コピーは、日常生活の中でよく実行されます。CDのコピー、文書のコピー、コンビニでの本のコピーなどなど。そして、コピーしたものを家庭、会社、教育で使っています。
なお、このコピー行為には著作権が大いに絡んでおり、「自分の範囲で使うから勝手にコピーしても問題ないだろう!」と考え安易にコピーすると、著作権侵害になります。
ただし、私的な狭い範囲での活用、教育現場での活用などについては、(限定付きですが)コピーすることを、著作権法は認めています。 日常生活の様々な場面を考慮して、著作権法は作られています。
以下に日常の事例をあげて、”著作権侵害になるか/ならないか”を考えてみます。
問題1: レンタル店から借りたCDを自分のパソコンにコピーするのは行為・・・さて違法でしょうか?
問題2: 個人で買ったDVDについて、家族の為に、技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題3: CDやビデオのダビングサービスをやっている店に、自分で買った音楽CDのコピーを依頼する行為・・・さて違法でしょうか?
問題4: インターネットを見ていたら良い記事があったので、コピーして学校の生徒たちに見せる行為・・・さて違法でしょうか?
問題5: 新聞に評論家の自社に関する記事があったのでコピーして会社の会議で説明する行為・・・さて違法でしょうか?
問題6: 本の中に好きな料理を紹介していたページがあったので、コンビニのコピー機でコピーする行為・・・さて違法でしょうか?
問題1は〇、違法ではありません。
レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます(著作権法 30条)。
問題2は×、違法です。
技術的保護手段がかけられたDVDをコピーする行為は違法になります。「技術的保護手段を回避してのコピーは違法」(著作権法 30条1項2号)
問題3は×、違法です。
この場合は、違法となる行動が2つあります。一つは、「私的使用のための複製」としてコピーできるのは「使う人」自身がコピーする場合なので、お店の人に頼むのは違法です。
二つは、仮に自分自身でコピーする場合であっても、店舗に設置されたダビング機器のように、公衆が利用することを目的に設置された機器を用いてコピーすることは違法です。
問題4は〇、違法ではありません。
学校において、授業で使うことを目的とする場合、教育を担任する人及び授業を受ける人が必要と認められる限度で著作物を複製することが認められています(著作権法 35条)。
しかし、例えば学校向けのワークブックやドリルなどは、もともと授業で使用することを目的として作成されたものですから、それを複製して授業で使用することは、著作権者の利益を不当に害するので違法です。 何事も行き過ぎた行為はダメですね。
問題5は×、違法です。
私的使用のための複製(コピー)で許されているのは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(著作権法 30条)です。会社は、この範囲を越えるので、新聞をコピーしたものを会社で配布するのは違法です。
問題6は〇、違法ではありません。
コンビニのコピー機でのコピー、誰でもやっているので当然だよ! と思いがちですが、著作権上は、例外処理でOKになっています。
著作権法の第30条では、「公衆用自動複製機器によるコピーはできない」ことになっています。つまり、店舗に設置されたダビング機器でCDなどをコピーするのは違法です(問題3)。
ところが、著作権法には附則という但し書きのような規定があり、その第5条の2において、「文書又は図画をコピーする行為は、当分の間私的使用として認める」ということになっています。そのため、コンビニのコピー機で文書をコピーする行為は、違法ではありません。
《参考》 私的使用のための複製 (著作権法 第三十条)
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
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