効果的に利用し得るようにするために必要な改変」(著作権法 20条2項3号)については、同一性保持権は及ばないので、プログラムを効率よく機能するように改変しても、著作者の同一性保持権を侵害しません。
問題5はOKの場合もありますが、NGの場合もあり、注意が必要です。
画像も勝手に改変(変形など)してはいけないという“同一性保持権”があります。フリーの画像でも、使う前に、利用規定で”利用範囲を必ず確認”しましょう。利用範囲の中に、“画像を変更せずに、そのまま使って下さい”とあれば、画像のサイズを変更したり、画像の一部をカットすることはできません。
(注)引用する場合も、改作と思われるような引用の仕方は著作者の”同一性保持権”の侵害になるので、文章を原文のままで利用するか、文章の一部をカットする場合は、「中略」というような明確な表示をしたほうが良いですね。
2014年2月3日月曜日
個人的なコピー行為、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A
コピーは、日常生活の中でよく実行されます。CDのコピー、文書のコピー、コンビニでの本のコピーなどなど。そして、コピーしたものを家庭、会社、教育で使っています。
なお、このコピー行為には著作権が大いに絡んでおり、「自分の範囲で使うから勝手にコピーしても問題ないだろう!」と考え安易にコピーすると、著作権侵害になります。
ただし、私的な狭い範囲での活用、教育現場での活用などについては、(限定付きですが)コピーすることを、著作権法は認めています。 日常生活の様々な場面を考慮して、著作権法は作られています。
以下に日常の事例をあげて、”著作権侵害になるか/ならないか”を考えてみます。
問題1: レンタル店から借りたCDを自分のパソコンにコピーするのは行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 個人で買ったDVDについて、家族の為に、技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: CDやビデオのダビングサービスをやっている店に、自分で買った音楽CDのコピーを依頼する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: インターネットを見ていたら良い記事があったので、コピーして学校の生徒たちに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 新聞に評論家の自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 本の中に好きな料理を紹介していたページがあったので、コンビニのコピー機でコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます(著作権法 30条)。
問題2は×、違法です。
技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は違法になります。「技術的保護手段を回避してのコピーは違法」(著作権法 30条1項2号)
問題3は×、違法です。
この場合は、違法となる行動が2つあります。一つは、「私的使用のための複製」としてコピーできるのは「使う人」自身がコピーする場合なので、お店の人に頼むのは違法です。
二つは、仮に自分自身でコピーする場合であっても、店舗に設置されたダビング機器のように、公衆が利用することを目的に設置された機器を用いてコピーすることは違法です。
問題4は〇、違法ではありません。
学校において、授業で使うことを目的とする場合、教育を担任する人及び授業を受ける人が必要と認められる限度で著作物を複製することが認められています(著作権法 35条)。
しかし、例えば学校向けのワークブックやドリルなどは、もともと授業で使用することを目的として作成されたものですから、それを複製して授業で使用することは、著作権者の利益を不当に害するので違法です。 何事も行き過ぎた行為はダメですね。
問題5は×、違法です。
私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。
問題6は〇、違法ではありません。
コンビニのコピー機でのコピー、誰でもやっているので当然だよ! と思いがちですが、著作権上は、例外処理でOKになっています。
著作権法の第30条では、「公衆用自動複製機器によるコピーはできない」ことになっています。つまり、店舗に設置されたダビング機器でCDなどをコピーするのは違法です(問題3)。
ところが、著作権法には附則という但し書きのような規定があり、その第5条の2において、「文書又は図画をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める」ということになっています。そのため、コンビニのコピー機で文書をコピーする行為は、違法ではありません。
《参考》 私的使用のための複製 (著作権法 第三十条)
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
なお、このコピー行為には著作権が大いに絡んでおり、「自分の範囲で使うから勝手にコピーしても問題ないだろう!」と考え安易にコピーすると、著作権侵害になります。
ただし、私的な狭い範囲での活用、教育現場での活用などについては、(限定付きですが)コピーすることを、著作権法は認めています。 日常生活の様々な場面を考慮して、著作権法は作られています。
以下に日常の事例をあげて、”著作権侵害になるか/ならないか”を考えてみます。
問題1: レンタル店から借りたCDを自分のパソコンにコピーするのは行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 個人で買ったDVDについて、家族の為に、技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: CDやビデオのダビングサービスをやっている店に、自分で買った音楽CDのコピーを依頼する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: インターネットを見ていたら良い記事があったので、コピーして学校の生徒たちに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 新聞に評論家の自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 本の中に好きな料理を紹介していたページがあったので、コンビニのコピー機でコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます(著作権法 30条)。
問題2は×、違法です。
技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は違法になります。「技術的保護手段を回避してのコピーは違法」(著作権法 30条1項2号)
問題3は×、違法です。
この場合は、違法となる行動が2つあります。一つは、「私的使用のための複製」としてコピーできるのは「使う人」自身がコピーする場合なので、お店の人に頼むのは違法です。
二つは、仮に自分自身でコピーする場合であっても、店舗に設置されたダビング機器のように、公衆が利用することを目的に設置された機器を用いてコピーすることは違法です。
問題4は〇、違法ではありません。
学校において、授業で使うことを目的とする場合、教育を担任する人及び授業を受ける人が必要と認められる限度で著作物を複製することが認められています(著作権法 35条)。
しかし、例えば学校向けのワークブックやドリルなどは、もともと授業で使用することを目的として作成されたものですから、それを複製して授業で使用することは、著作権者の利益を不当に害するので違法です。 何事も行き過ぎた行為はダメですね。
問題5は×、違法です。
私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。
問題6は〇、違法ではありません。
コンビニのコピー機でのコピー、誰でもやっているので当然だよ! と思いがちですが、著作権上は、例外処理でOKになっています。
著作権法の第30条では、「公衆用自動複製機器によるコピーはできない」ことになっています。つまり、店舗に設置されたダビング機器でCDなどをコピーするのは違法です(問題3)。
ところが、著作権法には附則という但し書きのような規定があり、その第5条の2において、「文書又は図画をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める」ということになっています。そのため、コンビニのコピー機で文書をコピーする行為は、違法ではありません。
《参考》 私的使用のための複製 (著作権法 第三十条)
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
DVDの使い方、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A
面白いDVDがあったので自分の店で見せよう、私的使用であればDVDのコピーもOKだろう・・・と考えがちですが、DVDを見る・見せるという行為にも著作権は複雑に絡んでいます。
最近は、DVDを様々な場面でみる機会が多いとおもいますので、DVDの使い方と著作権について考えてみました。
「上映」というのはもっぱら、劇場用映画をスクリーンに映写することでしたが、1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。
例えば、講演会におけるOHPを用いた著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。
上映とは、「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。(著作権法 2条1項17号)」
上映権とは、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(著作権法 22条の2)」
問題1: 飲食店が店内の大型テレビで、映画のDVDを再生して、来店したお客に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 自分が購入した面白いDVDがあったので、自分が経営している喫茶店で、パソコンで映画のDVDをお客さんに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 家に大型スクリーンを設置し、映画のDVDを再生して家族数人で見る行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 家庭内で使用する目的で、コピーガードが施された市販のDVDについて、意図的にコピーガードを解除した上で、DVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 自分が持っている趣味のDVDが、近所の人たちに役立つと思ったので、無料で公民館のテレビで、そのDVDを近所の人に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は×、違法です。
映画のDVDを再生して、お客に見せることは、上映権(著作権法 22条の2)を侵害するため違法です。
問題2は×、違法です。
パソコンの小さい画面だから問題ないだろうと思いがちですが、パソコンでDVDをみるのも、りっぱな上映にあたります。”上映とは著作物(公衆送信されるものを除く)を映写幕その他の物に映写することを言う”(著作権法 2条1項17号)とありますので、パソコン画面で再生することも、映画と同じ上映にあたります。
問題3は〇、違法ではありません。
家族数人であれば「特定かつ少数」で、大型スクリーンで上映しても「公には上映したと言えず、上映権を侵害しません。
問題4は×、違法です。
DVDコピーは私的使用のための複製であっても、コピーガード(技術的保護手段)を回避しDVDをコピーする行為は、その事実を知りながら行った場合は、複製権の侵害になります(著作権法 30条1項2号)。
条件に”事実を知りながら”とありますが、コピーガードを回避する行為は、すでに、”コピーガード”の事実を知っていることになるので、”DVDをコピー”すれば、著作権の侵害になりますね。
問題5は〇、違法ではありません。
営利を目的としていないこと(非営利)、聴衆または観衆から料金等を受けないこと(無料)、出演者等に報酬が支払われないこと(無報酬)であれば、著作物の上演・演奏、上映、口述を、公に行うことができます(著作権法 38条1項)。公民館で無料でDVDを見せることは、この条件に該当しますので、違法ではありません。
(注)ここで大事なのは”非営利目的”ということです。営利と非営利の区別は、直接的・間接的に営利に結びつくかどうかによって判断されます。たとえば、無料の試写会であったとしても、それが宣伝のためであるならば営利目的です(間接的に営利に結びつくため)。
(注)”無料・無報酬”とは、交通費や昼食代などの実費が支払われても無報酬ですが、実費を超える額が支払われれば報酬にあたります。
なお、「非営利上演・演奏、上映、口述」に関しては、以下のホームページで詳しく紹介されていますので参考にしてください。
非営利上演等/Webで著作権法講義
http://copyright.watson.jp/nonprofit.shtml
最近は、DVDを様々な場面でみる機会が多いとおもいますので、DVDの使い方と著作権について考えてみました。
「上映」というのはもっぱら、劇場用映画をスクリーンに映写することでしたが、1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。
例えば、講演会におけるOHPを用いた著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。
上映とは、「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。(著作権法 2条1項17号)」
上映権とは、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(著作権法 22条の2)」
問題1: 飲食店が店内の大型テレビで、映画のDVDを再生して、来店したお客に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 自分が購入した面白いDVDがあったので、自分が経営している喫茶店で、パソコンで映画のDVDをお客さんに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 家に大型スクリーンを設置し、映画のDVDを再生して家族数人で見る行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 家庭内で使用する目的で、コピーガードが施された市販のDVDについて、意図的にコピーガードを解除した上で、DVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 自分が持っている趣味のDVDが、近所の人たちに役立つと思ったので、無料で公民館のテレビで、そのDVDを近所の人に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は×、違法です。
映画のDVDを再生して、お客に見せることは、上映権(著作権法 22条の2)を侵害するため違法です。
問題2は×、違法です。
パソコンの小さい画面だから問題ないだろうと思いがちですが、パソコンでDVDをみるのも、りっぱな上映にあたります。”上映とは著作物(公衆送信されるものを除く)を映写幕その他の物に映写することを言う”(著作権法 2条1項17号)とありますので、パソコン画面で再生することも、映画と同じ上映にあたります。
問題3は〇、違法ではありません。
家族数人であれば「特定かつ少数」で、大型スクリーンで上映しても「公には上映したと言えず、上映権を侵害しません。
問題4は×、違法です。
DVDコピーは私的使用のための複製であっても、コピーガード(技術的保護手段)を回避しDVDをコピーする行為は、その事実を知りながら行った場合は、複製権の侵害になります(著作権法 30条1項2号)。
条件に”事実を知りながら”とありますが、コピーガードを回避する行為は、すでに、”コピーガード”の事実を知っていることになるので、”DVDをコピー”すれば、著作権の侵害になりますね。
問題5は〇、違法ではありません。
営利を目的としていないこと(非営利)、聴衆または観衆から料金等を受けないこと(無料)、出演者等に報酬が支払われないこと(無報酬)であれば、著作物の上演・演奏、上映、口述を、公に行うことができます(著作権法 38条1項)。公民館で無料でDVDを見せることは、この条件に該当しますので、違法ではありません。
(注)ここで大事なのは”非営利目的”ということです。営利と非営利の区別は、直接的・間接的に営利に結びつくかどうかによって判断されます。たとえば、無料の試写会であったとしても、それが宣伝のためであるならば営利目的です(間接的に営利に結びつくため)。
(注)”無料・無報酬”とは、交通費や昼食代などの実費が支払われても無報酬ですが、実費を超える額が支払われれば報酬にあたります。
なお、「非営利上演・演奏、上映、口述」に関しては、以下のホームページで詳しく紹介されていますので参考にしてください。
非営利上演等/Webで著作権法講義
http://copyright.watson.jp/nonprofit.shtml
2014年2月2日日曜日
音楽CDの使い方、これって違法なの? 日常生活の著作権Q&A
音楽CD、単に音楽を楽しむことは、当然問題はありませんが、著作権上、様々な問題が発生することがあります。以下に、どのような問題が発生するか考えてみます。
問題1: 音楽CDに収録されている曲を、個人で楽しむために自分のデジタルオーディオプレーヤーにコピーして聴く行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 音楽CDに収録されている曲の歌詞を個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 音楽CDのジャケットのイラストを個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 音楽CDの中に気に入った曲があったのでコピーして、自分のホームページ上から音楽を流す行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: レストランで、適法に購入したCDをCDプレーヤーで再生する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
個人で楽しむために、自分のデジタルオーディオプレーヤーに録音する行為は、複製行為に該当しますが、私的使用が目的であり、違法ではありません。
問題2は×、違法です。
ブログなどに歌詞を掲載するのはやめましょう。歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要になります。
問題3は×、違法です。
CDのジャケットをコピーしていますのでレコード製作者の商業用レコードの複製権を侵害し、ホームページに掲載することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。 *ホームページ掲載の情報は、多くの人が見れるので、公衆送信していることになります。
問題4は×、違法です。
これはCDの中の音楽をコピーし、ホームページに掲載することで、私的使用では無くなり、実演家、レコード製作者、作詞家・作曲家の著作権を侵害します。
細かく言うと、ややこしくなりますが、実演家の録音権(著作隣接権)、レコード製作者の複製権(著作隣接権)、 作詞家・作曲家の複製権(著作権)を侵害することになります。さらに、ホームページに公開することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。 このように、CDを不正に利用すると、多くの著作権を侵害することになりますので、要注意ですね。
問題5は×、違法です。
著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)で、「営利を目的とせず、無料の場合」は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができますが、レストランでCDを再生する行為は「非営利」の条件をみたしていないので、違法です。
なお、これ以外の音楽CDの利用に関しての著作権上の問題が、以下のホームページで紹介されていますので、参考にしてください。
音楽CDの利用についてQ&A集[インターネット編]
http://www.riaj.or.jp/copyright/music/qa_internet.html
《補足》購入したCDをBGMとして流すと著作権の侵害になります!!
2001年1月に著作権法附則14条が廃止された結果、一般小売店、旅館などでCDやテープなどの録音物をBGMとして使用することにも著作権が及ぶことになりました。この結果、著作権者に無断で使用することは、著作権の侵害にあたり、使用する場合は、音楽著作権を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)に、著作権使用料を支払わなければならないことになります。
《補足》258の店舗に対して音楽を店のBGMとして使っていたとしてJASRACが民事調停
JASRAC・日本音楽著作権協会が、2015年6月、15の都道府県の美容室や飲食店など258の店舗に対して、CDや音楽プレーヤーに入っている音楽を、勝手に店のBGMとして使っていたとして、簡易裁判所に民事調停を申し立てた。
くらし☆解説 「店のBGM 使用料がいるの?」 | くらし☆解説 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/222072.html
問題1: 音楽CDに収録されている曲を、個人で楽しむために自分のデジタルオーディオプレーヤーにコピーして聴く行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 音楽CDに収録されている曲の歌詞を個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 音楽CDのジャケットのイラストを個人のWebサイトに掲載する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 音楽CDの中に気に入った曲があったのでコピーして、自分のホームページ上から音楽を流す行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: レストランで、適法に購入したCDをCDプレーヤーで再生する行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
個人で楽しむために、自分のデジタルオーディオプレーヤーに録音する行為は、複製行為に該当しますが、私的使用が目的であり、違法ではありません。
問題2は×、違法です。
ブログなどに歌詞を掲載するのはやめましょう。歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要になります。
問題3は×、違法です。
CDのジャケットをコピーしていますのでレコード製作者の商業用レコードの複製権を侵害し、ホームページに掲載することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。 *ホームページ掲載の情報は、多くの人が見れるので、公衆送信していることになります。
問題4は×、違法です。
これはCDの中の音楽をコピーし、ホームページに掲載することで、私的使用では無くなり、実演家、レコード製作者、作詞家・作曲家の著作権を侵害します。
細かく言うと、ややこしくなりますが、実演家の録音権(著作隣接権)、レコード製作者の複製権(著作隣接権)、 作詞家・作曲家の複製権(著作権)を侵害することになります。さらに、ホームページに公開することで自動公衆送信権(送信可能化権)も侵害します。 このように、CDを不正に利用すると、多くの著作権を侵害することになりますので、要注意ですね。
問題5は×、違法です。
著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)で、「営利を目的とせず、無料の場合」は、上演、演奏、上映、口述、貸与することができますが、レストランでCDを再生する行為は「非営利」の条件をみたしていないので、違法です。
なお、これ以外の音楽CDの利用に関しての著作権上の問題が、以下のホームページで紹介されていますので、参考にしてください。
音楽CDの利用についてQ&A集[インターネット編]
http://www.riaj.or.jp/copyright/music/qa_internet.html
《補足》購入したCDをBGMとして流すと著作権の侵害になります!!
2001年1月に著作権法附則14条が廃止された結果、一般小売店、旅館などでCDやテープなどの録音物をBGMとして使用することにも著作権が及ぶことになりました。この結果、著作権者に無断で使用することは、著作権の侵害にあたり、使用する場合は、音楽著作権を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)に、著作権使用料を支払わなければならないことになります。
《補足》258の店舗に対して音楽を店のBGMとして使っていたとしてJASRACが民事調停
JASRAC・日本音楽著作権協会が、2015年6月、15の都道府県の美容室や飲食店など258の店舗に対して、CDや音楽プレーヤーに入っている音楽を、勝手に店のBGMとして使っていたとして、簡易裁判所に民事調停を申し立てた。
くらし☆解説 「店のBGM 使用料がいるの?」 | くらし☆解説 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/222072.html
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