面白いDVDがあったので自分の店で見せよう、私的使用であればDVDのコピーもOKだろう・・・と考えがちですが、DVDを見る・見せるという行為にも著作権は複雑に絡んでいます。
最近は、DVDを様々な場面でみる機会が多いとおもいますので、DVDの使い方と著作権について考えてみました。
「上映」というのはもっぱら、劇場用映画をスクリーンに映写することでしたが、1999(平成11)年の法改正により、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することになりました。そのため、「上映」には、文書や写真をスクリーンに映し出すことも含まれるので要注意です。
例えば、講演会におけるOHPを用いた著作物の提示も上映になるので、講演会で新聞記事をOHPで見せることも上映権侵害で著作権上、違法になります。
上映とは、「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。(著作権法 2条1項17号)」
上映権とは、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(著作権法 22条の2)」
問題1: 飲食店が店内の大型テレビで、映画のDVDを再生して、来店したお客に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 自分が購入した面白いDVDがあったので、自分が経営している喫茶店で、パソコンで映画のDVDをお客さんに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: 家に大型スクリーンを設置し、映画のDVDを再生して家族数人で見る行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: 家庭内で使用する目的で、コピーガードが施された市販のDVDについて、意図的にコピーガードを解除した上で、DVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 自分が持っている趣味のDVDが、近所の人たちに役立つと思ったので、無料で公民館のテレビで、そのDVDを近所の人に見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は×、違法です。
映画のDVDを再生して、お客に見せることは、上映権(著作権法 22条の2)を侵害するため違法です。
問題2は×、違法です。
パソコンの小さい画面だから問題ないだろうと思いがちですが、パソコンでDVDをみるのも、りっぱな上映にあたります。”上映とは著作物(公衆送信されるものを除く)を映写幕その他の物に映写することを言う”(著作権法 2条1項17号)とありますので、パソコン画面で再生することも、映画と同じ上映にあたります。
問題3は〇、違法ではありません。
家族数人であれば「特定かつ少数」で、大型スクリーンで上映しても「公には上映したと言えず、上映権を侵害しません。
問題4は×、違法です。
DVDコピーは私的使用のための複製であっても、コピーガード(技術的保護手段)を回避しDVDをコピーする行為は、その事実を知りながら行った場合は、複製権の侵害になります(著作権法 30条1項2号)。
条件に”事実を知りながら”とありますが、コピーガードを回避する行為は、すでに、”コピーガード”の事実を知っていることになるので、”DVDをコピー”すれば、著作権の侵害になりますね。
問題5は〇、違法ではありません。
営利を目的としていないこと(非営利)、聴衆または観衆から料金等を受けないこと(無料)、出演者等に報酬が支払われないこと(無報酬)であれば、著作物の上演・演奏、上映、口述を、公に行うことができます(著作権法 38条1項)。公民館で無料でDVDを見せることは、この条件に該当しますので、違法ではありません。
(注)ここで大事なのは”非営利目的”ということです。営利と非営利の区別は、直接的・間接的に営利に結びつくかどうかによって判断されます。たとえば、無料の試写会であったとしても、それが宣伝のためであるならば営利目的です(間接的に営利に結びつくため)。
(注)”無料・無報酬”とは、交通費や昼食代などの実費が支払われても無報酬ですが、実費を超える額が支払われれば報酬にあたります。
なお、「非営利上演・演奏、上映、口述」に関しては、以下のホームページで詳しく紹介されていますので参考にしてください。
非営利上演等/Webで著作権法講義
http://copyright.watson.jp/nonprofit.shtml
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